療養病棟入院基本料 「医療区分㊳:人工腎臓、血液濾過、腹膜灌流、血管交換療法」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分㊳:人工腎臓、血液濾過、腹膜灌流、血管交換療法」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「人工腎臓、血液濾過、腹膜灌流、血管交換療法」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「人工腎臓、血液濾過、腹膜灌流、血管交換療法」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分2に該当

【処置等に係る医療区分㊳】人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜潅流又は血漿交換療法

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分2期間に限りなし月1回

医療区分「人工腎臓、血液濾過、腹膜灌流、血管交換療法」は、処置等に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜潅流又は血漿交換療法」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


38. 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜潅流又は血漿交換療法

項目の定義
人工腎臓持続緩徐式血液濾過腹膜潅流又は血漿交換療法
評価の単位
月1回
留意点
人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜潅流又は血漿交換療法について、継続的に適切に行われていれば、毎日行われている必要はないものとする。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

① 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜潅流、血漿交換療法の確認

人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜潅流、血漿交換療法のいずれかを行っていることを確認します。

人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜潅流、血漿交換療法は、継続的に行われていれば、毎日行われている必要はありません。

② 月1回の評価の確認

月に1回は、実施についての評価を行います。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

① 該当要件のチェックポイント

該当要件のチェックポイント
人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜潅流、血漿交換療法を実施している状態である。           
診療計画を作成し、適切な治療・処置をしている。
診療計画や実施内容を診療録に記載している。
透析機関との連携がとれている。

② 算定期間のチェックポイント

算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。その際、人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜潅流又は血漿交換療法について、継続的に適切に行われていれば毎日行われている必要はない。                                    

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「人工腎臓、血液濾過、腹膜灌流、血管交換療法」に関連する用語

「人工腎臓」とは?

人工腎臓とは、腎臓の機能が低下した腎不全の患者さんに対して、血液をろ過して老廃物や余分な水分を取り除く「人工透析」という治療に用いられる医療機器の総称です。

具体的には、血液透析で使われる「ダイアライザー」のことを指し、体外に取り出した血液を装置に通して浄化し、体内に戻す役割を担います。

腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物が蓄積し、命に関わる合併症を引き起こす可能性があるため、週3回(1回4〜5時間程度)治療を行います。

人工腎臓を用いた治療(血液透析)
血液の出し入れ通常、腕の動脈と静脈をつなぐ「シャント」から血液を取り出し、人工腎臓で浄化して、再び静脈に戻します。
治療頻度と時間一般的に1回の透析に4~5時間かかり、週に3回行われます。
治療中の管理血液ポンプや透析液の供給、水分除去などを制御する「コンソール」と呼ばれる機械が使用されます。

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「持続緩徐式血液濾過」とは?

持続緩徐式血液濾過(CRRT: Continuous Renal Replacement Therapy)は、急性腎不全などの重症患者に対し、24時間以上かけてゆっくりと体液調整を行うことで、体への負担を少なくして血液中の老廃物を除去する治療法です。

この治療法は、心臓や血管への負担が少なく、循環動態が不安定な患者にも適用可能です。

特徴
治療の目的急速な腎機能の低下や、重症急性膵炎、劇症肝炎、肝不全などの患者を対象に、体液調整を行い病態を改善します。
治療方法大腿静脈などからカテーテルを挿入し、小型の濾過器を用いて持続的に体外で血液を浄化します。
CRRT 「持続緩徐式血液濾過」はこの治療法の一般的な名称であり、連続して行う血液浄化療法のことです。
利点循環動態が安定:通常の血液透析と比較して、血圧や血漿浸透圧の急激な変化が少ないため、循環動態が不安定な患者にも適しています。
中分子物質の除去:血液濾過器(ヘモフィルター)を用いることで、通常の血液透析では除去しにくい中分子の老廃物も効果的に除去できます。
主な適用疾患
・急性腎不全
・重症急性膵炎
・劇症肝炎
・術後肝不全
・敗血症、多臓器不全など、循環動態が不安定な重症患者

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「腹膜潅流」とは?

腹膜灌流(腹膜透析)とは、腎臓の機能が低下した患者さんの血液を浄化する治療法です。

お腹の中(腹腔)に特別なカテーテルを留置し、腹膜をフィルターとして透析液を注入します。

一定時間お腹にためた後、腹膜を介して血液中の老廃物や余分な水分が透析液に移動し、汚れた液を体外に排出することで血液を浄化します。

腹膜灌流(腹膜透析)の仕組み
カテーテルを埋め込む特殊なカテーテルをお腹に埋め込み、腹腔と外部をつなぎます。
透析液を注入カテーテルから透析液を腹腔内に注入します。
老廃物を除去腹膜の毛細血管を流れる血液と透析液の間で、老廃物や余分な水分が腹膜を介して移動します。
透析液を入れ替える老廃物を含んだ透析液を体外に排出し、新しい透析液に交換することで、血液をきれいにします。
腹膜灌流の主な種類
CAPD(持続携行式腹膜透析)・1日に数回(通常4回)、患者さん自身が透析液バッグを交換します。
・バッグ交換には30分程度かかりますが、生活のスケジュールに合わせて治療できます。
APD(自動腹膜透析)・夜間、寝ている間に自動腹膜灌流装置(サイクラー)が透析液の交換を自動で行います。
・日中の透析液交換が不要なため、仕事や学業など日中の活動がしやすくなります。

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「血漿交換療法」とは?

血漿交換療法は、血液を体外に取り出して血球と血漿に分け、病気の原因となる物質を含む血漿を廃棄し、新しい血漿やアルブミン製剤を補充して体内に戻す治療法です。

この治療は、自己抗体などの有害物質を直接除去したり、不足している凝固因子を補充したりすることで、自己免疫疾患や肝不全などの病気を改善することを目的としています。

具体的な流れ
脱血首や太ももの太い血管から血液を体外に取り出します。
分離血漿分離器で、血液を細胞成分(血球)と液体の血漿成分に分けます。
廃棄・補充病気の原因物質を含む血漿は廃棄し、代わりに新しい新鮮凍結血漿やアルブミン製剤を補充します。
返血血球成分と補充した血漿を合わせて体内に戻します。
特徴
目的病気の原因となる有害物質(自己抗体など)を除去する。
補充凝固因子など、必要な物質を補充する。
治療回数1回で全血漿を交換するわけではないため、病気や個人の状態に合わせて複数回行われることが多いです。
合併症のリスク補充する血漿製剤によるアレルギー反応や感染症のリスクがあります。

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