療養病棟入院基本料 「医療区分①:24時間持続点滴」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分①:24時間持続点滴」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「24時間持続点滴」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「24時間持続点滴」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(連続7日を限度)・医療区分3に該当

【処置等に係る医療区分①】24時間持続しての点滴

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分3連続7日を限度1日毎

医療区分「24時間持続点滴」は、処置等に係る医療区分に分類され、算定期間は連続7日を限度とされています。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「24時間持続しての点滴」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


1. 24時間持続しての点滴

項目の定義
24時間持続しての点滴
評価の単位
1日毎
留意点
本項目でいう24時間持続しての点滴とは、経口摂取が困難な場合、循環動態が不安定な場合又は電解質異常が認められるなど体液の不均衡が認められる場合に限るものとする。(初日を含む。)
また、連続した7日間を超えて24時間持続して点滴を行った場合は、8日目以降は該当しないものとする。ただし、一旦非該当となった後、再び病状が悪化した場合には、本項目に該当する。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

① 24時間持続点滴の確認

24時間点滴を持続している状態であることを確認します。

点滴開始初日は、24時間点滴は実施されていませんが、「24時間持続点滴の指示」があることで初日も該当することになります。

② 医学的必要性の確認

24時間持続しての点滴の必要性について確認します。

点滴の必要性は、下記の理由に限られています。

  • 経口摂取が困難な場合
  • 循環動態が不安定な場合
  • 電解質異常などによる体液の不均衡が認められる場合

③ 継続日数の考え方

24時間持続点滴が行われている日をカウントします。

その際、「初日(開始日)」を含んで評価票の記入を行い、「終了日」の記入は行いません。

評価票の記入は、連続7日間までになり8日目以降は記入できません。

ただし、一旦非該当になった後に再び病状が悪化して、再度、24時間持続しての点滴を開始した場合、該当要件を満たしていれば、評価票への記入が可能になります。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

① 該当要件のチェックポイント

該当要件のチェックポイント
24時間持続して点滴を実施している状態である。
下記のいずれかを原因として、24時間点滴をしている。
・経口摂取が困難
・循環動態が不安定
・電解質異常が認められるなど体液の不均衡が認められる
24時間の持続点滴が必要である根拠を診療録に記載している。
必要な検査を定期的に実施している。
点滴が必要でなくなった場合には、その理由を記載し終了を明記している。                 
非該当になった後に、病状悪化により24時間持続点滴を再開する場合には、その根拠を診療録に記載している。

② 算定期間のチェックポイント

算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。
初日(開始日)は、翌日に24時間持続の条件を満たしていれば該当になる。
点滴の終了日は、24時間持続の条件の要件を満たさないため該当とならない。
連続した7日間を超えて24時間持続点滴を行っていても、8日目以降は該当しない。
一旦非該当となった後、再び病状が悪化した場合には該当になる。                        

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分「24時間持続点滴」の記入例

医療区分「24時間持続点滴」の記入例です。

初日(開始日)の記入例

点滴の指示があり、11/1 pm3:00より点滴を開始。

11/1はpm3:00から点滴を開始したため24時間持続しての点滴ではないが、11/2も24時間持続して点滴を行っているので、11/1も「該当」となる。

日付症状・治療評価票
11/1点滴指示(pm3:00より点滴開始)該当
11/224時間持続しての点滴該当
11/324時間持続しての点滴該当

初日(開始日)は、翌日に24時間持続の条件を満たしていれば該当になります。

終了日の記入例

11/1に点滴の指示があり、24時間持続しての点滴を開始。

11/4に点滴終了の指示があり、pm8:00に点滴終了。

日付症状・治療評価票
11/1点滴指示(pm3:00より点滴開始)該当
11/224時間持続しての点滴該当
11/324時間持続しての点滴該当
11/4点滴終了の指示(pm8:00に点滴終了)非該当

