「入院診療計画の基準」の理解と考え方(R8改定対応)

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本記事は以下の資料をもとに作成しています。
・医科点数表の解釈(令和8年6月版)社会保険研究所

診療報酬の算定において、「医科点数表の解釈(白ぼん)」の理解は必須になります。

「医科点数表の解釈(白ぼん)」の構成や見方・読み方などをしっかり把握しておきましょう。

この記事では、「入院診療計画の基準」について基本的な概要と考え方をまとめます。

目次

医科点数表の解釈での記載内容

「入院診療計画の基準」について、医科点数表の解釈では以下のように記載されています。

入院診療計画の基準

【1 入院診療計画の基準】

(1)当該保険医療機関において、入院診療計画が策定され、説明が行われている。

(2)入院の際に、医師、看護師、その他必要に応じ関係職種が共同して総合的な診療計画を策定し、患者に対し、「別添6」の「別紙2」(略ーー「診療方針に関する法令編」参照。)又は「別紙2の3」(略ーー「診療方針に関する法令編」参照。)を参考として、文書により病名、症状、治療計画、検査内容及び日程、手術内容及び日程、推定される入院期間等について、入院後7日以内に説明を行う。ただし、高齢者医療確保法の規定による療養の給付を提供する場合の療養病棟における入院診療計画については、「別添6」の「別紙2の2」(略ーー「診療方針に関する法令編」参照。)を参考にする。なお、当該様式にかかわらず、入院中から退院後の生活がイメージできるような内容であり、年月日、経過、達成目標、日ごとの治療、処置、検査、活動・安静度、リハビリ、食事、清潔、排泄、特別な栄養管理の必要性の有無、教育・指導(栄養・服薬)・説明、退院後の治療計画、退院後の療養上の留意点が電子カルテなどに組み込まれ、これらを活用し、患者に対し、文書により説明が行われている場合には、各保険医療機関が使用している様式で差し支えない。

(3)入院診療計画について、入院前に外来で文書を提供し、説明した場合も、入院後7日以内に行ったものと同様の取扱いとする。また、入院期間が2日以内であると見込まれる場合又は3日以上の入院が見込まれていたものの入院期間が2日以内となった場合であって、診療や退院後の治療や生活に支障がないと認められる患者に対して入院診療に関する必要な説明を行った場合は、総合的な入院診療計画の策定並びに患者への文書を用いた説明及び交付は行わなくても差し支えない。この場合は、診療録に入院期間(見込みを含む。)、患者への入院診療に関する説明の内容及び説明を行った日時等を記載する。

(4)入院時に治療上の必要性から患者に対し、病名について情報提供し難い場合にあっては、可能な範囲において情報提供を行い、その旨を診療録に記載する。

(5)医師の病名等の説明に対して理解できないと認められる患者(例えば小児、意識障害患者)については、その家族等に対して行ってもよい。

(6)説明に用いた文書は、患者(説明に対して理解できないと認められる患者についてはその家族等)に交付するとともに、その写しを診療録に添付するとともに、説明日及び説明者を診療録に記載する。なお、医師や患者等の署名は不要であるが、医師の署名がある場合は、説明日及び説明者を診療録に記載する必要はない。

(7)入院期間が通算される再入院の場合であっても、患者の病態により当初作成した入院診療計画書に変更等が必要な場合には、新たな入院診療計画書を作成し、説明を行う必要がある。

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p83

通則

(入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策、栄養管理体制、意思決定支援及び身体的拘束最小化の基準並びに栄養管理体制未整備減算の基準「通則8」、「通則9」)

◇ 基本診療料の施設基準等

第四 入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策、栄養管理体制、意思決定支援及び身体的拘束最小化の基準

------以下、抜粋------

一 入院診療計画の基準

(1)医師、看護師等の共同により策定された入院診療計画であること。

(2)病名、症状、推定される入院期間、予定される検査及び手術の内容並びにその日程、その他入院に関し必要な事項が記載された総合的な入院診療計画であること。

(3)患者が入院した日から起算して7日以内に、当該患者に対し、当該入院診療計画が文書により交付され、説明がなされるものであること。

(平20.3.5 厚生労働省告示第62号)

(最終改正;令8.3.5 厚生労働省告示第70号)

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p87

事務連絡

(入院診療計画に関する事務連絡)

問 入院診療計画は、文書により作成後、入院後7日以内に患者に対して説明をしなければならないが、患者が昏睡状態であるなど、入院後7日以内に患者に説明ができなかった場合には、当該患者の入院に係る入院基本料又は特定入院料の全てが算定できないのか。

