療養病棟入院基本料 「医療区分㉔:筋萎縮性側索硬化症」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分㉔:筋萎縮性側索硬化症」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「筋萎縮性側索硬化症」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「筋萎縮性側索硬化症」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分2に該当

【疾患・状態に係る医療区分㉔】筋萎縮性側索硬化症

分類医療区分算定期間評価の単位
疾患・状態医療区分2期間に限りなし

医療区分「筋萎縮性側索硬化症」は、疾患・状態に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「筋萎縮性側索硬化症」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


24. 筋萎縮性側索硬化症

項目の定義
筋萎縮性側索硬化症難病の患者に対する医療等に関する法律第5条に規定する指定難病同法第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る。)として定めるものを対象とする。)に罹患している状態
評価の単位
留意点
筋萎縮性側索硬化症に罹患している患者であって、医療受給者証を交付されているもの、又は、特定医療費の支給認定に係る基準を満たす状態にあることを医療関係において確実に診断されるものに限る。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

筋萎縮性側索硬化症の確認

筋萎縮性側索硬化症に罹患していて、以下のいずれかに当てはまるものに限ります。

  • 医療受給者証を交付されている
  • 特定医療費の支給認定に係る基準を満たす状態にあることを医療機関において確実に診断されている

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。


他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

受給者証の交付を受けていない場合の対象基準

受給者証の交付を受けていない患者については、留意点に「特定医療費の支給認定に係る基準を満たす状態にあることを医療機関において確実に診断されるもの」という記載があります。

この医療機関における診断の基準については、医科点数表の解釈に事務連絡の記載がされています。

療養病棟入院基本料に関する事務連絡(医科点数表の解釈:令和6年6月版 p94)

 指定難病については、A101療養病棟入院基本料の「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」19~23(編注:20~24)においては、「同法(難病の患者に対する医療等に関する法律)第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る」と規定されています。
 これについて、病名及び重症度が「特定医療費の支給認定に係る基準」を満たすことを患者が受診する保険医療機関の医師が診断したが、受給者証の交付を受けていない場合も、対象に含まれるか?

 医師が、病名及び重症度が基準を満たすことを客観的な根拠とともに医学的に明確に診断できる場合には含まれる。(平28.6.14 その4・問4)

 指定難病については、A101療養病棟入院基本料の「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」19~23(編注:20~24)においては、「同法(難病の患者に対する医療等に関する法律)第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る」と規定されています。
 これについて、
病名及び重症度が「特定医療費の支給認定に係る基準」を満たすことを患者が受診する保険医療機関の医師が診断したが、受給者証の交付を受けていない場合も、対象に含まれるか?

 医師が、病名及び重症度が基準を満たすことを客観的な根拠とともに医学的に明確に診断できる場合には含まれる。(平28.6.14 その4・問4)

「評価の手引き:医療区分⑳~㉔」について

「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」19~23(編注:20~24)は以下の5つです。

  • 医療区分⑳:筋ジストロフィー
  • 医療区分㉑:多発性硬化症
  • 医療区分㉒:筋萎縮性側索硬化症
  • 医療区分㉓:パーキンソン病関連疾患
  • 医療区分㉔:その他の指定難病等

受給者証の交付を受けていない場合の対象基準

受給者証の交付を受けていない場合も、「評価の手引き」の留意点に「医師が、病名及び重症度が基準を満たすことを客観的な根拠とともに医学的に明確に診断できる場合には含まれる。」と記載があります。

それについて、療養病棟入院基本料に関する事務連絡で、「医師が、病名及び重症度が基準を満たすことを客観的な根拠とともに医学的に明確に診断できる場合には含まれる。」とあるので、医師によって医学的根拠を示した上で判断することで医療区分に該当することになります。

受給者証の交付を受けていない場合であっても、患者が受診する保険医療機関の医師が、病名及び重症度が「特定医療費の支給認定に係る基準」を満たすことを診断する必要があります。また、その医学的な根拠を診療録等に記載することが必要です。


他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「筋萎縮性側索硬化症」に関連する用語

「筋萎縮性側索硬化症」とは?

筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)とは、筋肉を動かす神経(運動ニューロン)が徐々に障害され、筋力が低下したり筋肉がやせたりする進行性の難病です。

症状としては、手足のしびれや筋力低下、ろれつが回らない、食べ物や飲み物をうまく飲み込めない、息苦しさなどが現れます。

感覚や内臓機能は保たれることが普通です。

主な特徴
原因筋肉そのものではなく、筋肉を動かす神経細胞(運動ニューロン)が変性・消失することで起こります。
初期症状・手足の筋力低下、筋萎縮、しびれ
・歩行が困難になる
・話しにくい、飲み込みにくい
進行に伴う症状・全身の筋肉がさらにやせて力がなくなる
・声が出しにくくなる(構音障害)
・食べ物や飲み物を飲み込みにくくなる(嚥下障害)
・最終的に呼吸筋が弱まり、呼吸困難に至る
感覚機能視力、聴力、体の感覚、内臓機能などは通常保たれます。
認知機能意識や知性は正常ですが、約半数のケースで人格変化や行動障害などの認知機能障害を伴うことがあります。

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「難病の患者に対する医療等に関する法律第5条に規定する指定難病」とは?

「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)第5条に規定する指定難病とは、厚生労働大臣が定める一定の要件を満たす難病の疾患群です。

この法律に基づき、指定難病の患者は医療費助成の対象となります。

難病法では、以下の4つの要件をすべて満たすものを「難病」と定義しています。

  1. 発病の機構が明らかでないこと
  2. 治療方法が確立していないこと
  3. 希少な疾病であること
  4. 長期にわたり療養を必要とすること

「難病」の定義を満たすもののうち、厚生労働大臣が定める基準(患者数が本邦において一定の人数に満たないこと等)を満たすものを「指定難病」として定めています。

指定難病の数は定期的に見直されており、2025年4月1日時点では348疾病が対象となっています。

指定難病と診断され、一定の要件(重症度等)を満たす患者は、申請により「特定医療費受給者証」が交付され、医療費の自己負担分が軽減されます。

指定難病の一覧は、厚生労働省のHPで確認することができます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084783.html

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「同法第7条第4項」とは?

同法第7条第4項について、「同法」は前文にある「難病の患者に対する医療等に関する法律」のことなので、「難病法 第7条第4項」のことになります。

難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)第7条第4項は、都道府県が特定医療費の支給認定を行った際の手続きについて定めています。

難病法 第7条第4項

都道府県は、支給認定をしたときは、支給認定を受けた指定難病の患者又はその保護者(以下「支給認定患者等」という。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、支給認定の有効期間その他の厚生労働省令で定める事項を記載した医療受給者証を交付しなければならない。

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「医療受給者証」とは?

難病の「医療受給者証」は、「特定医療費(指定難病)受給者証」のことで、指定難病にかかった医療費の一部助成を受けるための証明書です。

申請は居住地の保健所などに提出し、審査を経て交付されます。

この受給者証は、記載された「指定医療機関」でのみ使用でき、医療費の自己負担額が自己負担上限額まで軽減されます。

医療受給者証について
目的指定難病患者の高額な医療費負担を軽減するための制度です。
対象厚生労働省が定める「指定難病」に該当する方。
内容医療費の自己負担額の上限が定められ、それを超える医療費は助成されます。
申請から交付までの流れ
申請住所地の保健所や、県難病・相談支援センターに申請書を提出します。
審査都道府県や指定都市が審査を行い、承認・不承認が決定されます。
交付承認された場合、「特定医療費(指定難病)受給者証」と「自己負担上限額管理表」が送付されます。
注意点審査結果が出るまで数ヶ月かかることがあります。交付されるまでに指定医療機関で支払った医療費は、後日払い戻しの請求が可能です。
医療受給者証の使い方
受診時医療機関に受給者証を提示し、自己負担上限額までを支払います。
対象医療機関受給者証に記載された「指定医療機関」での治療が対象です。
記載内容助成対象となる病名や、受診する医療機関(基幹病院やかかりつけ医)が記載されています。
変更時かかりつけ医などを変更する際は、都道府県に届け出が必要です。

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「同条第1項」とは?

同条第1項について、「同条」は前文にある「同法第7条第4項(難病法 第7条第4項)」のことなので、「難病法 第7条第1項」のことになります。

難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)第7条第1項は、指定難病患者の支給認定について定めています。

難病法 第7条第1項

都道府県は、前条第1項の申請に係る指定難病の患者が、次の各号のいずれかに該当する場合であって特定医療を受ける必要があるときは、支給認定を行うものとする。

 一 その病状の程度が厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴いて定める程度であるとき。

 ニ その治療状況その他の事情を勘案して政令で定める基準に該当するとき。

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「罹患」とは?

罹患(りかん)とは、病気にかかることを意味しています。

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