診療報酬の算定において、「医科点数表の解釈(白ぼん)」の理解は必須になります。
「医科点数表の解釈(白ぼん)」の構成や見方・読み方などをしっかり把握しておきましょう。
この記事では、「療養病棟入院基本料における褥瘡対策加算」について基本的な概要と考え方をまとめます。
医科点数表の解釈での「褥瘡対策加算」の記載内容
医科点数表の解釈における「褥瘡対策加算」に関係する記載箇所をまとめました。
A101 療養病棟入院基本料 注4
【A101 療養病棟入院基本料 注4】
当該病棟に入院している患者のうち、別に厚生労働大臣が定める状態のものに対して、必要な褥瘡対策を行った場合に、患者の褥瘡の状態に応じて、1日につき次に掲げる点数を所定点数に加算する。
イ 褥瘡対策加算1 15点
ロ 褥瘡対策加算2 5点
医科点数表の解釈(令和8年6月版)p96
褥瘡対策加算の対象となる状態「注4」
【A101 療養病棟入院基本料 注4】に記載される「別に厚生労働大臣が定める状態」については、以下の記載があります。
【褥瘡対策加算の対象となる状態「注4」】
◇ 基本診療料の施設基準等
第五 病院の入院基本料の施設基準等
三 療養病棟入院基本料の施設基準等
(5)療養病棟入院基本料の注4に規定する厚生労働大臣が定める状態
別表第五の四に掲げる状態
別表第五の四 療養病棟入院基本料及び有床診療所療養病床入院基本料の注4に規定する厚生労働大臣が定める状態
ADL区分3の状態
(平20.3.5 厚生労働省告示第62号)
(最終改正;令8.3.5 厚生労働省告示第70号)
医科点数表の解釈(令和8年6月版)p100
療養病床入院基本料について:(9)
【療養病床入院基本料について:抜粋】
(9)「注4」に規定する褥瘡対策加算1及び2は、ADL区分3の状態の患者について、「別紙様式46※1」の「褥瘡対策に関する評価」を用いて褥瘡の状態を確認し、治療及びケアの内容を踏まえ毎日評価し、以下により算定する。
なお、以下において、「褥瘡対策に関する評価」における褥瘡の状態の評価項目のうち「深さ」の項目の点数は加えない当該患者のDESIGN-R2020※2の合計点数を「DESIGN-R2020の合計点」といい、暦月内におけるDESIGN-R2020の合計点が最も低かった日の点数を当該月における「実績点」という。
また、褥瘡の状態の評価の結果を「基本診療料施設基準通知」の「別添6」の「別紙8の2」の「医療区分・ADL区分等に係る評価票(療養病棟入院基本料)」の所定欄に記載し、治療及び看護の計画を見直した場合には、その内容を診療録等に記載する。
なお、特別入院基本料を算定する場合は、当該加算は算定できない。
ア 褥瘡対策加算1については、入院後若しくは新たに当該加算に係る評価を始めて暦月で3月を超えない間又は褥瘡対策加算2を算定する日以外の日において算定する。
イ 褥瘡対策加算2については、直近2月の実績点が2月連続して前月の実績点を上回った場合であって、DESIGN-R2020の合計点が前月の実績点より上回った日に算定する。
医科点数表の解釈(令和8年6月版)p93
別紙様式46(※1)

