診療報酬の算定において、「医科点数表の解釈(白ぼん)」の理解は必須になります。
「医科点数表の解釈(白ぼん)」の構成や見方・読み方などをしっかり把握しておきましょう。
この記事では、「医療安全管理体制の基準」について基本的な概要と考え方をまとめます。
医科点数表の解釈の記載内容
「医療安全管理体制の基準」について、医科点数表の解釈では以下のように記載されています。
医療安全管理体制の基準
【3 医療安全管理体制の基準】
(1)当該保険医療機関において、医療安全管理体制が整備されている。
(2)安全管理のための指針が整備されている。
安全管理に関する基本的な考え方、医療事故発生時の対応方法等が文書化されている。(3)安全管理のための医療事故等の院内報告制度が整備されている。
院内で発生した医療事故、インシデント等が報告され、その分析を通した改善策が実施される体制が整備されている。(4)安全管理のための委員会が開催されている。
安全管理の責任者等で構成される委員会が月1回程度開催されている。なお、安全管理の責任者が必ずしも対面でなくてよいと判断した場合においては、当該委員会を対面によらない方法で開催しても差し支えない。(5)安全管理の体制確保のための職員研修が開催されている。
医科点数表の解釈(令和8年6月版)p84
安全管理のための基本的考え方及び具体的方策について職員に周知徹底を図ることを目的とするものであり、研修計画に基づき、年2回程度実施されている。
通則
(入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策、栄養管理体制、意思決定支援及び身体的拘束最小化の基準並びに栄養管理体制未整備減算の基準「通則8」、「通則9」)
◇ 基本診療料の施設基準等
第四 入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策、栄養管理体制、意思決定支援及び身体的拘束最小化の基準
------以下、抜粋------
三 医療安全管理体制の基準
医療安全管理体制が整備されていること。
(平20.3.5 厚生労働省告示第62号)
(最終改正;令8.3.5 厚生労働省告示第70号)
医科点数表の解釈(令和8年6月版)p87
「医療安全管理体制の基準」の解釈
医科点数表の解釈における「医療安全管理体制の基準」の記載についてまとめていきます。
医療安全管理体制の整備
医療安全管理体制を整備している必要があります。
安全管理のための指針の整備
安全管理に関する基本的な考え方、医療事故発生時の対応方法等が文書化されている必要があります。
医療事故等の院内報告制度の整備
院内で発生した医療事故、インシデント等が報告される体制が必要です。
また、その分析を通した改善策が実施される体制が整備されている必要があります。
安全管理委員会の設置・開催
安全管理委員会を設置して、月1回程度、定期的に開催します。
対面でない方法での開催でも構いません。
職員研修の開催
安全管理のための基本的考え方および具体的方策について、職員に周知徹底を図ることを目的とした研修を行います。
研修計画に基づき、年2回程度実施する必要があります。
平成19年3月30日医政発0330010号厚生労働省医政局長通知
平成19年3月30日に厚生労働省から通知された「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の施行について」において、医療施設における安全管理は以下のように示されています。
病院等の管理者は、法第6条の12及び医療法施行規則第1条の11の規定に基づき、次に掲げる医療の安全管理のための体制を確保しなければならないものであること。
医療安全管理のための指針
医療安全管理のための指針は、以下に挙げた事項を文書化したものである必要があります。
また、委員会の議を経て策定し、従業者へ周知徹底する必要があります。
- 医療安全管理に関する基本的考え方
- 医療安全管理のための委員会その他の当該病院等の組織に関する基本的事項
- 医療安全管理のための従業者に対する研修に関する基本方針
- 医療安全のための方策(事故報告等)に関する基本方針
- 医療事故等発生時の対応に関する基本方針
- 患者との情報共有に関する基本方針
- 患者への相談対応に関する基本方針
- その他医療安全の推進のために必要な基本方針
