療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。
そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。
また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。
この記事では、この手引きに基づき、「医療区分⑤:尿路感染症に対する治療」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。
医療区分「尿路感染症に対する治療」の算定要件と評価・判断基準
医療区分「尿路感染症に対する治療」の算定要件と評価・判断基準について解説します。
算定期限(連続14日を限度)・医療区分2に該当
【処置等に係る医療区分⑤】尿路感染症に対する治療
| 分類 | 医療区分 | 算定期間 | 評価の単位 |
|---|---|---|---|
| 処置等 | 医療区分2 | 連続14日を限度 | 1日毎 |
医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)
医療区分「尿路感染症に対する治療」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。
5. 尿路感染症に対する治療
| 項目の定義 |
| 尿沈渣で細菌尿が確認された場合、もしくは白血球尿(>10/HPF)であって、尿路感染症に対する治療を実施している状態 |
| 評価の単位 |
| 1日毎 |
| 留意点 |
| 連続する14日間を限度とし、15日目以降は該当しない。ただし、一旦非該当となった後、再び病状が悪化した場合には、本項目に該当する。 |
医療区分の算定要件・確認事項
医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。
① 尿路感染症の確認
尿路感染症の治療をしている状態を確認します。
本項目における尿路感染症は、以下の2つのいずれかで判断します。
- 尿沈渣で細菌尿(≧1+)が確認された場合
- 白血球尿(>10/HPF)であった場合
② 継続日数の考え方
尿路感染症の治療が行われている日数をカウントします。
評価票の記入は、連続14日間までが限度なので、15日目以降は記入できません。
ただし、一旦非該当になった後に、再び病状が悪化して該当要件を満たしていれば、評価票への記入が可能になります。
判断・評価のチェックポイント
評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。
① 該当要件のチェックポイント
| 該当要件のチェックポイント | |
|---|---|
| ☐ | 細菌尿(≧1+)もしくは白血球尿(>10/HPF)を認める。 |
| ☐ | 治療に関する指示、経過記録が診療録に適切に記載できている。 |
| ☐ | 治療を実施している。 [抗生剤投与、水分補充(引水促進・輸液)など] |
| ☐ | 治癒については検査で判断し、診療録に記載している。 |
| ☐ | 一旦治癒しなければ、新たに本項目に該当しないことを徹底している。 (治癒の確認をしていない、または未治癒のまま再度該当の判定をしていないかを確認) |
② 算定期間のチェックポイント
| 算定期間のチェックポイント | |
|---|---|
| ☐ | 1日毎に評価を行っている。 |
| ☐ | 連続する14日間を超えて尿路感染症の治療を行っていても、15日目以降は該当しない。 |
| ☐ | 一旦非該当となった後、再び病状が悪化した場合には該当になる。 |
※クリックすると開きます。
≪評価の手引き≫
≪処置等に係る医療区分≫
【算定期間に限りのある医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
【算定期間に限りのない医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
- ㊲ 中心静脈栄養(対象疾患以外、30日を超える)
- ㊳ 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流・血漿交換療法
- ㊴ 肺炎
- ㊵ 褥瘡
- ㊶ 末梢循環障害による下肢末端の開放創
- ㊷ うつ症状
- ㊸ 喀痰吸引(1日8回以上)
- ㊹ 気管切開・気管内挿管(発熱なし)
- ㊺ 創傷、皮膚潰瘍、下腿・足部の蜂巣炎、膿等の感染症
- ㊻ 酸素療法(高密度除く)
≪疾患・状態に係る医療区分≫
【算定期間に限りのある医療区分】
[医療区分2(別表第五の三)]
【算定期間に限りのない医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
- ㉒ 筋ジストロフィー
- ㉓ 多発性硬化症
- ㉔ 筋萎縮性側索硬化症
- ㉕ パーキンソン病関連疾患
- ㉖ その他の指定難病等
- ㉗ 脊髄損傷
- ㉘ 慢性閉塞性肺疾患
- ㉙ 別紙8の2の注2を参照 (※まだまとめていません。)
- ㉚ 基本診療料の施設基準等の別表第五の三の三の患者 (※まだまとめていません。)
- ㉛ 悪性腫瘍(疼痛コントロールが必要な場合に限る)
- ㉜ 末期呼吸器疾患
- ㉝ 末期心不全
- ㉞ 末期腎不全
- ㉟ 他者に対する暴行
- ㊱ A212の注2に規定する準超重症の状態(15歳未満に限る)
≪ADL区分≫
≪身体的拘束の実施≫
医療区分「尿路感染症に対する治療」の記入例
医療区分「尿路感染症に対する治療」の記入例です。
尿路感染症の治療が20日間継続中
尿沈渣で尿路感染症を確認し、治療を開始。
その後、20日間、治療が継続中。
| 日付 | 症状・治療 | 評価票 |
|---|---|---|
| 11/1 | 尿路感染症を確認、治療を開始 | 該当(1日目) |
| 11/2 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(2日目) |
| 11/3 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(3日目) |
| 11/4 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(4日目) |
| 11/5 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(5日目) |
| 11/6 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(6日目) |
| 11/7 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(7日目) |
| 11/8 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(8日目) |
| 11/9 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(9日目) |
| 11/10 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(10日目) |
| 11/11 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(11日目) |
| 11/12 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(12日目) |
| 11/13 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(13日目) |
| 11/14 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 該当(14日目) |
| 11/15 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 非該当(15日目) |
| 11/16 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 非該当(16日目) |
