療養病棟入院基本料 「医療区分㉑:感染症の治療・隔離室での管理」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分㉑:感染症の治療」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「感染症の治療」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「感染症の治療」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分3に該当

【処置等に係る医療区分㉑】感染症の治療の必要性から隔離室での管理

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分3期間に限りなし1日毎

医療区分「感染症の治療」は、処置等に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「感染症の治療の必要性から隔離室での管理」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


21. 感染症の治療の必要性から隔離室での管理

項目の定義
感染症の治療の必要性から隔離室での管理
評価の単位
1日毎
留意点
感染症に対する治療又は管理が行われている期間に限る。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

感染症の診断・管理の確認

感染症と医師から診断を受けており、それに対しての管理を実施していることを確認します。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

① 該当要件のチェックポイント

該当要件のチェックポイント
医師が他に感染する恐れがある感染症と診断しており、その根拠が診療録に適切に記載されている。
起炎菌についての検査結果を診療録に記載しており、客観的データとして確認できる。
感染症患者を隔離する際及び解除する際には、その根拠と理由を明記している。
感染症に対する治療または管理が適切に行われている(使用器具の区別、ガウンテクニック等)。
感染症に感染しているだけではなく、治療または管理を行っている状態であることを確認する。

② 算定期間のチェックポイント

算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                     
感染症に対する治療または管理が行われている期間に限る。

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「感染症の治療」に関連する用語

「感染症」とは?

療養病棟において隔離が必要となる主な感染症は、空気感染や飛沫感染、接触感染などにより他の患者や医療従事者に感染が広がるリスクが高い疾患です。

感染経路と主な隔離対象の感染症
空気感染する疾患・麻疹(はしか)
・水痘(水ぼうそう)
飛沫感染・接触感染する疾患・インフルエンザ
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
・感染性胃腸炎(ノロウイルス、O157など)
・多剤耐性菌感染症(MRSA、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症など)
主な隔離対象の感染症の概要(高齢者)
麻疹(はしか)一度、麻疹に感染したことがある場合は、通常は再度かかることはありません。ただし、高齢者は免疫の低下によって、麻疹にかかるリスクがあります。
水痘(水ぼうそう)過去に水痘にかかったことのある高齢者は、免疫力の低下により帯状疱疹を発症することがあります。加齢とともに発症リスクは高まり、50歳以降から発症率が上昇し、70歳代がピークとなります。高齢者では、「帯状疱疹後神経痛」に移行し、皮膚の症状が治まった後も痛みが続くリスクもあります。
インフルエンザインフルエンザは、飛沫感染を防ぐため原則として個室隔離が行われます。個室が難しい場合は、同じ型のインフルエンザ患者同士を同室にするなどが検討されます。
感染性胃腸炎感染性胃腸炎に対しては、個室隔離と接触予防策が基本となります。個室が望ましく、利用後は清拭消毒を行うほか、患者自身や家族への手指衛生指導も重要です。
多剤耐性菌感染症多剤耐性菌感染症とは、複数の抗菌薬に耐性を持つ細菌による感染症で、治療が困難になることが大きな問題です。免疫力が低下している高齢者では、これらの菌が原因で肺炎や敗血症などの重篤な感染症を引き起こすことがあります。

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「隔離室」とは?

感染症における隔離室は、感染症患者が持つ病原体が他の患者、医療従事者、病院環境へ拡大するのを防ぐために、患者を空間的・物理的に分離して収容する病室を指します。

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