高難度新規医療技術を用いた医療を提供する場合には、関係学会から示される「高難度新規医療技術の導入を検討するに当たっての基本的な考え方」やガイドライン等を参考に実施することを含む。なお、関係学会による「高難度新規医療技術の導入を検討するに当たっての基本的な考え方」を別途示す。
医療安全管理委員会
医療安全管理委員会は、医療安全の推進のために設けるものであり、以下の基準を満たす必要があります。
- 各部門の安全管理のための責任者等で構成されること
- 医療安全管理委員会の管理及び運営に関する規程が定められていること
- 月1回程度開催されるとともに、重大な問題が発生した場合は適宜開催すること
- 重要な検討内容について、患者への対応状況を含め管理者へ報告すること
- 原因の調査・分析は、個人の責任追及を行うものではないこと
- 改善策の企画・立案・実施について、情報共有をすること
- 改善方策は、背景要因及び根本原因を分析し、検討された効果的な再発防止策等を含むこと
- 改善方策の実施状況の調査及び必要に応じた当該方策の見直しとは、同様の事故等の発生状況の確認や、医療安全管理委員会の構成員が定期的に関係部署の巡回を行うなどをして調査を行い、必要に応じて医療安全の知見に基づいた見直しを行うこと
- 患者の入院施設を有しない診療所、及び妊産婦等の入所施設を有しない助産所については適用しないこと
医療安全管理のための研修
- 当該病院等の具体的な事例等を取り上げ、職種横断的に行うものであることが望ましい
- 安全管理について、当該研修を実施する病院等の従業者に周知徹底を行うもの
- 年2回程度定期的に開催するほか、必要に応じて開催する
- 研修の実施内容(開催又は受講日時、出席者、研修項目)について記録する
- 研修については、患者の入所施設を有しない診療所、及び妊産婦等の入所施設を有しない助産所については、当該病院等以外での研修を受講することでも代用できるものとし、年2回程度の受講のほか、必要に応じて受講することとする
事故報告等の医療安全の確保を目的とした改善のための方策
- 発生した事故等について医療安全管理委員会へ報告等を行うこと(患者の入所施設を有しない診療所、及び妊産婦等の入所施設を有さない助産所については、管理者へ報告すること)
- 報告手順等に関する規定に従い事例を収集、分析し、改善策の企画立案及びその実施状況を評価し情報共有すること
- 重大事故の発生時には、速やかに管理者へ報告すること
- 事故の報告は診療録、看護記録等に基づき作成すること
適時調査における主な指摘事項(医療安全管理の基準について)
厚生局の適時調査における医療安全管理の基準についての主な指摘事項を一部抜粋しますので、参考にされてください。
令和6年度 中国四国厚生局
- 医療安全管理体制の基準について、安全管理のための医療事故等の院内報告制度が整備されていることが必要であり、院内で発生した医療事故、インシデント等が報告され、その分析を通した改善策が整備されていることが必要であるという点に留意の上、当該取り組み及び記録等の充実を図ること
- 医療安全管理体制の基準に係る安全管理のための委員会について、委員の恒常的な欠席が見受けられたので改めること
- 医療安全管理体制の基準に係る安全管理のための委員会について、施設基準通知に基づき適切に実施すること
- 医療安全管理体制の基準について、医療事故発生時の対応方法等を文書化すること
- 医療安全管理体制の基準に係る安全管理の体制確保のための職員研修について、安全管理のための基本的考え方及び具体的方策について職員に周知徹底を図ることを目的とするものであることに留意の上、研修を行うこと
- 医療安全管理体制の指針について、見直しが行われていないため、直近の内容に改めること
- 医療安全管理体制の指針について、インシデントレベルの分類に係る定義を盛り込むこと
令和6年度 九州厚生局
- 安全管理のための医療事故等の院内報告制度について、院内で発生した医療事故、インシデント等の分析を通した改善策の実施又は体制の整備が不十分である
- 安全管理の体制確保のための職員研修について、次の不適切な例が認められた
- 全ての職員が受講していない。(研修参加率の向上や参加できなかった者へのフォローアップ等の取組みがない。)
- 看護職員及び看護補助者以外の者の参加がない。
