療養病棟入院基本料 「医療区分⑰:人工呼吸器」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分⑰:人工呼吸器」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「人工呼吸器」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「人工呼吸器」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分3に該当

【処置等に係る医療区分⑰】人工呼吸器の使用

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分3期間に限りなし1日毎

医療区分「人工呼吸器」は、処置等に係る医療区分に分類され、算定期間の限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「人工呼吸器の使用」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


17. 人工呼吸器の使用

項目の定義
人工呼吸器の使用
評価の単位
1日毎
留意点
診療報酬の算定方法の別表第一第2章第9部の「J045 人工呼吸」の「3 5時間を超えた場合(1日につき)」を算定している場合に限る。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


「J045 人工呼吸」(医科点数表の解釈:令和8年6月版:抜粋)

医科点数表の解釈では、「J045 人工呼吸」は以下のように記載があります。

J045 人工呼吸

1 30分までの場合  302点

2 30分を超えて5時間までの場合

 302点に30分又はその端数を増すごとに50点を加算して得た点数

3 5時間を超えた場合(1日につき)

 イ 14日まで  1,140点

 ロ 15日目以降 815点

医科点数表の解釈(令和8年6月版)

「3 5時間を超えた場合(1日につき)」のときに、本項目に該当します。

医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

① 人工呼吸器の使用の確認

人工呼吸器の使用していることを確認します。

② 人工呼吸器の使用時間の確認

人工呼吸器の使用時間が5時間を超えていることを確認します。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

① 該当要件のチェックポイント

該当要件のチェックポイント
1日につき5時間を超えて人工呼吸器が装着されている。
人工呼吸の算定をしている。
必要に応じて動脈血酸素飽和度・動脈血ガス等を実施し、人工呼吸器の条件を調整している。
医師が適切に状態の把握を行い、診療録に記載している。
鼻マスク式人工呼吸器を用いた場合は、重症急性呼吸不全の場合に限り人工呼吸に準じて算定する。

② 算定期間のチェックポイント

算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                      

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「人工呼吸器」に関連する用語

「人工呼吸器」とは?

人工呼吸器とは、呼吸不全の患者の呼吸を人工的に助ける、または代行する医療機器です。

ガス交換を改善し、呼吸の負担を減らすことが主な目的です。

強制的に呼吸を管理するモードや自発呼吸を補助するモードがあり、病状や状況に応じて様々な種類の装置が使われます。

人工呼吸器の主な目的
呼吸の補助・代行自分の力で呼吸が困難な患者さんの代わりに呼吸を行います。
ガス交換の改善酸素を供給し、二酸化炭素を排出するガス交換を助けます。
呼吸仕事量の軽減呼吸に使う筋肉の負担を減らします。
肺を休ませる疾患の治療に専念するため、肺を休ませる時間を作ります。
主な種類
陽圧式人工呼吸器人工呼吸器から陽圧のガスを送り込み、肺を膨らませる方法です。現在主流のタイプで、マスクを使用する非侵襲的陽圧換気(NPPV)と、気管切開チューブや挿管チューブを使用する侵襲的陽圧換気(IPPV)があります。
陰圧式人工呼吸器過去にポリオなどの治療で使われた「鉄の肺」が有名で、胸郭の外から陰圧をかけて胸郭を広げ、呼吸を補助する方法です。
主な使用モード
強制換気モード患者の自発呼吸がない場合に、呼吸回数や空気の量を人工呼吸器側で規定して全てを管理するモードです。
補助換気モード患者の自発呼吸を維持しながら、人工呼吸器が呼吸を補助するモードです。

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「別表第一第2章第9部の「J045 人工呼吸」の「3 5時間を超えた場合(1日につき)」」とは?

J045 人工呼吸

1 30分までの場合 302点

2 30分を超えて5時間までの場合

 302点に30分又はその端数を増すごとに50点を加算して得た点数

3 5時間を超えた場合(1日につき)

 イ 14日目まで 950点

 ロ 15日目以降 815点

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p786

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