療養病棟入院基本料 「医療区分⑦:脱水(発熱を伴う)」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分⑦:脱水(発熱を伴う)」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「脱水(発熱を伴う)」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「脱水に対する治療」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(連続7日を限度)・医療区分2

【処置等に係る医療区分⑦】脱水に対する治療(発熱を伴う状態に限る。)

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分2連続7日を限度1日毎

医療区分「脱水に対する治療」は、処置等に係る医療区分に分類され、算定期間は連続7日を限度とされています。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「脱水に対する治療(発熱を伴う状態に限る。)」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


7. 脱水に対する治療(発熱を伴う状態に限る。)

項目の定義
脱水に対する治療(発熱を伴う状態に限る。)
評価の単位
1日毎
留意点
発熱に対する治療を行っている場合に限る。

尿量減少、体重減少、BUN/Cre比の上昇等が認められ、脱水に対する治療を実施している状態。

連続した7日間を超えて脱水に対する治療を行った場合は、8日目以降は該当しない。ただし、一旦非該当となった後、再び病状が悪化した場合には、本項目に該当する。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

① 脱水に対しての治療を確認

脱水とは、下記のような状態になります。

  • 尿量減少
  • 体重減少
  • BUN/Cre比の上昇  など

脱水の確認とそれに対する治療をしていることを確認します。

② 発熱に対しての治療を確認

発熱に対して治療をしていることを確認します。

③ 継続日数の考え方

脱水と発熱の治療が行われている日をカウントします。

評価票の記入は、連続7日間までになり8日目以降は記入できません。

ただし、一旦非該当になった後に、再び病状が悪化して治療を開始した場合、該当要件を満たしていれば、評価票への記入が可能になります。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

① 該当要件のチェックポイント

該当要件のチェックポイント
尿量の減少、体重の減少、BUN/CRE比の上昇等により判断している。
脱水の症状に加えて、発熱を伴う状態である。
脱水、発熱に対する治療を実施している。
[クーリング、解熱剤、輸液、水分補給など]
治癒については、医師が診断し、その根拠を診療録に記載している。
一旦治癒しなければ、新たには本項目に該当しないことを確認している。                

② 算定期間のチェックポイント

算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。
連続した7日間を超えて脱水に対する治療を行った場合は、8日目以降は該当しない。
一旦非該当となった後、再び病状が悪化した場合には該当になる。                        

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分「脱水(発熱を伴う)」の記入例

医療区分「脱水(発熱を伴う)」の記入例です。

発熱を伴う脱水症状への治療を10日間継続中の記入例

11/1から発熱を伴う脱水症状あり、治療を開始。

その後、症状に対する治療を10日間継続中。

日付症状・治療評価票
11/1発熱を伴う脱水症状、治療を開始該当(1日目)
11/2発熱を伴う脱水症状、治療を継続該当(2日目)
11/3発熱を伴う脱水症状、治療を継続該当(3日目)
11/4発熱を伴う脱水症状、治療を継続該当(4日目)
11/5発熱を伴う脱水症状、治療を継続該当(5日目)
11/6発熱を伴う脱水症状、治療を継続該当(6日目)
11/7発熱を伴う脱水症状、治療を継続該当(7日目)
11/8発熱を伴う脱水症状、治療を継続非該当(8日目)
11/9発熱を伴う脱水症状、治療を継続非該当(9日目)
11/10発熱を伴う脱水症状、治療を継続非該当(10日目)

発熱を伴う脱水症状が継続していても、連続した7日間を超えると8日目以降は「非該当」になります。

4日目から発熱なしになった場合の記入例

11/1から発熱を伴う脱水症状あり、治療を開始。

その後、4日目以降、発熱は治まる。

日付症状・治療評価票
11/1発熱を伴う脱水症状、治療を開始該当(1日目)
11/2発熱を伴う脱水症状、治療を継続該当(2日目)
11/3発熱を伴う脱水症状、治療を継続該当(3日目)
11/4脱水症状、治療を継続。発熱なし。非該当(4日目)
11/5脱水症状、治療を継続。発熱なし。非該当(5日目)
11/6脱水症状も改善。発熱なし。非該当(6日目)

発熱が伴わない脱水の場合には「非該当」になります。


他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「脱水(発熱を伴う)」に関連する用語

「脱水」とは?

脱水とは、生命維持に必要な水分や電解質(塩分など)が不足した状態です。

主な原因は、発汗、嘔吐、下痢、発熱などで、体から水分や電解質が通常より多く失われることによって起こります。

脱水の原因
発汗暑い環境で運動したり、発熱したりすると、体は体温を調節するために汗をかきます。
病気嘔吐、下痢、発熱といった感染症も原因となります。
不十分な水分摂取喉の渇きを感じる前に水分補給をしないと、不足しがちになります。
脱水の兆候
初期症状喉の渇き、皮膚や口の乾燥、めまい、立ちくらみ。
進行した症状頭痛、倦怠感、だるさ、尿の量が減る、尿の色が濃くなる。
重度の症状意識障害や錯乱が起こることがあります。

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「発熱」とは?

日本の感染症法において「発熱を37.5℃以上、高熱を38℃以上」と定義されています。

また、体温は早朝に低く夕方に高くなるため、1日の中で約1℃の日内変動があると言われ、学術的にハリソン内科学では「午前の体温で37.2℃以上、午後の体温で37.7℃以上を発熱と定義する」と記載されています。

加えて、平熱が低い人の場合には、感染症法やハリソン内科学で定義された体温より低くても、発熱と捉える必要があります。

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「BUN/Cre比」とは?

BUN/Cre比は、血液検査で測定される尿素窒素(BUN)とクレアチニン(Cre)の比率で、腎機能や脱水状態を評価するために確認されます。

基準値は約10で、この比率が20以上になる場合は脱水や出血、心不全など、腎臓へ向かう血流が減っている「腎前性」の腎機能低下が疑われます。

一方で、尿素窒素(BUN)とクレアチニン(Cre)がともに上昇していても比率が20未満の場合は、腎臓そのものがダメージを受けている「腎性」の腎機能低下の可能性が高くなります。

比率状態考えられる原因
BUN/Cre比 < 10基準値内正常な腎機能
BUN/Cre比 ≥ 20高値腎臓の血流低下(腎前性)
・脱水
・心不全
・出血  など
BUN/Cre比:20未満
(両方とも高値)
高値腎臓自体の問題(腎性)
・腎臓のダメージ
BUN/Cre比を評価する目的
脱水腎臓は、水分が不足すると尿細管で尿素をより多く再吸収します。クレアチニン(Cre)は尿細管で再吸収されにくいため、脱水時には尿素窒素(BUN)だけが上昇し、結果としてBUN/Cre比は高くなります。
腎機能低下腎臓そのものに問題がある場合、尿素窒素(BUN)とクレアチニン(Cre)の両方が排泄されにくくなり、値が上昇します。
尿細管機能低下腎臓の尿細管機能が低下すると、尿素の再吸収が減るためBUN/Cre比は低くなります。

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