【別紙様式46の補助】褥瘡対策に関する評価:30日版
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DESIGN-R 2020:資料(※2)
「DESIGN-R 2020」は、日本褥瘡学会で無料ダウンロードできるようになっています。
褥瘡対策加算に関する事務連絡
【療養病棟入院基本料に関する事務連絡】:一部抜粋
問
療養病棟入院基本料の注4に規定する褥瘡対策加算については、毎日評価が必要だが、
① 治療上、交換を要しない創傷被覆材を用いた際、褥瘡の状態を毎日評価できないが、評価はどのように行えばよいか?
② 褥瘡が複数箇所あるばあい、それぞれの褥瘡の評価の点数は合算すればよいか?
答
① 治療の必要から褥瘡を創傷被覆材で覆い、1日のうちに状態が確認できない場合、創傷被覆材を用いている間の評価は、創傷被覆材を用いる直前の状態等、直近で確認した際の状態で評価すること。また、確認できない旨について、診療録等に記載すること。
② 複数の褥瘡がある場合は、重症度の高い褥瘡の点数を用いること。
(平30.7.10 その5・問15)
医科点数表の解釈(令和8年6月版)p97
療養病棟入院基本料における「褥瘡対策加算」の解釈
療養病棟入院基本料での「褥瘡対策加算」に関する記載についての解釈をまとめていきます。
ADL区分3の患者に対して褥瘡対策加算を算定する
褥瘡対策加算を算定できる対象患者は、ADL区分3の状態の患者となっています。
対象患者に対して必要な褥瘡対策を行った場合に、褥瘡の状態に応じた点数(褥瘡対策加算1:15点)(褥瘡対策加算2:5点)を加算するようになっています。
なお、療養病棟入院基本料1・2ではなく特別入院基本料を算定している場合には、褥瘡対策加算は算定できません。
ADL区分3の状態の患者
(必要な褥瘡対策を実施)
⇩⇩⇩⇩⇩
褥瘡対策加算1(15点)・褥瘡対策加算2(5点)
(加算は1日ごとに行う)
※特別入院基本料を算定している場合、褥瘡対策加算は算定不可
「別紙様式46:褥瘡対策に関する評価」で毎日評価をする
ADL区分3の状態の患者に対する褥瘡対策の評価を行い、その結果によって褥瘡対策加算1と褥瘡対策加算2を振り分けます。
褥瘡の状態は、「別紙様式46:褥瘡対策に関する評価」を用いて行い、治療・ケアの内容を踏まえた評価の結果を出します。
ADL区分3の状態の患者
⇩⇩⇩⇩⇩
「別紙様式46:褥瘡対策に関する評価」で褥瘡の状態を確認
治療・ケアの内容を踏まえて「毎日評価」
⇩⇩⇩⇩⇩
評価の結果によって「褥瘡対策加算1 or 2」を振り分け
評価の結果で「褥瘡対策加算1・褥瘡対策加算2」を振り分ける
「別紙様式46:褥瘡対策に関する評価」を用いた評価の結果によって、「褥瘡対策加算1・褥瘡対策加算2」を振り分けます。
評価の結果についての振り分けの概要は以下のようになります。
≪褥瘡対策加算1≫
- 入院後、暦月で3月を超えない期間
- 新たに褥瘡対策加算の評価を始めて、暦月で3月を超えない期間
- 褥瘡対策加算2を算定しない日
≪褥瘡対策加算2≫
直近2月の実績点が2月連続して前月の実績点を上回り、DESIGN-R2020の合計点が前月の実績点を上回った日
「実績点」と「DESIGN-R2020の合計点」については、以下のように説明されています。
「別紙様式46:褥瘡対策に関する評価」における褥瘡の状態の評価項目のうち
- 「深さ」の項目の点数を加えないDESIGN-R2020の合計点数を「DESIGN-R2020の合計点」
- 暦月内の「DESIGN-R2020の合計点」で最も低い点数を「当該月の実績点」
評価の結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記載する
褥瘡の状態の評価結果は、「基本診療料施設基準通知」の「別添6:別紙8の2:医療区分・ADL区分等に係る評価票(療養病棟入院基本料)」に記載します。
また、褥瘡に対する治療・看護の計画を見直した場合には、その内容を診療録等に記載します。
◆ DESIGN-R2020の合計点は、「医療区分・ADL区分等に係る評価票(療養病棟入院基本料)」の所定欄に記載します。
◆ 褥瘡の治療・看護の計画を見直した場合には、診療録等に記載します。
「褥瘡対策加算」の算定のながれ
褥瘡対策加算の算定は、以下のような流れになります。
褥瘡対策加算の算定フローチャート

ADL区分の確認
入院患者の日々のADL区分を確認します。
「ADL区分3」の場合には、褥瘡対策加算を算定可能です。
「別紙様式46:褥瘡対策に関する評価」で毎日評価
「別紙様式46:褥瘡対策に関する評価」を用いて褥瘡の状態を確認し、治療・ケアの内容を踏まえて毎日評価を行います。
褥瘡の状態の評価には、「DESIGN-R 2020」を使用します。
※毎日の評価についての注意事項として、以下の点に注意しましょう。
- 治療上、交換不要の創傷被覆材で覆い、毎日評価ができない場合には、創傷被覆材を用いる直前の状態等、直近で確認した際の状態で評価します。確認できない旨については、診療録等に記載します。
- 複数の褥瘡がある場合は、重症度の高い褥瘡の点数を用います。
「DESIGN-R 2020」の合計点
「DESIGN-R 2020」による褥瘡の評価は、以下の表に記載された項目について実施し、褥瘡の状態が悪くなるほど高い点数になります。
各項目ごとに評価を行い、各項目の点数を合計した0~66点の合計点が、 「DESIGN-R 2020」の合計点になります。
| 評価の内容 | 評価点 |
|---|---|
| 滲出液 | 0・1・3・6 |
| 大きさ(㎠) | 0・3・6・8・9・12・15 |
| 炎症・感染 | 0・1・3・9 |
| 肉芽形成 | 0・1・3・4・5・6 |
| 壊死組織 | 0・3・6 |
| ポケット(㎠) | 0・6・9・12・24 |
| 「DESIGN-R 2020」の合計点 | 0 ~ 66 点 |
褥瘡の評価開始から期間を確認する
入院後、もしくは新たに褥瘡対策加算の評価を始めて、暦月で3月を超えない期間の場合は、褥瘡の状態に関わらず「褥瘡対策加算1」を算定します。
- 入院後、暦月で3月を超えない期間
- 新たに褥瘡対策加算の評価を始めて、暦月で3月を超えない期間


