療養病棟入院基本料 「医療区分㉟:他者に対する暴行」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分㉟:他者に対する暴行」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「他者に対する暴行」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「他者に対する暴行」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分2に該当

【疾患・状態に係る医療区分㉟】他者に対する暴行が毎日認められる状態

分類医療区分算定期間評価の単位
疾患・状態医療区分2期間に限りなし1日毎

医療区分「他者に対する暴行」は、疾患・状態に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「他者に対する暴行が毎日認められる状態」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


35. 他者に対する暴行が毎日認められる状態

項目の定義
他者に対する暴行が毎日認められる状態
評価の単位
1日毎
留意点
本項目でいう他者に対する暴行が毎日認められる状態とは、例えば、他者を打つ、押す、ひっかく等が認められる状態をいう。なお、医師又は看護師の合計2名以上(ただし、少なくとも1名は医師であることとする)により「他者に対する暴行が毎日認められる」との判断の一致がある場合に限る。

なお、医師を含めた当該病棟(床)の医療従事者により、原因や治療方針について検討を行い、治療方針に基づき実施したケアの内容について診療録等に記載すること。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

① 他者に対する暴行の確認

他者に対する暴行(他者を打つ、押す、ひっかくなど)が毎日認められる状態であることを確認します。

② 暴行の判断者

暴行の判断は、医師と看護師の合計2名以上で判断します。

少なくとも1名は医師であることが必要です。

③ 診療録への記載

暴行の原因や治療方針については検討を行い、そのケアの内容を診療録等に記載します。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

① 該当要件のチェックポイント

該当要件のチェックポイント
本項目の「暴行」とは、例えば、他者を打つ、押す、ひっかく等が認められる状態をいう。
医師また看護師の合計2名以上(少なくとも1名は医師)で判断し、判断の一致がある場合に限り該当する。
暴行(他者を打つ、押す、ひっかく等)が認められた旨、経過記録に記載できている。
判定の確認を医師が行っている。
診断された根拠と治療の経過が記載されている。

② 算定要件に対するチェックポイント

算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                     

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「他者に対する暴行」に関連する用語

「暴行」とは?

暴行は、相手の身体に有形力を行使する行為(殴る、蹴る、押すなど)です。

相手に物理的な接触がない場合でも、身体に影響を及ぼす可能性がある行為は暴行とみなされます。

具体的には、つばを吐く、胸ぐらを掴む、相手に物を投げる、耳元で大声を出す、大声で怒鳴りつけるといった行為が該当します。

認知症患者の多い慢性期医療の現場では、自身の要求が満たされないことへの怒りによって、看護師や看護補助者へ暴力を振るう事例もあります。

また、患者から身体を触られる、無理矢理に抱きつかれるといったセクシャルハラスメント行為も、性的な目的を持った暴行に該当する可能性があります。

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