答 医師の病名等の説明に対して理解ができないと認められる患者については、その家族等に対して説明を行えば算定できる。
 また、説明できる家族等もいない場合には、その旨カルテに記載し算定できる。なお、患者の状態が改善し説明が行える状態になった場合又は家族等が現れた場合等には、速やかに説明を行い、その旨カルテに記載すること。

(平19.4.20 その7・問32)

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p86

(入院診療計画に関する事務連絡)

問 入院診療計画について、入院前に外来で文書を提供し、説明した場合はどうなるのか。

答 入院後7日以内に行ったものと同等の取扱となる。

(平24.3.30 その1・問16)

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p86

(入院診療計画に関する事務連絡)

問 入院診療計画については、患者等に交付した文書の写しを診療録に添付することとされているが、電磁的方法により診療情報の記録及び保存を行っている場合には、診療録に患者等に交付したものと同じ内容の文書が電子媒体で保存されており、その文書を用いて説明を行った日及び説明者が記載されていることでよいか。

答 そのとおり。

(令8.4.1 その2<別添1>問23)

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p86

様式

別添6:別紙2

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p1550

「入院診療計画の基準」について

別添6:別紙2の2

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p1550

「入院診療計画の基準」について

別添6:別紙2の3

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p1551

「入院診療計画の基準」について

「入院診療計画の基準」の解釈

医科点数表の解釈における「入院診療計画の基準」の記載についてまとめていきます。

入院診療計画の策定と説明は「入院後7日以内」に行う

入院に際しては、「なぜ入院するのか」「入院してどのような治療を行うのか」「退院に向かっての目標と期間」などを計画し、患者様本人に説明します。

そのときの計画の策定は、医師、看護師、その他の関係職種が共同して行い、入院後7日以内に説明を行う必要があります。

入院に際して…

⇩⇩⇩⇩⇩

医師、看護師、その他の関係職種が共同して診療計画を策定

⇩⇩⇩⇩⇩

入院後7日以内に説明を実施

入院診療計画の様式は「別添6:別紙2、別紙2の2、別紙2の3」を参考にする

入院診療計画の中身は「別添6:別紙2、別紙2の3」を参考にし、高齢者医療確保法の規定による療養の給付を提供する療養病棟においては「別添6:別紙2の2」を参考にします。

一般の入院患者
(65歳未満)
「別添6:別紙2、別紙2の3」を参考にする
高齢者医療確保法における高齢者
(65歳以上)
「別添6:別紙2の2」を参考にする

高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)における高齢者とは、65歳以上(前期高齢者:65〜74歳、後期高齢者:75歳以上)を指します。

「別添6:別紙2、別紙2の2」の記載項目

一般の入院患者(65歳未満)の入院で参考にする「別添6:別紙2、別紙2の2」に記載されている項目は以下の通りです。

別添6:別紙2別添6:別紙2の3
病棟(病室)病棟(病室)
主治医以外の担当者名主治医以外の担当者名
在宅復帰支援担当者名
※地域包括ケア病棟
選任された
退院後生活環境相談員の氏名
病名(他に考え得る病名)病名(他に考え得る病名)
症状症状
治療計画治療計画
検査内容及び日程検査内容及び日程
手術内容及び日程手術内容及び日程
推定される入院期間推定される入院期間
特別な栄養管理の必要性特別な栄養管理の必要性
その他
・看護計画
・リハビリテーション等の計画
その他
・看護計画
・リハビリテーション等の計画
在宅復帰支援計画
※地域包括ケア病棟
退院に向けた取組
総合的な機能評価総合的な機能評価

赤文字の箇所は、「別添6:別紙2」と「別添6:別紙2の2」で異なる部分です。

「別添6:別紙2の3」の記載項目

高齢者医療確保法における高齢者(65歳以上)の入院で参考にする「別添6:別紙2の3」に記載されている項目は以下の通りです。

別添6:別紙2の2
病棟(病室)
主治医以外の担当者名
病名(他に考え得る病名)
症状
治療により改善すべき点等
全身状態の評価
(ADLの評価を含む)
治療計画
(定期的検査、日常生活機能の保持・回復、入院治療の目標等を含む)
リハビリテーションの計画
(目標を含む)
栄養摂取に関する計画
感染症、皮膚潰瘍等の皮膚疾患に関する対策
(予防対策を含む)
その他
・看護計画
・退院に向けた支援計画
・入院期間の見込み等

「別添6:別紙2」「別添6:別紙2の2」とは内容が異なります。

電子カルテ運用中の様式

電子カルテ運用中の様式は、各保険医療機関が使用している様式で構わないが、以下の内容を電子カルテに組み込み、患者に対して、これらを活用して文書により説明が行われている場合に限ります。

