「院内感染防止対策の基準」の理解と考え方(R8改定対応)

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本記事は以下の資料をもとに作成しています。
・医科点数表の解釈(令和8年6月版)社会保険研究所

診療報酬の算定において、「医科点数表の解釈(白ぼん)」の理解は必須になります。

「医科点数表の解釈(白ぼん)」の構成や見方・読み方などをしっかり把握しておきましょう。

この記事では、「院内感染防止対策の基準」について基本的な概要と考え方をまとめます。

目次

医科点数表の解釈の記載内容

「院内感染防止対策の基準」について、医科点数表の解釈では以下のように記載されています。

院内感染防止対策の基準

【2 院内感染防止対策の基準】

(1)当該保険医療機関において、院内感染防止対策が行われている。

(2)当該保険医療機関において、院内感染防止対策委員会が設置され、当該委員会が月1回程度、定期的に開催されている。なお、当該委員会を対面によらない方法で開催しても差し支えない。

(3)院内感染防止対策委員会は、病院長又は診療所長、看護部長、薬剤部門の責任者、検査部門の責任者、事務部門の責任者、感染症対策に関し相当の経験を有する医師等の職員から構成されている。なお、診療所においては各部門の責任者を兼務した者で差し支えない。

(4)当該保険医療機関において(病院である保険医療機関においては、当該病院にある検査部において)、各病棟(有床診療所においては、当該有床診療所の有する全ての病棟。以下この項において同じ。)の微生物学的検査に係る状況等を記した「感染情報レポート」が週1回程度作成されており、当該レポートが院内感染防止対策委員会において十分に活用される体制がとられている。当該レポートは、入院中の患者からの各種細菌の検出状況や薬剤感受性成績のパターン等が病院又は有床診療所の疫学情報として把握、活用されることを目的として作成されるものであり、各病棟からの拭き取り等による各種細菌の検出状況を記すものではない。

(5)院内感染防止対策として、職員等に対し流水による手洗いの励行を徹底させるとともに、各病室に水道又は速乾式手洗い液等の消毒液が設置されている。ただし、精神病棟、小児病棟等においては、患者の特性から病室に前項の消毒液を設置することが適切でないと判断される場合に限り、携帯用の速乾式消毒液等を用いても差し支えないものとする。

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p83

通則

(入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策、栄養管理体制、意思決定支援及び身体的拘束最小化の基準並びに栄養管理体制未整備減算の基準「通則8」、「通則9」)

◇ 基本診療料の施設基準等

第四 入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策、栄養管理体制、意思決定支援及び身体的拘束最小化の基準

------以下、抜粋------

ニ 院内感染防止対策の基準

(1)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌等の感染を防止するにつき十分な設備を有していること。

(2)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌等の感染を防止するにつき十分な体制が整備されていること。

(平20.3.5 厚生労働省告示第62号)

(最終改正;令8.3.5 厚生労働省告示第70号)

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p87

「院内感染防止対策の基準」の解釈

医科点数表の解釈における「院内感染防止対策の基準」の記載についてまとめていきます。

院内感染防止対策の実施

院内感染防止対策を実施している必要があります。

院内感染防止対策委員会の設置・開催

院内感染防止対策委員会を設置して、月1回程度、定期的に開催します。

対面でない方法での開催でも構いません。

院内感染防止対策委員会の構成
  • 病院長、または診療所長
  • 看護部長
  • 薬剤部門の責任者
  • 検査部門の責任者
  • 事務部門の責任者
  • 感染症対策に関し相当の経験を有する医師  等

※診療所では各部門の責任者を兼務した者で構いません。

感染情報レポートの作成・活用

感染情報レポートは、各病棟の微生物学的検査の状況等を記したものを「週1回程度」作成します。

また、委員会でレポートを十分に活用する体制をとる必要があります。

感染情報レポートは、患者の各種細菌の検出状況や薬剤感受性成績のパターン等を把握して、活用されることを目的として作成されるものです。各病棟においての拭き取り等による各種細菌の検出状況を記すものではありません。

院内感染防止対策の実施

院内感染防止対策として、以下のことを実施します。

  • 職員等に対して、流水による手洗いの励行を徹底する
  • 各病室に水道、または速乾式手洗い液等の消毒液を設置する

精神病棟、小児病棟等においては、患者の特性から消毒液の設置が適切でない場合に限り、携帯用の速乾式消毒液等を用いても差し支えないものとします。

院内感染防止対策の基準

院内感染防止対策の基準として、以下のことが必要です。

  • MRSA等の感染を防止する十分な設備を有する
  • MRSA等の感染を防止するにつき十分な体制が整備する

平成19年3月30日医政発0330010号厚生労働省医政局長通知

平成19年3月30日に厚生労働省から通知された「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の施行について」において、医療施設における院内感染防止は以下のように示されています。

