療養病棟入院基本料 「医療区分㊵:褥瘡」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分㊵:褥瘡」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「褥瘡」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「褥瘡」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分2に該当

【処置等に係る医療区分㊵】褥瘡に対する治療(DESIGN-R2020分類d2以上の場合又は褥瘡が2カ所以上に認められる場合に限る。)

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分2期間に限りなし1日毎

医療区分「褥瘡」は、処置等に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「褥瘡に対する治療」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


40. 褥瘡に対する治療(DESIGN-R2020分類d2以上の場合又は褥瘡が2カ所以上に認められる場合に限る。)

項目の定義
褥瘡に対する治療(DESIGN-R2020分類d2以上の場合若しくは褥瘡が2カ所以上に認められる状態に限る。)

d0: 皮膚損傷・発赤無し
d1: 持続する発赤
d2: 真皮までの損傷
D3: 皮下組織までの損傷
D4: 皮下組織を超える損傷
D5: 関節腔、体腔に至る損傷
DDTI: 深部損傷褥瘡(DTI)疑い
DU: 深さ判定が不能の場合
評価の単位
1日毎
留意点
部位、大きさ、深度等の褥瘡の程度について診療録に記載し、それぞれについての治療計画を立て治療を実施している場合に該当するものとする。

ただし、入院又は転院時既に発生していた褥瘡に限り、治癒又は軽快後も30日間に限り、引き続き医療区分2として取り扱うことができる。ただし、当該取り扱いを行う場合については、入院している患者に係る褥瘡の発生割合について、患者または家族の求めに応じて説明を行うこと。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

① 褥瘡の確認

褥瘡の状態が、下記のいずれかの場合に限ります。

  • DESIGN-R2020分類d2以上の場合
  • 褥瘡が2カ所以上認められる場合

② 褥瘡に対する治療の確認

褥瘡に対する治療をしていることを確認します。

褥瘡は、部位・大きさ・深度等について診療録に記載し、治療計画を立て治療を実施している場合に該当します。

③ 入院・転院時の褥瘡の算定

入院または転院時に、既に褥瘡が発生していた場合には、治癒または軽快後も30日間に限り、引き続き医療区分2として取り扱うことができます。

ただし、取り扱いを行うときは、入院している患者に係る褥瘡の発生割合について、患者または家族の求めに応じて説明を行います。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

① 該当要件のチェックポイント

該当要件のチェックポイント
褥瘡に対する治療を実施している状態である。
DESIGN-R2020分類d2以上の場合、または褥瘡が2カ所以上に認められる場合に限り該当する。
褥瘡の部位・大きさ・深度等の程度について診療録に記載している。
診療計画を立てて治療を実施している。
治療計画や実施内容を診療録に必ず記載している。

② 算定期間のチェックポイント

算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                     

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「褥瘡」に関連する用語

「褥瘡」とは?

褥瘡とは、寝たきりなどにより身体の一部が持続的に圧迫されることで血流が悪くなり、皮膚や皮下組織が傷つく状態のことです。

一般的に「床ずれ」とも呼ばれ、骨が突出した部分に起こりやすく、初期には赤みや水ぶくれから始まり、進行すると皮膚が破れたり壊死したりすることもあります。

褥瘡の主な原因
圧迫寝たきりなどで、体の重みによって特定の場所が長時間押しつぶされると、血流が途絶えます。
摩擦・ずれ体を動かす際に、ベッドや衣服などとの摩擦やずれが皮膚を傷つけます。
栄養不良栄養が不足すると、皮膚や組織が弱くなり、褥瘡ができやすくなります。
湿潤汗や尿などで皮膚がふやけていると、皮膚が傷つきやすくなります。
その他高齢、病気による低栄養や筋肉量の低下、感覚の低下などもリスクを高めます。
褥瘡ができやすい場所(骨が突出していて圧迫を受けやすい部位)
背部後頭部、肩甲部、仙骨部など
臀部座骨、大転子部など
下肢かかと、くるぶしなど
褥瘡発生のメカニズム
① 圧迫・摩擦・ずれ長時間、同じ姿勢でいることによる圧迫や、寝具との摩擦・ずれが原因になる。
② 血流の低下圧迫が継続することで、その部分の血液の循環が悪くなり、組織に酸素や栄養が届かなくなる。
③ 組織の損傷血流が滞ることで、組織が損傷し、細胞が死んでしまい、皮膚に傷ができる。
褥瘡の症状の段階
① 初期皮膚が赤くなる、しびれ、痛みを感じる。
② 進行期赤みが赤紫に変わったり、水ぶくれができたり、皮膚がむけたりする(びらん)。
③ 重症期傷が深くなり、皮膚の下の組織や筋肉にまで達する。壊死組織(黒ずんだ部分)ができたり、細菌感染して膿が出たりすることがある。

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「DESIGN-R2020分類」とは?

DESIGN-R®2020は、褥瘡の重症度を評価・分類するスケールで、深さ(D/d)、滲出液(E)、大きさ(S)、炎症・感染(I)、肉芽組織(G)、壊死組織(N)、ポケット(P)の7つの項目で評価します。

褥瘡状態評価スケール:改定DESIGN-R®2020 コンセンサス・ドキュメント(一般社団法人 日本褥瘡学会)

https://jspu.org/medical/books/docs/design-r2020_doc.pdf

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