電子カルテに組み込む内容
  • 入院中か退院後の生活がイメージできるような内容
  • 年月日
  • 経過
  • 達成目標
  • 日ごとの治療
  • 処置
  • 検査
  • 活動・安静度
  • リハビリ
  • 食事
  • 清潔
  • 排泄
  • 特別な栄養管理の必要性の有無
  • 教育・指導(栄養・服薬)・説明
  • 退院後の治療計画
  • 退院後の療養上の留意点

入院診療計画書の策定が不要な例

入院前に外来で文書提供と説明

入院について、入院前に外来で文書を提供して説明した場合には、入院後7日以内に行ったものと同様の取扱いになります。

入院期間が2日以内の見込み(3日以上の予定も2日以内で退院)

  • 入院期間が2日以内であると見込まれる場合
  • 入院期間が3日以上であると見込まれていたものの、2日以内となった場合

上記の場合であって、診療や退院後の治療や生活に支障がないと認められる患者に対して入院診療に関する必要な説明を行った場合は、入院診療計画の文書を用いた説明および交付は不要です。

ただし、診療録に以下を記載する必要があります。

  • 入院期間(見込みを含む。)
  • 患者への入院診療に関する説明の内容および説明を行った日時  など

情報提供が困難な例

患者に対して病名の情報提供がし難い場合

入院時に治療上の必要性から、患者に対して病名の情報提供がし難い場合には、可能な範囲について情報提供を行い、その旨を診療録に記載します。

医師の説明を理解できない場合

  • 小児
  • 意識障害患者  など

上記のような医師の病名等の説明を理解できないと認められる患者については、その家族等に対して行っても構いません。

説明に用いた文書の交付と添付

  • 患者
  • 説明を理解できないと認められる患者はその家族等

上記いずれかに対して、説明に用いた文書を交付し、その写しを診療録に添付します。

また、説明日および説明者を診療録に記載します。

医師や患者等の署名は不要ですが、医師の署名がある場合には、説明日および説明者を診療録に記載する必要はありません。

入院期間が通算される再入院の場合

入院期間が通算される再入院の場合であっても、患者の病態により当初作成した入院診療計画書に変更等が必要な場合には、新たな診療計画書を作成し、説明を行う必要があります。

適時調査における主な指摘事項(入院診療計画について)

厚生局の適時調査における入院診療計画についての主な指摘事項を一部抜粋しますので、参考にされてください。

令和6年度 東北厚生局

  • 入院診療計画書の様式について、参考様式(別添6の別紙2又は別紙2の3)で示している以下の項目がない。
    • 在宅復帰支援担当者名
  • 患者に交付した入院診療計画書について、参考様式(別添6の別紙2又は別紙2の3)で示している以下の項目欄への記載がない。
    • 主治医氏名
    • 主治医以外の担当者名
    • 特別な栄養管理の必要性

令和6年度 東海北陸厚生局

  • 入院診療計画を策定していない。
  • 患者に交付した入院診療計画書について、参考様式で示している以下の項目欄への記載がない。
    • 治療計画
    • 検査内容及び日程
    • 特別な栄養管理の必要性
  • 説明に用いた文書について、記載内容が不十分である。

令和6年度 中国四国厚生局

  • 入院診療計画書について、一部必要事項の欄がないため、施設基準通知の様式を参考として、示された事項が全て網羅されている様式に改めること。
  • 入院診療計画書について、空欄のないよう必要な項目を全て記載すること。
  • 入院診療計画書の基準について、入院の際に医師、看護師、その他必要に応じ関係職種が共同して総合的な計画となるよう改めること。
  • 入院診療計画書については、入院して7日以内に患者に説明し交付する必要があることに留意すること。
  • 入院診療計画の看護計画において、患者ごとに具体的な看護計画を記載するなど、記載内容の充実を図ること。
  • 説明に用いた入院診療計画書については、原本を患者に交付し、写しを診療録に添付すること。
  • 高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付を提供する場合の療養病棟における入院診療計画書については、別添6の別紙2の2の様式を参考とすること。

令和6年度 九州厚生局

  • 医師、看護師、その他必要に応じて関係職種が共同して総合的な診療計画を策定していない。
  • 通知で定められている項目を網羅しておらず、必要事項を記載していない。
  • 内容が画一的であり、個々の患者の病状に応じた記載となっていない。
  • 入院診療計画書を患者に交付するとともに、その写しを診療録に添付していない。
  • 入院診療計画の作成において参考とする様式(別添6の別紙2、別紙2の2、別紙2の3が誤っている。

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