| 11/17 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 非該当(17日目) |
| 11/18 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 非該当(18日目) |
| 11/19 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 非該当(19日目) |
| 11/20 | 尿路感染症は治癒せず、治療継続 | 非該当(20日目) |
連続した14日間を超えて尿路感染症の治療を行っていても、15日目以降は「非該当」になります。
※クリックすると開きます。
≪評価の手引き≫
≪処置等に係る医療区分≫
【算定期間に限りのある医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
【算定期間に限りのない医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
- ㊲ 中心静脈栄養(対象疾患以外、30日を超える)
- ㊳ 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流・血漿交換療法
- ㊴ 肺炎
- ㊵ 褥瘡
- ㊶ 末梢循環障害による下肢末端の開放創
- ㊷ うつ症状
- ㊸ 喀痰吸引(1日8回以上)
- ㊹ 気管切開・気管内挿管(発熱なし)
- ㊺ 創傷、皮膚潰瘍、下腿・足部の蜂巣炎、膿等の感染症
- ㊻ 酸素療法(高密度除く)
≪疾患・状態に係る医療区分≫
【算定期間に限りのある医療区分】
[医療区分2(別表第五の三)]
【算定期間に限りのない医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
- ㉒ 筋ジストロフィー
- ㉓ 多発性硬化症
- ㉔ 筋萎縮性側索硬化症
- ㉕ パーキンソン病関連疾患
- ㉖ その他の指定難病等
- ㉗ 脊髄損傷
- ㉘ 慢性閉塞性肺疾患
- ㉙ 別紙8の2の注2を参照 (※まだまとめていません。)
- ㉚ 基本診療料の施設基準等の別表第五の三の三の患者 (※まだまとめていません。)
- ㉛ 悪性腫瘍(疼痛コントロールが必要な場合に限る)
- ㉜ 末期呼吸器疾患
- ㉝ 末期心不全
- ㉞ 末期腎不全
- ㉟ 他者に対する暴行
- ㊱ A212の注2に規定する準超重症の状態(15歳未満に限る)
≪ADL区分≫
≪身体的拘束の実施≫
医療区分は入院基本料にどう影響するのか?
療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。
入院患者の医療区分・ADL区分の評価
医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。
| 医療の必要度 | 低い | ⇔ | 高い |
| 医療区分 | 医療区分1 | 医療区分2 | 医療区分3 |
ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。
| 介護の必要度 | 低い | ⇔ | 高い |
| ADL区分 | ADL区分1 | ADL区分2 | ADL区分3 |
医療区分・ADL区分による入院料の決定
療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。
医療区分とADL区分の組み合わせは、
- 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
- 処置等に係る医療区分1・2・3
- ADL区分1・2・3
上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。
( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類
⇩⇩⇩⇩⇩⇩
( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介
[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。
「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。
① 割合シート
「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。
≪主な入力項目≫
- 患者氏名
- 日々の入院料
- 前月、前々月の医療区分2・3の総数
- 前月、前々月の延べ患者数
上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。
- その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
- 直近3ヵ月の重症度割合
- 入院料1~30の総数
![[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介](https://kuwahopi.com/wp-content/uploads/2026/04/01割合シート-1024x627.png)
② 分類シート
「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。
≪主な入力項目≫
- ADL区分(その月の主な区分)
- 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容
上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。
- 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
- 医療区分(処置等)の分類(%表示)
- 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
![[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介](https://kuwahopi.com/wp-content/uploads/2026/04/02分類シート.png)
③ 拘束シート
「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。
≪主な入力項目≫
- 身体的拘束を実施した日
- 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
- 前月、前々月の入院料算定日数
上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。
- その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
- 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
![[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介](https://kuwahopi.com/wp-content/uploads/2026/04/03拘束シート.png)
④ 点数シート
「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。
≪主な入力項目≫
- 一般、生活療養における各入院料の数
- 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択
上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。
- 入院料別の診療報酬点数
- 入院料の診療報酬の合計点数
![[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介](https://kuwahopi.com/wp-content/uploads/2026/04/04点数シート-1024x353.png)