暦月での月数の数え方は、月の途中で入院した場合であっても、月末が来ればひと月として数えます。
仮に、5/15に入院した場合は、5/31が来ればひと月になります。

「褥瘡評価の実績点」と「DESIGN-R 2020の合計点」を確認する
「③:褥瘡の評価開始からの期間」に該当しない場合には、「褥瘡評価の実績点」と「DESIGN-R 2020の合計点」を確認します。
下記の2項目の両方に該当した場合には「褥瘡対策加算2」を算定します。
- 直近2月の実績点が2月連続して前月の実績点を上回る
- DESIGN-R 2020の合計点が前月の実績点を上回る
※「褥瘡対策加算2」に非該当の場合には、「褥瘡対策加算1」を算定します。
「褥瘡対策に関する評価」の実績点と合計点
「褥瘡対策に関する評価」の実績点と合計点は、褥瘡対策加算1と褥瘡対策加算2の振り分ける際に必要になります。
褥瘡対策加算は、患者のADLの状態が「ADL区分3」のときに算定しますが、
- 入院後、暦月で3月を超えない期間
- 新たに褥瘡対策加算の評価を始めて、暦月で3月を超えない期間
上記の2項目に該当することで、まずは褥瘡対策加算1の算定を行います。
その後、暦月で3ヵ月が経過すると「褥瘡対策加算2」に該当するかどうかを確認し、褥瘡対策加算1と褥瘡対策加算2を振り分ける必要があります。
「褥瘡対策加算2」に該当するかどうかは、
- 直近2月の実績点が2月連続して前月の実績点を上回る
- DESIGN-R 2020の合計点が前月の実績点を上回る
上記の2項目にどちらも該当するかを確認し、該当しない場合には「褥瘡対策加算1」になります。
「褥瘡対策に関する評価」の合計点|考え方と記録
褥瘡の対策評価は、「別紙様式46:褥瘡対策に関する評価」を用いて行いますが、DESIGN-R 2020 によって評価を実施します。
DESIGN-R 2020 による褥瘡の評価は、以下の表に記載された項目について実施し、褥瘡の状態が悪くなるほど高い点数になります。
各項目ごとに評価を行い、各項目の点数を合計した0~66点の合計点が、 DESIGN-R 2020 の合計点になります。
| 評価の内容 | 評価点 |
|---|---|
| 滲出液 | 0・1・3・6 |
| 大きさ(㎠) | 0・3・6・8・9・12・15 |
| 炎症・感染 | 0・1・3・9 |
| 肉芽形成 | 0・1・3・4・5・6 |
| 壊死組織 | 0・3・6 |
| ポケット(㎠) | 0・6・9・12・24 |
| 「DESIGN-R 2020」の合計点 | 0 ~ 66 点 |
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「褥瘡対策に関する評価」の実績点|考え方と記録
「褥瘡対策に関する評価」において、暦月内における DESIGN-R 2020 の合計点が最も低かった日の点数が褥瘡対策に関する評価の実績点になります。

DESIGN-R 2020 による褥瘡の評価は、褥瘡の状態が悪くなるほど高い点数になるため、最も低い日の点数が実績点なので、暦月内で最も褥瘡の状態が良い日の合計点数が実績点ということになります。
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「直近2月の実績点が2月連続して前月の実績点を上回る」状態について
褥瘡対策加算2の確認事項にある「直近2月の実績点が2月連続して前月の実績点を上回る」は、下記のような状態です。
実績点(3月前) < 実績点(2月前) < 実績点(1月前)

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褥瘡の評価は、DESIGN-R 2020を用いて行います。評価の点数は高いほど褥瘡の状態が悪いことを表しますので、「実績点(3月前)< 実績点(2月前)< 実績点(1月前)」の状態になることは、褥瘡が徐々に悪化していることを表しています。
「DESIGN-R 2020の合計点が前月の実績点を上回る」状態について
「直近2月の実績点が2月連続して前月の実績点を上回る」状態に該当する際には、「DESIGN-R 2020の合計点が前月の実績点を上回る」状態のときに褥瘡対策加算2を算定します。
実績点(3月前) < 実績点(2月前) < 実績点(1月前)
⇩⇩⇩⇩⇩⇩
当月に毎日評価している合計点が、実績点(1月前)を上回る日
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「褥瘡対策加算2」を算定

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