点滴の終了日は、24時間持続の条件の要件を満たさないため非該当になります。

24時間持続点滴が10日間継続中の記入例

11/1に点滴の指示があり、24時間持続しての点滴が開始。

その後、24時間持続しての点滴が10日間継続中。

日付症状・治療評価票
11/1点滴指示(pm3:00より点滴開始)該当(1日目)
11/224時間持続しての点滴該当(2日目)
11/324時間持続しての点滴該当(3日目)
11/424時間持続しての点滴該当(4日目)
11/524時間持続しての点滴該当(5日目)
11/624時間持続しての点滴該当(6日目)
11/724時間持続しての点滴該当(7日目)
11/824時間持続しての点滴非該当(8日目)
11/924時間持続しての点滴非該当(9日目)
11/1024時間持続しての点滴非該当(10日目)

連続した7日間を超えて24時間持続点滴を行っていても、8日目以降は「非該当」になります。


他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「24時間持続点滴」に関連する用語

「24時間持続しての点滴」とは?

24時間持続点滴とは、点滴を1日かけて一定の速度でゆっくり投与する方法です。

血糖値の乱高下を防いだり、水分・電解質のバランスを安定させたりする目的で行われます。

主に、高カロリー輸液を投与する場合や、心疾患・腎疾患のある患者、薬剤の持続的な効果が必要な場合に行われます。

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「経口摂取」とは?

経口摂取とは、「食べ物や飲み物を口から入れて、噛んで、飲み込むことで栄養を摂る」、一般的な食事方法のことです。

医療や介護の分野では、経管栄養(チューブで直接栄養剤を送る方法)や点滴(静脈から栄養を補給する方法)と区別して用いられます。

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「循環動態」とは?

循環動態とは、「心臓から送り出された血液が血管網を介して全身を巡る」、その状態や仕組みを指します。

循環動態は、「心臓のポンプ機能、血管の抵抗、循環血液量、自律神経、全身の代謝量など」、複数の要素が複雑に関与して成り立っています。

循環動態の主な要素
心臓のポンプ機能血液を送り出すポンプとして、心臓の内圧、拍動、拍出量などが影響します。
血管の状態血管の弾性、抵抗、容量が血流の配分と心臓への還流を調節します。
循環血液量循環系を満たす血液の量で、システム内の圧力を維持します。
自律神経循環系を調節する自律神経の機能も重要な要素です。

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「電解質異常」とは?

電解質異常とは、ナトリウムやカリウムといった体内の電解質バランスが崩れた状態です。

電解質は、体内の水分量を調整し、神経や筋肉の働きを正常に保ち、心臓の鼓動を維持するなどの生命活動に不可欠な役割を担っています。

電解質異常になると、だるさ、吐き気、筋肉のけいれん、不整脈、意識障害などの症状を引き起こします。

原因腎臓の機能障害、脱水、発熱、下痢・嘔吐、ホルモン異常など
症状だるさ、吐き気、筋肉のけいれん、不整脈、意識障害など

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「体液の不均衡」とは?

体液不均衡とは、体内の水分や電解質(ミネラル)のバランスが崩れた状態を指します。

具体的には、体液量が過剰になったり不足したり、体液の濃度や酸性・アルカリ性のバランスが崩れたりすることです。

代表例としては、血液透析を始めた初期に起こりうる「不均衡症候群」が挙げられます。

体液不均衡の例
不均衡症候群(血液透析導入期)血液中の老廃物を透析で急激に取り除くことで、脳内の老廃物との濃度差が生じ、脳が水分を吸収してむくみ(脳圧上昇)が起こり、頭痛や吐き気などを引き起こします。
脱水症体液が過剰に失われ、体液量が減少した状態です。水分や電解質が不足し、倦怠感、頭痛、めまい、頻脈などが起こります。
体液過剰水分や塩分をうまく排泄できず体液が過剰になり、むくみや高血圧、進行すると心不全や肺水腫などを引き起こします。
高カリウム血症体内のカリウム濃度が上昇し、しびれや不整脈、脱力感、味覚異常などが起こり、重症では心停止に至る可能性もあります。

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