療養病棟入院基本料 「医療区分㉗:脊髄損傷」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分㉗:脊髄損傷」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「脊髄損傷」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「脊髄損傷」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分2に該当

【疾患・状態に係る医療区分㉗】脊髄損傷(頸椎損傷を原因とする麻痺が四肢すべてに認められる場合に限る。)

分類医療区分算定期間評価の単位
疾患・状態医療区分2期間に限りなし

医療区分「脊髄損傷」は、疾患・状態に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「脊髄損傷」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


27. 脊髄損傷(頸椎損傷を原因とする麻痺が四肢すべてに認められる場合に限る。)

項目の定義
脊髄損傷頸椎損傷を原因とする麻痺四肢すべてに認められる場合に限る。)
評価の単位
留意点
頸椎損傷の場合に限り該当するものとする。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

頸椎損傷の確認

頸椎損傷であることを確認します。

頸椎損傷は、麻痺が四肢すべてに認められる場合に限ります。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

該当要件のチェックポイント
頸椎損傷による麻痺が四肢すべてに認められる場合に限り該当する。
頸椎損傷の損傷部位を画像診断により確認している。
四肢麻痺の有無について確認し、記録している。
四肢麻痺に対してのリハビリテーションを実施している。                           
診療・看護計画が作成されている。

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「脊髄損傷」に関連する用語

「脊髄損傷」とは?

脊髄損傷とは、脳から全身への神経信号を伝達する「脊髄」が、外傷や病気によって損傷する状態です。

これにより、運動機能、感覚機能、自律神経機能(排泄など)に障害が生じることがあります。

損傷の程度や場所によって、症状はしびれ程度の軽微なものから、手足の麻痺や感覚の消失などの重篤なものまで様々です。

主な症状
運動麻痺手足が動かせなくなる、筋力低下
感覚麻痺触覚、痛み、温度などが感じなくなる
排泄機能障害膀胱や腸の機能が低下し、自分でコントロールできなくなる
自律神経障害血圧、体温、発汗などを調整する機能の乱れ
症状の程度と分類
完全損傷損傷部位以下のすべての運動・感覚機能が完全に失われた状態。
不全損傷一部の機能が残存している状態。例えば、手足は動かせないが、触られた感覚は残っているなど。

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「頸椎損傷」とは?

頸椎損傷とは、首の骨(頸椎)が外傷によって骨折や脱臼を起こし、内部の脊髄や神経が傷つく状態です。

この損傷により、痛みや麻痺、しびれといった神経症状が出現し、重症の場合は四肢麻痺や呼吸障害につながる可能性があり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

主な原因は交通事故や転倒、スポーツ事故などです。

頚椎損傷の概要
定義首の骨である頸椎が、交通事故や転倒などの外傷によって骨折、ひび割れ、脱臼などを起こした状態です。
原因交通事故、高所からの転落、スポーツ中の事故(ラグビー、柔道など)、スポーツでのプールへの飛び込みなどが主な原因です。
特徴頸椎のすぐ内側を脊髄が走行しており、頸椎が損傷すると、その衝撃で脊髄が圧迫されたり、傷ついたりします。この脊髄の損傷を「頸髄損傷」と呼びます。
主な症状軽度:しびれ、痛みなど
重度:手足の麻痺(四肢麻痺)、筋力低下、呼吸困難、呼吸不全など
重要性頸椎は四肢や呼吸の機能に関わる重要な神経が通っているため、一度損傷すると回復しない可能性も高く、早期の診断と適切な処置が不可欠です。

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「麻痺」とは?

麻痺とは、脳や脊髄、末梢神経などの障害によって、手足や顔などの体の動きが思い通りに動かせなくなる状態です。

運動機能の低下や消失を指し、軽い力が入らない状態から、全く動かせない状態まで様々です。

筋力低下だけでなく、感覚の鈍さやしびれを伴うこともあります。

麻痺の主な特徴
原因脳卒中や脊髄損傷などの中枢神経系の疾患のほか、糖尿病などの内科的疾患、末梢神経の障害などが原因となります。
経路の異常脳の運動中枢から、脊髄、末梢神経を通って筋肉へ伝わる命令の経路のどこかに障害が起きると、麻痺が起こります。
症状運動麻痺:力が入らなくなる状態です。
感覚麻痺:感覚が鈍くなる、または感じなくなる状態です。
程度完全麻痺:完全に動かせない。
不全麻痺:一部を動かせる。
部位四肢麻痺:両側の上肢(腕、手)、下肢(足)が麻痺している状態
片麻痺:左右どちらかの上下肢(腕、手、足)が麻痺している状態
対麻痺:両下肢のみが麻痺している状態
単麻痺:左右どちらかの上肢のみ、下肢のみが麻痺している状態

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「四肢」とは?

四肢は、体から離れた両腕(上肢)と両脚(下肢)を合わせたものです。

具体的には、手・腕・足・脚のすべてを指します。

胴体は体幹になります。

上肢(じょうし)両腕(腕の骨、前腕の骨、手首、手)
下肢(かし)両脚(太もも、すね、足首、足)
体幹(たいかん)胴体

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