療養病棟入院基本料 「医療区分㊴:肺炎」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分㊴:肺炎」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「肺炎」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「肺炎」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分2に該当

【処置等に係る医療区分㊴】肺炎に対する治療

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分2期間に限りなし1日毎

医療区分「肺炎」は、処置等に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「肺炎に対する治療」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


39. 肺炎に対する治療

項目の定義
肺炎に対し画像診断及び血液検査を行い、肺野に明らかな浸潤影を認め、血液検査上炎症所見を伴い、治療が必要な場合
評価の単位
1日毎
留意点

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

① 肺炎の確認

肺炎であることを画像診断と血液検査で確認します。

  • 画像診断 ⇨ 肺野に明らかな湿潤影
  • 血液検査 ⇨ 炎症所見

② 肺炎に対しての治療の確認

肺炎に対して必要な治療を実施していることを確認します。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

① 該当要件のチェックポイント

該当要件のチェックポイント
肺炎の治療を実施している状態である。
画像診断(胸部XP・CT)により、肺野に明らかな浸潤影があることを確認している。           
血液検査上炎症所見を確認し、記録している。
炎症及び改善についての医師の判定記録を確認している。
肺炎に対する治療を実施し、経過を記録している。
医師が治癒を確認している。

② 算定期間のチェックポイント

算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                     

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「肺炎」に関連する用語

「肺炎」とは?

肺炎とは、細菌やウイルスなどの病原体が肺に感染して炎症を起こした状態です。

主な症状には、発熱、痰の絡む咳、息苦しさなどがあります。

風邪をこじらせて発症することも多く、特に高齢者や体力が低下している人は重症化しやすいため注意が必要です。

また、療養病棟の入院患者では、誤嚥性肺炎にも注意が必要です。

誤嚥性肺炎とは、本来口から食道へ入るべき唾液や食べ物、胃液などが誤って気管に入ってしまい(誤嚥)、そこに含まれる細菌が肺に感染して炎症を起こす肺炎のことです。

嚥下機能の低下した高齢者や神経疾患のある人、口腔内の衛生状態が悪い場合に発症しやすく、特徴的な症状は食事中のむせ込みや咳、発熱、痰の増加です。

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「画像診断」とは?

画像診断とは、X線、CT、MRI、超音波、PETなどの画像検査によって得られた画像から病変の有無や状態を判断する医療技術です。

これらは、体内の状態を視覚的に把握し、がんの早期発見や治療方針の決定、治療効果の判定などに不可欠な役割を果たします。

主な画像診断の種類と特徴
X線検査(レントゲン)X線を照射して体内の影を撮影します。骨折や内臓の損傷、腫瘍の有無などを確認できます。
CT検査X線を利用し、体の輪切り断面を撮影します。単純なX線検査よりも詳細な断面像が得られます。
MRI検査強力な磁気と電波を利用して、X線被曝なく体内の断面像を撮影します。CTでは正常組織との区別がつきにくい臓器のがん診断に有用です。
超音波検査(エコー検査)超音波を体に当て、その反響を画像化します。リアルタイムで体の内部を観察でき、X線被曝がないため、繰り返し検査が可能です。
PET検査微量の放射性物質を注射し、体内で集まる場所を画像化します。がん細胞は活発に活動するため、PETで検出できることがあります。
画像診断の役割
診断補助医師が診断を行うための「目」となり、病変の有無や位置、広がりを確認します。
早期発見健康診断などで行われ、症状が出る前の病気の早期発見に貢献します。
治療方針の決定病変の正確な位置や広がりを把握し、適切な治療方針を立てるための重要な情報を提供します。
治療効果の判定と再発のチェック治療が効果を上げているか、治療後に再発がないかなどを確認します。

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「肺野に明らかな浸潤影」とは?

「肺野に明らかな浸潤影」は、肺に液体や細胞成分が貯留して、レントゲンやCT検査でぼんやりとした白い影として映る所見を指します。

これは、肺炎や気管支炎などの感染症、肺結核、あるいは肺がんの可能性など、様々な病気が原因で起こりえます。

考えられる原因
肺炎、気管支炎など細菌やウイルス、マイコプラズマなどが原因の感染症。
肺がん・肺腫瘍がん細胞が周囲に炎症を引き起こしている場合や、浸潤影が肺がんの兆候である場合がある。
肺結核、非結核性抗酸菌症結核菌や抗酸菌による感染。
サルコイドーシス原因不明の肉芽腫(炎症の塊)ができる病気。
心不全、心臓弁膜症心臓の機能低下により肺に水が溜まる場合がある。

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「血液検査上炎症所見」とは?

血液検査における主な炎症所見は、CRP(C反応性タンパク質)と赤沈(ESR)です。

これらは体内で炎症が起きると増加し、感染症や炎症性疾患の存在を示唆する指標となります。

CRPは炎症が起きてから数時間で上昇し、比較的早く変動する一方、赤沈は慢性的な炎症の評価に適しています。

これらの検査値はあくまで指標であり、炎症の場所を特定することはできません。

正確な診断のためには、自覚症状や他の検査結果と合わせて総合的に判断する必要があります。

CRP(C反応性タンパク質)
役割炎症や組織の破壊が起こると、肝臓で作られて血液中に増加するタンパク質です。
基準値通常は0.3mg/dL未満です。
高値の場合風邪などの軽い炎症でも上昇しますが、3.0mg/dL以上になると細菌感染症や強い炎症を伴う疾患(膠原病、がん、心筋梗塞など)が疑われます。
特徴炎症の程度や治療効果を把握する上で重要な指標です。
赤沈(ESR:赤血球沈降速度)
役割血液中の赤血球が血漿中を沈降する速度を測定します。フィブリノゲンなどの増加を反映し、炎症の強さや病気の活動性を示します。
高値の場合炎症が強い場合に高くなります。関節リウマチなどの慢性炎症の活動性を評価する際に用いられます。
特徴CRPに比べてゆっくりと上昇・下降し、慢性炎症の評価に適しています。

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