療養病棟入院基本料 「医療区分㊶:末梢循環障害による下肢末端の開放創」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分㊶:末梢循環障害による下肢末端の開放創」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「末梢循環障害による下肢末端の開放創」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「末梢循環障害による下肢末端の開放創」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分2に該当

【処置等に係る医療区分㊶】末梢循環障害による下肢末端の開放創に対する治療

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分2期間に限りなし1日毎

医療区分「末梢循環障害による下肢末端の開放創」は、処置等に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「末梢循環障害による下肢末端の開放創に対する治療」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


41. 末梢循環障害による下肢末端の開放創に対する治療

項目の定義
末梢循環障害による下肢末端開放創に対する治療(以下の分類にて第2度以上に該当する場合に限る。)

第1度:皮膚の発赤が持続している部位があり、圧迫を取り除いても消失しない(皮膚の損傷はない)
第2度:皮膚層の部分的喪失:びらん、水疱、浅いくぼみとして表れる
第3度:皮膚層がなくなり潰瘍が皮下組織にまで及ぶ。深いくぼみとして表れ、隣接組織まで及んでいることもあれば、及んでいないこともある
第4度:皮膚層と皮下組織が失われ、筋肉や骨が露出している
評価の単位
1日毎
留意点

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

① 開放創に対する治療の確認

末梢循環障害による下肢末端の開放創に対する治療をしていることを確認します。

② 第2度以上に該当することを確認

末梢循環障害による下肢末端の開放創は、本項目に規定された分類で、第2度以上に該当する場合に限ります。

第1度皮膚の発赤が持続している部位があり、圧迫を取り除いても消失しない(皮膚の損傷はない)
第2度皮膚層の部分的喪失:びらん、水疱、浅いくぼみとして表れる
第3度皮膚層がなくなり潰瘍が皮下組織にまで及ぶ。深いくぼみとして表れ、隣接組織まで及んでいることもあれば、及んでいないこともある
第4度皮膚層と皮下組織が失われ、筋肉や骨が露出している

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

① 該当要件のチェックポイント

該当要件のチェックポイント
末梢循環障害による下肢末端の開放創に対する診断と治療が適切に行われている。            
診療計画を立てて治療を実施している。
診療計画や実施内容が診療録に適切に記載されている。
医師が治癒を確認している。

② 算定期間のチェックポイント

算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                     

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「下肢末端の開放創」に関連する用語

「末梢循環障害」とは?

末梢循環障害は、手足の末梢血管に動脈硬化などが原因で血流が悪くなる状態です。

主な症状は、手足の冷感、しびれ、痛み、そして歩行時に足が痛くなる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」で、進行するとじっとしていても痛みが出たり(安静時痛)、皮膚の潰瘍や壊死を起こすこともあります。

糖尿病や高血圧、高脂血症、喫煙などが原因となり、心臓や脳の動脈硬化につながるリスクも高いため、早期の受診が重要です。

主な症状
冷感、しびれ、痛み手足の冷えやしびれ、ピリピリとした痛み。
間欠性跛行歩いているとふくらはぎなどが痛くなり、しばらく休むと治まるが、また歩き始めると痛む症状。
安静時痛病気が進行すると、じっとしていても足が痛む。
皮膚のただれ、潰瘍、壊死重症化すると、傷が治りにくくなり、組織が死んでしまう。
原因
動脈硬化血管が硬くなり、狭くなったり、詰まったりする。
生活習慣病糖尿病、高血圧、高脂血症などが動脈硬化を進行させる。
喫煙血管を縮め、血流を悪化させる。

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「下肢末端」とは?

「下肢末端」は、足の先や足指、足首などの、脚の最も末端の部分を指します。

この部位には、末梢神経障害や末梢動脈疾患(PAD)など、血行不良や神経の傷によって冷え、しびれ、痛みなどの症状が起こりやすい特徴があります。

下肢末端の主な疾患と症状
末梢動脈疾患(PAD)原因:動脈硬化により血管が細くなったり詰まったりして血行が悪くなる病気。
症状:歩行時のしびれや痛み、冷感、進行すると歩行困難や安静時痛などが生じることがあります。
末梢神経障害原因:糖尿病、ビタミン欠乏、ストレスなど、末梢神経が傷つくことによって起こります。
症状:しびれ、痛み、感覚異常などがあります。
末端冷え性原因:血液の循環が悪くなることで、手足の末端だけが冷たく感じる状態です。
症状:手足の冷感。体温自体は正常な場合も多いです。

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「開放創」とは?

「開放創(かいほうそう)」とは、皮膚や皮下組織が断裂し、外部に開いた状態の傷を指します。

例としては、擦り傷、切り傷、刺し傷、火傷などがあります。

閉鎖創(打撲や挫傷など)と区別され、外部からの異物や細菌が侵入しやすいため、適切な処置が必要です。

開放創の種類
切創(せっそう)ナイフなどの鋭いもので切られた傷で、傷口が直線的になります。
割創(かっそう)重い鈍器などがぶつかることで生じ、皮膚が割れたような傷です。
刺創(しそう)釘や木片などの鋭いもので刺された傷で、傷口は小さいものの、深くまで達することがあります。
裂創(れっそう)強い力で皮膚が引き裂かれた傷で、傷口の縁が不規則になります。
挫創(ざそう)鈍的な外力によって皮膚が圧迫され、組織が損傷した状態です。傷の縁は不規則で、深く損傷していることがあります。
 皮創(はくひそう)強い力で皮膚が剥がされてしまった傷です。
 擦過創(さっかそう)擦りむいた傷で、皮膚の表層が損傷します。

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