【令和8年度 診療報酬改定】「身体的拘束最小化推進体制加算」の新設

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参考資料:厚生労働省HP 令和8年度診療報酬改定説明資料等について「令和8年度診療報酬改定の概要 6.入院(共通事項)」

令和8年度 診療報酬改定において、身体的拘束最小化推進体制加算が新設されました。

どのような改定になっているのかを確認しておきましょう。

目次

身体的拘束最小化推進体制加算の概要

身体的拘束の最小化に向け、管理者等を中心として身体的拘束を原則として行わないという組織風土を醸成し、組織的に特に質の高い取組を行う体制について、新たな評価を設ける。

(新)  身体的拘束最小化推進体制加算(1日につき) 40点

対象病棟

以下を算定している病棟(※同じ入院料を算定する病棟全体で届け出る)

  • 療養病棟入院基本料
  • 障害者施設等入院基本料
  • 有床診療所療養病床入院基本料
  • 特殊疾患入院医療管理料
  • 地域包括ケア病棟入院料
  • 特殊疾患病棟入院料

施設基準:抜粋

  • 病院長や看護部長が、身体的拘束の最小化に向けて病院全体で取り組むことについて表明し、職員に周知していること。
  • 院内で身体的拘束の最小化に関する講習が年2回以上実施されており、入院患者に関わる全ての職員が受講していること。
  • 身体的拘束最小化チームにより、身体的拘束に使用する用具が病棟外の1か所で管理され、使用状況、解除に向けた検討状況を把握するとともに、必要に応じて解除に向けた提案が行われていること。
  • 身体的拘束の最小化に向けた具体的な取組を検討するための委員会を3か月に1回以上実施していること。
  • 身体的拘束を行われている患者がいる場合、最小化チームによる巡回が定期的に行われ、病棟の職員と共に解除に向けた具体的な検討が行われていること。
  • 身体的拘束を行わずにケアするための用具の導入について職員が提案することができ、積極的に導入するような仕組みを有すること。
  • 身体的拘束を検討する可能性のある患者の入棟を制限していないこと。
  • 身体的拘束が実施される可能性のある全ての患者に対し、病院として身体的拘束を原則行わない方針であることや、身体的拘束を行うリスクと行わないリスク等について説明し、患者及び家族の意向を十分に聴取していること。
  • 加算を算定することのできる入院料を算定した日数に占める身体的拘束を実施した日数の割合が3%以下(届出から1年間は5%以下)であること。
  • 身体的拘束を原則として行わない方針であること、取組の内容、身体的拘束の実施状況(実施割合等)について院内掲示及びウェブサイトに掲載していること。

補足

身体的拘束の考え方

「医科点数表の解釈」での記載事項

身体的拘束については、医科点数表の解釈で以下のように記載があります。

7 身体的拘束最小化の基準(抜粋)

(3)身体的拘束とは、抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいうこと。

医科点数表の解釈(令和6年6月版p1312)

参照:「身体的拘束最小化の基準」について

上記の記載では、「患者の身体または衣服に触れる用具で拘束し、運動の抑制や行動の制限を行うこと」が身体的拘束となっています。

そのため、身体拘束の「3つのロック」であるフィジカルロック、ドラッグロック、スピーチロックの中で、フィジカルロックのみが身体的拘束に該当することになります。

  • フィジカルロック:物理的な手段による拘束 ⇨ 身体的拘束
  • ドラッグロック :薬物による過度な鎮静・抑制
  • スピーチロック :言葉による行動制限・威圧

「厚生労働省HP 令和8年度診療報酬改定説明資料等について」での記載事項

加えて、【厚生労働省HP 令和8年度診療報酬改定説明資料等について「令和8年度診療報酬改定の概要 6.入院(共通事項)」】において、以下のように記載があります。

以下の場合は、身体的拘束を実施した日数に含めない。

  • センサークリップ等のみを使用する場合
    (患者の動作により容易に外れ、自発的な運動を制限することはない状況に限る)
  • 処置時や移動時に、患者等の同意を得た上で、安全確保のために短時間固定ベルト等を使用する場合
    (使用中は職員が介助等のために常に当該患者の側に付き添っており、処置や移動の終了時に確実に解除している場合のみ)
  • 患者が訓練のために自由に車椅子を操作することのできる状態であって、患者等の同意を得た上で、車椅子操作による訓練の時間中のみ安全確保のために固定ベルトを使用する場合
    (車椅子の前にオーバーテーブルを設置する、車椅子をロックする等の方法により、患者本人の活動を制限している場合は該当せず、身体的拘束を実施した日としてカウントする)

