療養病棟入院基本料 「医療区分⑭:常時監視・管理」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、医療区分⑭:常時監視」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「常時監視」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「常時監視」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・他に該当区分がある場合は医療区分3(それ以外は医療区分2)

【疾患・状態に係る医療区分⑭】医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態

分類医療区分算定期間評価の単位
疾患・状態医療区分3
(他に該当区分なし:医療区分2)
期間に限りなし1日毎

医療区分「常時監視」は、疾患・状態に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


14. 医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態

項目の定義
循環動態および呼吸状態が不安定なため、常時、動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等のバイタルサインを観察する必要がある等、医師及び看護職員により、24時間体制での監視及び管理を必要とする状態
評価の単位
1日毎
留意点
少なくとも連続して24時間以上「項目の定義」に該当する状態にあること。(初日を含む。)

動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等のバイタルサインが、少なくとも4時間以内の間隔で観察されていること。ただし、医師による治療方針に関する確認が行われていない場合は該当しない。

なお、当該項目は、当該項目を除く医療区分3又は医療区分2の項目に、1つ以上の該当項目がある場合に限り医療区分3として取り扱うものとし、それ以外の場合は医療区分2として取り扱うものとする。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

① 常時監視であることの確認

24時間体制で、監視と管理を実施している状態であることを確認します。

② 医学的必要性の確認

循環動態と呼吸状態が不安定なため、24時間体制で「動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等のバイタルサイン」を観察する必要があるなどの状態を確認します。

その上で、4時間以内の間隔で「動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等のバイタルサイン」が観察されていて、医師による治療方針の確認がされている必要があります。

③ 継続日数の考え方

評価票の記入は、「初日」を含みます。

④ 医療区分の取扱い

本項目のみの該当では、医療区分2として取り扱います。

本項目以外の医療区分2・医療区分3に、1つ以上の該当項目があれば、医療区分3として取り扱います。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

① 該当要件のチェックポイント

該当要件のチェックポイント
医師及び看護職員により、24時間体制での監視および管理が実施されている。
動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等のバイタルサインが少なくとも4時間以内の間隔で観察されている。
医師による治療方針に関する確認が行われている。
本項目以外の医療区分3・医療区分2に、1つ以上の該当項目がある場合は医療区分3として取り扱う。それ以外は、医療区分2として取り扱う。

② 算定期間のチェックポイント

算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。
初日(開始日)は、翌日に24時間以上の条件を満たしていれば該当になる。                  
終了日は、24時間以上の条件を満たさないため該当とならない。


他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「常時監視」に関連する用語

「循環動態」とは?

循環動態とは、「心臓から送り出された血液が血管網を介して全身を巡る」、その状態や仕組みを指します。

循環動態は、「心臓のポンプ機能、血管の抵抗、循環血液量、自律神経、全身の代謝量など」、複数の要素が複雑に関与して成り立っています。

循環動態の主な要素
心臓のポンプ機能血液を送り出すポンプとして、心臓の内圧、拍動、拍出量などが影響します。
血管の状態血管の弾性、抵抗、容量が血流の配分と心臓への還流を調節します。
循環血液量循環系を満たす血液の量で、システム内の圧力を維持します。
自律神経循環系を調節する自律神経の機能も重要な要素です。

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「動脈血酸素飽和度」とは?

動脈血酸素飽和度とは、動脈血中のヘモグロビン(酸素を運ぶタンパク質)のうち、どれくらいの割合が酸素と結合しているかを示す数値(%)です。

これは、体内に十分な酸素が供給されているかどうかの重要な指標であり、一般的に健康な人の正常値は96~99%です。

パルスオキシメーターという機器で皮膚を通して非侵襲的に測定されることが多く、その場合は「SpO2」と表記されます。

SpO2値(%)状態対応
96 ~ 99正常問題なし
91 ~ 95軽度の低下(要注意)安静にして深呼吸し、再測定する
90以下低い(危険な可能性)医師の指示に従い、医療機関に連絡または受診する

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