療養病棟入院基本料 「医療区分⑫:スモン」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分⑫:スモン」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「スモン」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「スモン」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分3に該当

【疾患・状態に係る医療区分⑫】スモン

分類医療区分算定期間評価の単位
疾患・状態医療区分3期間に限りなし

医療区分「スモン」は、疾患・状態に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「スモン」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


12. スモン

項目の定義
スモン「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)に定めるものを対象とする。)に罹患している状態
評価の単位
留意点
特定疾患医療受給者証の交付を受けているもの又は過去に当該疾患の公的な認定を受けたことが確認できる場合等をいう。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

スモンの確認

スモンに罹患していることを確認します。

スモンは、「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)に定めるものを対象とします。

確認は、以下のどちらかで行います。

  • 特定疾患医療受給者証の交付を受けているもの
  • 過去に当該疾患の公的な認定を受けたことが確認できるもの

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

該当要件のチェックポイント
スモン(「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)に定めるものを対象とする。)に罹患している。
医師により診断根拠(現症・所見)、治療方針を診療録に記載している。
特定疾患医療受給者証を受けている、または、過去に当該疾患の公的な認定を受けたことが確認できる。

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「スモン」に関連する用語

「スモン」とは?

スモンとは、整腸剤のキノホルムの副作用による薬害で、神経症状を主とする全身の病気です。

英語の略称「Subacute Myelo-Optico-Neuropathy」(亜急性脊髄・視神経・末梢神経障害)をカタカナで読んだもので、1950年代から70年代にかけて日本で多発しました。

下肢の異常感覚やしびれ、歩行障害、視力障害など、全身に幅広い後遺症や合併症が残ることが特徴です。

原因整腸剤「キノホルム」の副作用による薬害です。本来は体内に吸収されないと考えられていたキノホルムが、実際に吸収されて神経を侵したことが原因です。
症状初期腹痛、下痢などの腹部症状に続いて、両下肢のしびれ感(じんじん、ぴりぴり感など)や脱力感、歩行不安定などが現れます。
重症例下肢の完全麻痺、視力障害(失明に至るケースもある)、脳幹障害などが発生します。
後遺症現在も残る後遺症や、白内障、高血圧、様々な関節痛などの合併症が頻繁に併発しています。
経緯と対策キノホルム事件1950年代から1970年代にかけて整腸剤の「キノホルム」を服用したことで発生した薬害事件(薬害スモン)です。当初は原因不明の奇病や伝染病と疑われていましたが、薬害であることが判明しました。
使用中止1970年9月8日、厚生省(当時)はキノホルムの製造販売、および使用を中止しました。
新患者の発生この使用中止以降、新たな患者の発生は激減しました。
現在の状況現在も国の難病対策の対象疾患であり、医療費は全額公費負担など、国や自治体による医療・福祉支援が行われています。

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「特定疾患治療研究事業について」とは?

「特定疾患治療研究事業」は、原因不明で治療法が確立していない難病(特定疾患)の医療費の一部を公費で負担し、患者の経済的負担を軽減するとともに、その治療の確立・普及を図る制度です。

事業の実施要領は、「特定疾患治療研究事業実施要綱」に定められいます。

この事業は、難病対策の根幹をなす制度の一つとして長年実施されてきましたが、2015年1月1日施行の「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)に基づく新たな医療費助成制度へ移行しました。

特定疾患治療研究事業実施要綱(抜粋)

昭 和 48年 4 月 17日 衛 発 第 242号
最終一部改正 平成27年2月2日健発0202第9号

第1 目的

 難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年法律第50号。以下「難病法」という。)に基づく医療費助成制度が平成27年1月1日から施行されることに伴い、難病法の施行前に特定疾患治療研究事業で対象とされてきた特定疾患のうち、難病法に基づく特定医療費の支給対象となる指定難病(難病法第5条第1項に規定する指定難病をいう。以下同じ。)以外の疾患については、治療がきわめて困難であり、かつ、その医療費も高額であるため、特定疾患治療研究事業を推進することにより引き続き当該患者の医療費の負担軽減を図ることを目的として行うものとする。

第2 実施主体
 実施主体は、都道府県とする。

第3 対象疾患
(1)スモン
(2)難治性の肝炎のうち劇症肝炎
(3)重症急性膵炎
(4)プリオン病(ヒト由来乾燥硬膜移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病に限る。)
(5)重症多形滲出性紅斑(急性期)

以下、参照(外部リンク:特定疾患治療研究事業について

難病情報センター:特定疾患治療研究事業実施要綱 一部改正 新旧対照表

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「罹患」とは?

罹患(りかん)とは、病気にかかることを意味しています。

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「特定疾患医療受給者証」とは?

「特定疾患医療受給者証」とは、難病患者が医療費助成を受けるための正式名称で、「特定医療費(指定難病)受給者証」といいます。

この受給者証を都道府県・指定都市が指定した医療機関に提示すると、治療費の一部または全部が公費で負担され、自己負担額が軽減されます。

申請は各自治体を通じて行い、認定されると発行されます。

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