療養病棟入院基本料 「医療区分㉘:慢性閉塞性肺疾患」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分㉘:慢性閉塞性肺疾患」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「慢性閉塞性肺疾患」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「慢性閉塞性肺疾患」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分2に該当

【疾患・状態に係る医療区分㉘】慢性閉塞性肺疾患(ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態に該当する場合に限る。)

分類医療区分算定期間評価の単位
疾患・状態医療区分2期間に限りなし

医療区分「慢性閉塞性肺疾患」は、疾患・状態に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「慢性閉塞性肺疾患」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


28. 慢性閉塞性肺疾患(ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態に該当する場合に限る。)

項目の定義
慢性閉塞性肺疾患ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態に該当する場合に限る。)
評価の単位
留意点

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

慢性閉塞性肺疾患の確認

慢性閉塞性肺疾患に罹患していることを確認します。

その上で、ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態に該当する場合に限ります。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

該当要件のチェックポイント
慢性閉塞性肺疾患であり、ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態の場合に限り該当する。
原因疾患の経過記録がある。
ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態である記録がある。
診療・看護計画が作成されている。

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「慢性閉塞性肺疾患」に関連する用語

「慢性閉塞性肺疾患」とは?

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、喫煙などによって肺に長期的な炎症が起こり、気管支や肺胞が破壊・狭窄することで、慢性的な咳や痰、息切れが起こる病気です。

以前は「肺気腫」や「慢性気管支炎」と呼ばれていましたが、これらを含む総称として使われます。

病気が進行すると、歩行などの身体活動で息切れを感じるようになり、生活の質が大きく損なわれます。

スパイロメトリー(呼吸機能検査)を行い、1秒率が70%未満であれば診断されます。

主な原因
喫煙日本のCOPDの90%以上は喫煙が原因です。本人の喫煙だけでなく、受動喫煙も原因となります。
その他大気汚染、粉じん、遺伝なども原因となることがあります。
主な症状
慢性的な咳や痰長期間続く咳と痰が特徴です。
息切れはじめは階段昇降など身体活動時に感じられますが、病状が悪化すると平地歩行でも息切れするようになります。
喘鳴(ぜいめい)ゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸音。
急性増悪風邪などをきっかけに症状が短期間で急激に悪化することがあります。

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「ヒュー・ジョーンズの分類」とは?

ヒュー・ジョーンズ(Hugh-Jones)分類は、呼吸困難の重症度を労作時の症状によってI度からV度の5段階で評価する基準です。

これは、歩行や階段昇降などの運動能力が、同年齢の健康な人と比べてどの程度制限されているかで判断されます。

分類呼吸困難の程度
Ⅰ度同年齢の健常者と同様に動ける。
歩行、階段昇降も健常者並みにできる。
Ⅱ度同年齢の健常者と同様に動ける。
坂、階段の昇降は健常者並みにはできない。
Ⅲ度平地でさえ健常者並みに歩けないが、自分のペースでなら1マイル(1.6km)以上歩ける。
Ⅳ度休みながらでなければ50ヤード(約46m)も歩けない。
Ⅴ度会話、衣服の着脱にも息切れをする。息切れのため外出できない。

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