良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の施行について①

良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の施行について②

病院等における院内感染対策について

病院等の管理者は、法第6条の12及び医療法施行規則第1条の11第2項第1号の規定に基づき、次に掲げる院内感染対策のための体制を確保しなければならない。

院内感染対策のための指針

院内感染対策のための指針は、以下に挙げた事項を文書化したものである必要があります。

また、委員会の議を経て策定し、従業者へ周知徹底する必要があります。

  • 院内感染対策に関する基本的考え方
  • 院内感染対策のための委員会その他の当該病院等の組織に関する基本的事項
  • 院内感染対策のための従事者に対する研修に関する基本方針
  • 感染症の発生状況の報告に関する基本方針
  • 院内感染発生時の対応に関する基本方針
  • 患者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
  • その他の当該病院等における院内感染対策の推進のために必要な基本方針

院内感染対策委員会

院内感染対策委員会は、院内感染対策の推進のために設けるものであり、以下の基準を満たす必要があります。

  • 管理及び運営に関する規定が定められていること
  • 重要な検討内容について、院内感染発生時及び発生が疑われる際の患者への対応状況を含め、管理者へ報告すること
  • 院内感染が発生した場合は、速やかに発生の原因を分析し、改善策の立案及び実施並びに従業者への周知を図ること
  • 院内感染対策委員会で立案された改善策の実施状況を必要に応じて調査し、見直しを行うこと
  • 月1回程度開催するとともに、重大な問題が発生した場合は適宜開催すること
  • 委員会の委員は職種横断的に構成されること

院内感染対策のための研修

  • 院内感染対策のための基本的考え方及び具体的方策について、当該研修を実施する病院等の従業者に周知徹底を行うことで、個々の従業者の院内感染に対する意識を高め、業務を遂行する上での技能やチームの一員としての意識の向上等を図るものであること
  • 当該病院等に即した内容で、職種横断的な参加の下に行われること
  • 病院全体に共通する院内感染に関する内容について年2回程度定期的に開催するほか、必要に応じて開催すること
  • 研修の実施内容(開催又は受講日時、出席者、研修項目)について記録すること

感染症の発生状況の報告その他の院内感染対策の推進を目的とした改善のための方策

  • 感染症の発生動向の情報を共有すること
  • 重大な院内感染等が発生し、院内のみでの対応が困難な事態が発生した場合、又は発生した事が疑われる場合には、地域の専門家等に相談が行われる体制を確保することが望ましいものであること
  • 「院内感染対策のための指針」に即した院内感染対策マニュアルを整備する等、その他の院内感染対策の推進のために必要な改善策を図るとともに、それらを定期的に見直す事が望ましいものであること

適時調査における主な指摘事項(院内感染防止対策の基準について)

厚生局の適時調査における院内感染防止対策の基準についての主な指摘事項を一部抜粋しますので、参考にされてください。

令和6年度 東北厚生局

  • 院内感染防止対策委員会の構成が適切でない。

令和6年度 中国四国厚生局

  • 院内感染防止対策委員会は、病院長、看護部長、薬剤部門の責任者、検査部門の責任者、事務部門の責任者、感染対策に関する相当の経験を有する医師等の職員から構成されなければならないこととなっているため、委員会の構成について見直しを行うこと
  • 院内感染防止対策委員会の開催にあたり、当該委員会の構成員のうち、感染症対策に関し相当の経験を有する医師の出席が不十分である状況が見受けられたので、当該委員会を適切に開催すること。
  • 院内感染防止対策委員会への各部門の責任者の参加の充実を図ること
  • 感染情報レポートは、施設基準通知に基づき、適切に作成すること
  • 感染情報レポートは、院内感染防止対策委員会において十分に活用すること
  • 感染情報レポートについて、患者氏名、発生菌、薬剤感受性成績の記載が明示されていない事例が確認されたので、全ての項目を明示すること

令和6年度 九州厚生局

  • 院内感染防止対策委員会について、各部門の責任者を含めた適切な職員で構成されていない。
  • 感染情報レポートについて、次の不適切な例が認められた。
    • 当該レポートが週1回程度作成されていない。
    • 各種細菌の検出状況や薬剤感受性成績のパターン等の内容が含まれていない、又は疫学情報として把握、活用されることを目的とした内容となっていない。

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