療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。
そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。
また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。
この記事では、この手引きに基づき、「医療区分㊵:褥瘡」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。
医療区分「褥瘡」の算定要件と評価・判断基準
医療区分「褥瘡」の算定要件と評価・判断基準について解説します。
算定期限(なし)・医療区分2に該当
【処置等に係る医療区分㊵】褥瘡に対する治療(DESIGN-R2020分類d2以上の場合又は褥瘡が2カ所以上に認められる場合に限る。)
| 分類 | 医療区分 | 算定期間 | 評価の単位 |
|---|---|---|---|
| 処置等 | 医療区分2 | 期間に限りなし | 1日毎 |
医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)
医療区分「褥瘡に対する治療」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。
40. 褥瘡に対する治療(DESIGN-R2020分類d2以上の場合又は褥瘡が2カ所以上に認められる場合に限る。)
| 項目の定義 |
| 褥瘡に対する治療(DESIGN-R2020分類d2以上の場合若しくは褥瘡が2カ所以上に認められる状態に限る。) d0: 皮膚損傷・発赤無し d1: 持続する発赤 d2: 真皮までの損傷 D3: 皮下組織までの損傷 D4: 皮下組織を超える損傷 D5: 関節腔、体腔に至る損傷 DDTI: 深部損傷褥瘡(DTI)疑い DU: 深さ判定が不能の場合 |
| 評価の単位 |
| 1日毎 |
| 留意点 |
| 部位、大きさ、深度等の褥瘡の程度について診療録に記載し、それぞれについての治療計画を立て治療を実施している場合に該当するものとする。 ただし、入院又は転院時既に発生していた褥瘡に限り、治癒又は軽快後も30日間に限り、引き続き医療区分2として取り扱うことができる。ただし、当該取り扱いを行う場合については、入院している患者に係る褥瘡の発生割合について、患者または家族の求めに応じて説明を行うこと。 |
医療区分の算定要件・確認事項
医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。
① 褥瘡の確認
褥瘡の状態が、下記のいずれかの場合に限ります。
- DESIGN-R2020分類d2以上の場合
- 褥瘡が2カ所以上認められる場合
② 褥瘡に対する治療の確認
褥瘡に対する治療をしていることを確認します。
褥瘡は、部位・大きさ・深度等について診療録に記載し、治療計画を立て治療を実施している場合に該当します。
③ 入院・転院時の褥瘡の算定
入院または転院時に、既に褥瘡が発生していた場合には、治癒または軽快後も30日間に限り、引き続き医療区分2として取り扱うことができます。
ただし、取り扱いを行うときは、入院している患者に係る褥瘡の発生割合について、患者または家族の求めに応じて説明を行います。
判断・評価のチェックポイント
評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。
① 該当要件のチェックポイント
| 該当要件のチェックポイント | |
|---|---|
| ☐ | 褥瘡に対する治療を実施している状態である。 |
| ☐ | DESIGN-R2020分類d2以上の場合、または褥瘡が2カ所以上に認められる場合に限り該当する。 |
| ☐ | 褥瘡の部位・大きさ・深度等の程度について診療録に記載している。 |
| ☐ | 診療計画を立てて治療を実施している。 |
| ☐ | 治療計画や実施内容を診療録に必ず記載している。 |
② 算定期間のチェックポイント
| 算定期間のチェックポイント | |
|---|---|
| ☐ | 1日毎に評価を行っている。 |
※クリックすると開きます。
≪評価の手引き≫
≪処置等に係る医療区分≫
【算定期間に限りのある医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
【算定期間に限りのない医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
- ㊲ 中心静脈栄養(対象疾患以外、30日を超える)
- ㊳ 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流・血漿交換療法
- ㊴ 肺炎
- ㊵ 褥瘡
- ㊶ 末梢循環障害による下肢末端の開放創
- ㊷ うつ症状
- ㊸ 喀痰吸引(1日8回以上)
- ㊹ 気管切開・気管内挿管(発熱なし)
- ㊺ 創傷、皮膚潰瘍、下腿・足部の蜂巣炎、膿等の感染症
- ㊻ 酸素療法(高密度除く)
≪疾患・状態に係る医療区分≫
【算定期間に限りのある医療区分】
[医療区分2(別表第五の三)]
【算定期間に限りのない医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
- ㉒ 筋ジストロフィー
- ㉓ 多発性硬化症
- ㉔ 筋萎縮性側索硬化症
- ㉕ パーキンソン病関連疾患
- ㉖ その他の指定難病等
- ㉗ 脊髄損傷
- ㉘ 慢性閉塞性肺疾患
- ㉙ 別紙8の2の注2を参照 (※まだまとめていません。)
- ㉚ 基本診療料の施設基準等の別表第五の三の三の患者 (※まだまとめていません。)
- ㉛ 悪性腫瘍(疼痛コントロールが必要な場合に限る)
- ㉜ 末期呼吸器疾患
- ㉝ 末期心不全
- ㉞ 末期腎不全
- ㉟ 他者に対する暴行
- ㊱ A212の注2に規定する準超重症の状態(15歳未満に限る)
≪ADL区分≫
≪身体的拘束の実施≫
医療区分は入院基本料にどう影響するのか?
療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。
入院患者の医療区分・ADL区分の評価
医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。
| 医療の必要度 | 低い | ⇔ | 高い |
| 医療区分 | 医療区分1 | 医療区分2 | 医療区分3 |
ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。
| 介護の必要度 | 低い | ⇔ | 高い |
| ADL区分 | ADL区分1 | ADL区分2 | ADL区分3 |
医療区分・ADL区分による入院料の決定
療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。
医療区分とADL区分の組み合わせは、
- 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
- 処置等に係る医療区分1・2・3
- ADL区分1・2・3
上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。
( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類
⇩⇩⇩⇩⇩⇩
( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介
[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。
「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。
① 割合シート
「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。
≪主な入力項目≫
- 患者氏名
- 日々の入院料
- 前月、前々月の医療区分2・3の総数
- 前月、前々月の延べ患者数
上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。
- その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
- 直近3ヵ月の重症度割合
- 入院料1~30の総数
![[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介](https://kuwahopi.com/wp-content/uploads/2026/04/01割合シート-1024x627.png)
② 分類シート
「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。
≪主な入力項目≫
- ADL区分(その月の主な区分)
- 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容
上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。
- 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
- 医療区分(処置等)の分類(%表示)
- 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
![[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介](https://kuwahopi.com/wp-content/uploads/2026/04/02分類シート.png)
③ 拘束シート
「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。
≪主な入力項目≫
- 身体的拘束を実施した日
- 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
- 前月、前々月の入院料算定日数
上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。
- その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
- 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
![[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介](https://kuwahopi.com/wp-content/uploads/2026/04/03拘束シート.png)
④ 点数シート
「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。
≪主な入力項目≫
- 一般、生活療養における各入院料の数
- 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択
上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。
- 入院料別の診療報酬点数
- 入院料の診療報酬の合計点数
![[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介](https://kuwahopi.com/wp-content/uploads/2026/04/04点数シート-1024x353.png)