身体的拘束実施日数の割合の計算

また、身体的拘束最小化の基準に係る実施割合の計算方法は、【厚生労働省HP 令和8年度診療報酬改定説明資料等について「令和8年度診療報酬改定の概要 6.入院(共通事項)」】において、以下のように記載があります。

身体的拘束の実施割合 = 直近3か月間の入院料算定日数のうち、身体的拘束を実施した日数(*1) / 直近3か月間の入院料算定日数(*2)

  • (*1)以下の場合は身体的拘束を実施した日数に含めない。
    • センサークリップ等のみを使用する場合
    • 処置時や移動時に、患者等の同意を得た上で、安全確保のために短時間固定ベルト等を使用する場合
    • 患者が訓練のために自由に車椅子を操作することのできる状態であって、患者等の同意を得た上で、車椅子操作による訓練の時間中のみ安全確保のために固定ベルトを使用する場合
  • (*2)以下の入院料を算定した日及び精神病床(身体的拘束を精神保健福祉法に基づいて取り扱う場合に限る)は除く。
    • A300  :救命救急入院料
    • A301  :特定集中治療室管理料
    • A301-2:ハイケアユニット入院医療管理料
    • A301-3:脳卒中ケアユニット入院医療管理料
    • A301-4:小児特定集中治療室管理料
    • A302  :新生児特定集中治療室管理料
    • A302-2:新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料
    • A303  :総合周産期特定集中治療室管理料
    • A303-2:新生児治療回復室入院医療管理料

身体的拘束実施日数の割合が3%以下(届出から1年間は5%以下)

身体的拘束最小化推進体制加算の施設基準では、身体的拘束を実施した日数の割合が3%以下(届出から1年間は5%以下)となっているので、この基準を満たす必要があります。

この3%(5%)がどの程度になるかを考えてみます。

例として、ひと月を30日として、月の平均在院日数が30人・40人・50人であった場合の「身体的拘束実施日数の割合:3%・5%」がどの程度なのかを確認します。

月平均在院患者数入院料算定日数3%5%
30人900
(30人×30日)
27
(900×0.03)
45
(900×0.05)
40人1200
(40人×30日)
36
(1200×0.03)
60
(1200×0.05)
50人1500
(50人×30日)
45
(1500×0.03)
75
(1500×0.05)

加えて、常に身体的拘束が必要な入院患者がいた際の割合を確認します。

月平均在院患者数入院料算定日数1人2人3人
30人900
(30人×30日)
3.3%
(30÷900)
6.7%
(60÷900)
10%
(90÷900)
40人1200
(40人×30日)
3.3%
(40÷1200)
6.7%
(80÷1200)
10%
(120÷1200)
50人1500
(50人×30日)
3.3%
(50÷1500)
6.7%
(100÷1500)
10%
(150÷1500)

上の表を見て分かるように、常に身体的拘束をしている患者が1人でもいれば、施設基準である「身体的拘束を実施した日数の割合が3%以下」を達成できません。

また、「届出から1年間は5%以下」となっていますが、5%以下であったとしても、常に身体的拘束をしている患者が2人いるだけで施設基準を達成できません。

そのため、施設基準である「身体的拘束を実施した日数の割合が3%以下」を満たすためには、身体的拘束をしている患者をほぼ0人にすることが必要になります。

身体的拘束最小化推進体制加算による増収予測

身体的拘束最小化推進体制加算は1日につき 40点です。

ひと月を30日、月の平均在院患者数を30人・40人・50人のときの診療報酬は以下のようになります。

月の平均在院患者数計算診療報酬
30人30人×30日×40点=36,000点36万円/月(432万円/年)
40人30人×40日×40点=48,000点48万円/月(576万円/年)
50人30人×50日×40点=60,000点60万円/月(720万円/年)

施設基準を満たすためには、身体的拘束に使用する用具の購入などコスト面の考慮も必要ですが、身体的拘束の最小化に向けた取り組みを病院全体で進めることで大きな評価に繋がります。

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