療養病棟入院基本料 「医療区分⑱:ドレーン法、胸腔洗浄・腹腔洗浄」の評価ポイント【R8.6診療報酬改定対応】

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※本記事は「医科点数表の解釈 令和8年6月版」を基にしています。

療養病棟に入院する患者の医療区分やADL区分は、療養病棟入院基本料の算定に直結する重要な評価です。

そのため、入院患者ごとに毎日これらの区分を確認し、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に正確に記録することになっています。

また、その評価を行う際には、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を基準として用いることになっています。

この記事では、この手引きに基づき、「医療区分⑱:ドレーン法、胸腔洗浄・腹腔洗浄」の項目を分かりやすく解説し、現場での評価のポイントを整理します。

医療区分・ADL区分の評価は、必ず「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解した上で行いましょう。

目次

医療区分「ドレーン法、胸腔洗浄・腹腔洗浄」の算定要件と評価・判断基準

医療区分「ドレーン法、胸腔洗浄・腹腔洗浄」の算定要件と評価・判断基準について解説します。

算定期限(なし)・医療区分3に該当

【処置等に係る医療区分⑱】ドレーン法又は胸腔若しくは腹腔の洗浄

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分3期間に限りなし1日毎

医療区分「ドレーン法、胸腔洗浄・腹腔洗浄」は、処置等に係る医療区分に分類され、算定期間に限りはありません。

医療区分の定義(医科点数表の解釈での記載事項)

医療区分「ドレーン法又は胸腔若しくは腹腔の洗浄」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


18. ドレーン法又は胸腔若しくは腹腔の洗浄

項目の定義
ドレーン法又は胸腔若しくは腹腔の洗浄
評価の単位
1日毎
留意点
胸腔又は腹腔のドレーン又は洗浄を実施しているものに限る。

リンクをクリックすると、関連用語の説明を確認できます。


医療区分の算定要件・確認事項

医療区分の評価に間違いがないように、以下の点に注意しましょう。

ドレーン法、胸腔・腹腔洗浄の確認

胸腔・腹腔のドレーン、または洗浄を実施していることを確認します。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

判断・評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

① 該当要件のチェックポイント

該当要件のチェックポイント
ドレーン法、胸腔洗浄、腹腔洗浄のいずれかを実施している。
状態についての経過記録がある。
洗浄や処置についての看護計画が作成されている。                           
洗浄・処置についてのマニュアルがある。
診察・看護計画が作成されている。

② 算定期間のチェックポイント

算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                     

他の医療区分を確認する
※クリックすると開きます。

≪評価の手引き≫

≪処置等に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪疾患・状態に係る医療区分≫

【算定期間に限りのある医療区分】

[医療区分2(別表第五の三)]

【算定期間に限りのない医療区分】

[医療区分3(別表第五のニ)]

[医療区分2(別表第五の三)]

≪ADL区分≫

≪身体的拘束の実施≫

医療区分は入院基本料にどう影響するのか?

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を行い、それをもとに入院料が決定する仕組みになっています。

入院患者の医療区分・ADL区分の評価

医療区分は「入院患者の医療必要度」を評価したもので、その評価によって「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。

医療の必要度低い高い
医療区分医療区分1医療区分2医療区分3

ADL区分は「入院患者の介護必要度」を評価したもので、その評価によって「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。

介護の必要度低い高い
ADL区分ADL区分1ADL区分2ADL区分3

医療区分・ADL区分による入院料の決定

療養病棟入院基本料は30分類に分かれていて、医療区分とADL区分の組み合わせによって、入院料1~入院料30までのいずれかになる仕組みになっています。

医療区分とADL区分の組み合わせは、

  • 疾患・状態に係る医療区分1・2・3
  • 処置等に係る医療区分1・2・3
  • ADL区分1・2・3

上記の3つを組み合わせた27分類に、「スモンに関する3分類」を加えた計30分類の入院料になっています。


( 疾患・状態の医療区分1~3 × 処置等の医療区分1~3 × ADL区分1~3 )
+
スモン3分類

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30分類の入院料

[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

[令和8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合について、Excelシートをnoteにて公開中です。

「医療区分2・3の割合|Excelシート」では、以下の4シートをひと月分として、入力を行っていきます。

① 割合シート

「割合シート」では、医療区分2・3の割合を求めます。

≪主な入力項目≫

  • 患者氏名
  • 日々の入院料
  • 前月、前々月の医療区分2・3の総数
  • 前月、前々月の延べ患者数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の最大入院数、最小入院数、延べ患者数、重症度割合
  • 直近3ヵ月の重症度割合
  • 入院料1~30の総数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

