療養病棟入院基本料 「医療区分⑲:気管切開・気管内挿管(発熱を伴う)」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分⑲:気管切開・気管内挿管(発熱を伴う)」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「気管切開・気管内挿管(発熱を伴う)」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「気管切開・気管内挿管(発熱を伴う)」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分3に該当

【処置等に係る医療区分⑲】気管切開・気管内挿管(発熱を伴う状態に限る。)

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分3期間に限りなし1日毎

医療区分「気管切開・気管内挿管(発熱を伴う)」は、処置等に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「気管切開・気管内挿管」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


19. 気管切開又は気管内挿管(発熱を伴う状態に限る。)

項目の定義
気管切開又は気管内挿管発熱を伴う状態に限る。)
評価の単位
1日毎
留意点
投薬、処置等、発熱に対する治療が行われている場合に限る。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

① 気管切開又は気管内挿管の確認

気管切開または気管内挿管が行われることを確認します。

② 発熱と治療の確認

発熱を伴い、投薬・処置など発熱に対する治療が行われていることを確認します。

発熱がない場合には…

発熱がない場合には、「【処置等に係る医療区分㊹】気管切開又は気管内挿管(発熱を伴う状態を除く。)」に該当することになります。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

① 該当要件のチェックポイント

該当要件のチェックポイント
気管切開、または気管内挿管が行われていて、発熱を伴う状態である。
発熱の確認・記録をしている。
発熱に対して投薬・処置等の治療が行われており、毎回診療録に記載しいる。               
医師は患者の状態を適切に把握し、記録している。
発熱のない場合には、医療区分㊹「気管切開又は気管内挿管(発熱を伴う状態を除く。)」に該当することになる。

② 算定期間のチェックポイント

算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                     

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「気管切開・気管内挿管(発熱を伴う)」に関連する用語

「気管切開」とは?

気管切開とは、肺に空気を送ったり、痰を吸引しやすくしたりするために、気管に人工的な孔(気管孔)を開ける手術です。

呼吸が困難な場合や、分泌物をうまく排出できない場合に、気管切開チューブを挿入して呼吸を確保します。

気管切開の目的
呼吸を助ける上気道が狭くなったり閉塞したりしている場合に、気管に直接呼吸の通り道を作ります。
痰を吸引しやすくする呼吸器系の疾患などで痰や分泌物を排出しにくい場合に、気管孔から吸引しやすくします。
長期的な人工呼吸管理2週間以上人工呼吸器が必要な場合など、長期にわたる管理のために気管切開を選択することがあります。

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「気管内挿管」とは?

気管内挿管とは、口や鼻から気管にチューブ(気管チューブ)を挿入し、気道を確保する医療行為です。

主な目的は、呼吸を補助したり、人工呼吸器を接続したりすることで、重症呼吸不全、全身麻酔中、心肺停止など、気道確保が必要な患者さんの呼吸管理を行うことです。

経口、経鼻の2種類があり、緊急時には経口挿管が一般的です。

気管内挿管の目的
気道確保上気道が閉塞している場合や閉塞の可能性がある場合に、確実な呼吸路を確保します。
人工呼吸器管理人工呼吸器を接続し、呼吸の補助や管理を行います。
誤嚥防止気道への誤った物質の侵入を防ぎます。
気管支鏡検査や治療検査や処置を行う際の気道確保にも用いられます。

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「発熱」とは?

日本の感染症法において「発熱を37.5℃以上、高熱を38℃以上」と定義されています。

また、体温は早朝に低く夕方に高くなるため、1日の中で約1℃の日内変動があると言われ、学術的にハリソン内科学では「午前の体温で37.2℃以上、午後の体温で37.7℃以上を発熱と定義する」と記載されています。

加えて、平熱が低い人の場合には、感染症法やハリソン内科学で定義された体温より低くても、発熱と捉える必要があります。

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