療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。
そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。
また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。
この記事では、この手引きに基づき、「医療区分㉒:筋ジストロフィー」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。
医療区分「筋ジストロフィー」の算定要件と評価・判断基準
医療区分「筋ジストロフィー」の算定要件と評価・判断基準について解説します。
算定期限(なし)・医療区分2に該当
【疾患・状態に係る医療区分㉒】筋ジストロフィー
| 分類 | 医療区分 | 算定期間 | 評価の単位 |
|---|---|---|---|
| 疾患・状態 | 医療区分2 | 期間に限りなし | ― |
医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)
医療区分「筋ジストロフィー」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。
22. 筋ジストロフィー
| 項目の定義 |
| 筋ジストロフィー(難病の患者に対する医療等に関する法律第5条に規定する指定難病(同法第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る。)として定めるものを対象とする。)に罹患している状態 |
| 評価の単位 |
| ー |
| 留意点 |
| 筋ジストロフィーに罹患している患者であって、医療受給者証を交付されているもの、又は、特定医療費の支給認定に係る基準を満たす状態にあることを医療機関において確実に診断されるものに限る。 |
医療区分の算定要件・確認事項
医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。
筋ジストロフィーの確認
筋ジストロフィーに罹患していて、以下のいずれかに当てはまるものに限ります。
- 医療受給者証を交付されている
- 特定医療費の支給認定に係る基準を満たす状態にあることを医療機関において確実に診断されている
※クリックすると開きます。
≪評価の手引き≫
≪処置等に係る医療区分≫
【算定期間に限りのある医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
【算定期間に限りのない医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
- ㊲ 中心静脈栄養(対象疾患以外、30日を超える)
- ㊳ 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流・血漿交換療法
- ㊴ 肺炎
- ㊵ 褥瘡
- ㊶ 末梢循環障害による下肢末端の開放創
- ㊷ うつ症状
- ㊸ 喀痰吸引(1日8回以上)
- ㊹ 気管切開・気管内挿管(発熱なし)
- ㊺ 創傷、皮膚潰瘍、下腿・足部の蜂巣炎、膿等の感染症
- ㊻ 酸素療法(高密度除く)
≪疾患・状態に係る医療区分≫
【算定期間に限りのある医療区分】
[医療区分2(別表第五の三)]
【算定期間に限りのない医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
- ㉒ 筋ジストロフィー
- ㉓ 多発性硬化症
- ㉔ 筋萎縮性側索硬化症
- ㉕ パーキンソン病関連疾患
- ㉖ その他の指定難病等
- ㉗ 脊髄損傷
- ㉘ 慢性閉塞性肺疾患
- ㉙ 別紙8の2の注2を参照 (※まだまとめていません。)
- ㉚ 基本診療料の施設基準等の別表第五の三の三の患者 (※まだまとめていません。)
- ㉛ 悪性腫瘍(疼痛コントロールが必要な場合に限る)
- ㉜ 末期呼吸器疾患
- ㉝ 末期心不全
- ㉞ 末期腎不全
- ㉟ 他者に対する暴行
- ㊱ A212の注2に規定する準超重症の状態(15歳未満に限る)
≪ADL区分≫
≪身体的拘束の実施≫
受給者証の交付を受けていない場合の対象基準
受給者証の交付を受けていない患者については、留意点に「特定医療費の支給認定に係る基準を満たす状態にあることを医療機関において確実に診断されるもの」という記載があります。
この医療機関における診断の基準については、医科点数表の解釈に事務連絡の記載がされています。
療養病棟入院基本料に関する事務連絡(医科点数表の解釈:令和6年6月版 p94)
指定難病については、A101療養病棟入院基本料の「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」19~23(編注:20~24)においては、「同法(難病の患者に対する医療等に関する法律)第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る」と規定されています。
これについて、病名及び重症度が「特定医療費の支給認定に係る基準」を満たすことを患者が受診する保険医療機関の医師が診断したが、受給者証の交付を受けていない場合も、対象に含まれるか?