② 分類シート

「分類シート」では、入院患者の医療区分を分類します。

≪主な入力項目≫

  • ADL区分(その月の主な区分)
  • 算定した医療区分(疾患・状態)(処置等)の内容

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 医療区分(疾患・状態)の分類(%表示)
  • 医療区分(処置等)の分類(%表示)
  • 医療区分(疾患・状態)と医療区分(処置等)を合わせた分類(%表示)
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

③ 拘束シート

「拘束シート」では、身体的拘束の実施割合を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 身体的拘束を実施した日
  • 前月、前々月の身体的拘束を実施した日数
  • 前月、前々月の入院料算定日数

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • その月の身体的拘束の実施日数、入院料算定日数、身体的拘束の実施割合
  • 直近3ヵ月の身体的拘束の実施割合
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

④ 点数シート

「点数シート」では、入院料の件数に対しての診療報酬を計算します。

≪主な入力項目≫

  • 一般、生活療養における各入院料の数
  • 入院基本料1、入院基本料2、特別入院基本料の選択

上記項目の入力によって、以下が自動計算されます。

  • 入院料別の診療報酬点数
  • 入院料の診療報酬の合計点数
[R8年度診療報酬改定版]医療区分2・3の割合|Excelシートの紹介

医療区分「ドレーン法、胸腔洗浄・腹腔洗浄」に関連する用語

「ドレーン法」とは?

ドレーン法は、体内に貯留した血液、膿、滲出液、消化液、空気などの不要な物質をドレーンという管を使って体外に排出する医療行為です。

感染予防や治療、症状の軽減などを目的として行われ、胸腔、腹腔、心嚢など、様々な部位に行われます。

ドレナージの種類と目的
胸腔ドレナージ気胸、胸水、膿胸、血胸などの場合に、胸腔に溜まった空気や液体を排出します。
腹腔ドレナージ腹部臓器の術後に、腹腔内に溜まった血液や滲出液、消化液などを排出します。
心嚢ドレナージ心臓手術後に心嚢内に溜まる体液を排出し、心タンポナーデ(心臓の圧迫)を防ぎます。
胆管ドレナージ胆管に貯留した胆汁を排出します。
関節腔ドレナージ関節内の貯留液を排出します。
脳室ドレナージ脳室に貯留した脳脊髄液を排出します。
リンパドレナージリンパ浮腫などの治療として、リンパ液の流れを促します。

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「胸腔洗浄」とは?

胸腔洗浄とは、胸腔内に溜まった液体(胸水、膿、血液など)や空気を、ドレーンチューブなどを使って体外に排出する処置のことです。

肺が圧迫されて呼吸困難になるのを防ぎ、肺の再膨張を促す目的で行われます。

また、洗浄によって胸腔内の状態を確認したり、溜まった膿を洗い流したりするためにも行われます。

胸腔洗浄の主な目的
肺の再膨張を促す気胸などにより肺が虚脱している場合、胸腔から空気を抜くことで肺が広がるのを助けます。
貯留物を排出する血液、胸水、膿などが溜まった場合に、これらを体外に排出して、呼吸困難や胸部圧迫感を改善します。
洗浄する膿胸のように膿が溜まっている場合、生理食塩水などを使って洗い流し、感染の改善を図ります。

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「腹腔洗浄」とは?

腹腔洗浄とは、腹腔内の血液や膿、異物などを取り除くために、生理食塩水などの洗浄液を注入して洗浄することです。

主に、腹部外傷後の緊急処置、手術中、腹膜透析(PD)などで用いられます。

主な目的と方法
緊急時の診断(診断的腹腔洗浄)腹部外傷後の開腹手術の要否を判断するために、カテーテルを腹腔内に挿入し、洗浄液を注入・吸引して、血液の有無などを調べます。超音波検査(FAST)が普及したため、現在ではこの目的での使用は減っていますが、意識障害などで腹部の所見が取れない場合に用いられることがあります。
手術時手術中に腹腔内を生理食塩水で洗浄し、汚染物質や血塊を取り除きます。洗浄液がきれいになるまで行うのが一般的です。洗浄液の温度は、組織への負担を減らすために体温程度に温めて行われます。
腹膜透析(PD)腹膜透析の治療中に、腹腔内の排液を入れ替えるために行われます。
がんの診断手術時にがん細胞が腹膜や胸膜に転移していないかを確認するため、洗浄液を採取して細胞を調べることがあります(術中洗浄細胞診)

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