医師が、病名及び重症度が基準を満たすことを客観的な根拠とともに医学的に明確に診断できる場合には含まれる。(平28.6.14 その4・問4)
「評価の手引き:医療区分⑳~㉔」について
「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」19~23(編注:20~24)は以下の5つです。
- 医療区分⑳:筋ジストロフィー
- 医療区分㉑:多発性硬化症
- 医療区分㉒:筋萎縮性側索硬化症
- 医療区分㉓:パーキンソン病関連疾患
- 医療区分㉔:その他の指定難病等
受給者証の交付を受けていない場合の対象基準
受給者証の交付を受けていない場合も、「評価の手引き」の留意点に「医師が、病名及び重症度が基準を満たすことを客観的な根拠とともに医学的に明確に診断できる場合には含まれる。」と記載があります。
それについて、療養病棟入院基本料に関する事務連絡で、「医師が、病名及び重症度が基準を満たすことを客観的な根拠とともに医学的に明確に診断できる場合には含まれる。」とあるので、医師によって医学的根拠を示した上で判断することで医療区分に該当することになります。
受給者証の交付を受けていない場合であっても、患者が受診する保険医療機関の医師が、病名及び重症度が「特定医療費の支給認定に係る基準」を満たすことを診断する必要があります。また、その医学的な根拠を診療録等に記載することが必要です。
※クリックすると開きます。
≪評価の手引き≫
≪処置等に係る医療区分≫
【算定期間に限りのある医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
【算定期間に限りのない医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
- ㊲ 中心静脈栄養(対象疾患以外、30日を超える)
- ㊳ 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流・血漿交換療法
- ㊴ 肺炎
- ㊵ 褥瘡
- ㊶ 末梢循環障害による下肢末端の開放創
- ㊷ うつ症状
- ㊸ 喀痰吸引(1日8回以上)
- ㊹ 気管切開・気管内挿管(発熱なし)
- ㊺ 創傷、皮膚潰瘍、下腿・足部の蜂巣炎、膿等の感染症
- ㊻ 酸素療法(高密度除く)
≪疾患・状態に係る医療区分≫
【算定期間に限りのある医療区分】
[医療区分2(別表第五の三)]
【算定期間に限りのない医療区分】
[医療区分3(別表第五のニ)]
[医療区分2(別表第五の三)]
- ㉒ 筋ジストロフィー
- ㉓ 多発性硬化症
- ㉔ 筋萎縮性側索硬化症
- ㉕ パーキンソン病関連疾患
- ㉖ その他の指定難病等
- ㉗ 脊髄損傷
- ㉘ 慢性閉塞性肺疾患
- ㉙ 別紙8の2の注2を参照 (※まだまとめていません。)
- ㉚ 基本診療料の施設基準等の別表第五の三の三の患者 (※まだまとめていません。)
- ㉛ 悪性腫瘍(疼痛コントロールが必要な場合に限る)
- ㉜ 末期呼吸器疾患
- ㉝ 末期心不全
- ㉞ 末期腎不全
- ㉟ 他者に対する暴行
- ㊱ A212の注2に規定する準超重症の状態(15歳未満に限る)
≪ADL区分≫
≪身体的拘束の実施≫
医療区分は入院基本料にどう影響するのか?
療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。
入院患者の医療区分・ADL区分の評価
医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。
| 医療の必要度 | 低い | ⇔ | 高い |
| 医療区分 | 医療区分1 | 医療区分2 | 医療区分3 |
ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。
| 介護の必要度 | 低い | ⇔ | 高い |
| ADL区分 | ADL区分1 | ADL区分2 | ADL区分3 |
医療区分・ADL区分による入院料の決定
療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。
医療区分とADL区分の組み合わせは、
- 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
- 処置等に係る医療区分1・2・3
- ADL区分1・2・3
上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。
( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類
⇩⇩⇩⇩⇩⇩
( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介
[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。
「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。
① 割合シート
「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。
≪主な入力項目≫
- 患者氏名
- 日々の入院料
- 前月、前々月の医療区分2・3の総数
- 前月、前々月の延べ患者数
上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。
- その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
- 直近3ヵ月の重症度割合
- 入院料1~30の総数
![[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介](https://kuwahopi.com/wp-content/uploads/2026/04/01割合シート-1024x627.png)
② 分類シート
「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。
≪主な入力項目≫
- ADL区分(その月の主な区分)
- 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容
上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。
- 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
- 医療区分(処置等)の分類(%表示)
- 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
![[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介](https://kuwahopi.com/wp-content/uploads/2026/04/02分類シート.png)
③ 拘束シート
「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。
≪主な入力項目≫
- 身体的拘束を実施した日
- 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
- 前月、前々月の入院料算定日数
上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。
- その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
- 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
![[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介](https://kuwahopi.com/wp-content/uploads/2026/04/03拘束シート.png)
④ 点数シート
「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。
≪主な入力項目≫
- 一般、生活療養における各入院料の数
- 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択
上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。
- 入院料別の診療報酬点数
- 入院料の診療報酬の合計点数
![[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介](https://kuwahopi.com/wp-content/uploads/2026/04/04点数シート-1024x353.png)

