「褥瘡対策の基準」の理解と考え方(R8改定対応)

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本記事は以下の資料をもとに作成しています。
・医科点数表の解釈(令和8年6月版)社会保険研究所

診療報酬の算定において、「医科点数表の解釈(白ぼん)」の理解は必須になります。

「医科点数表の解釈(白ぼん)」の構成や見方・読み方などをしっかり把握しておきましょう。

この記事では、「褥瘡対策の基準」について基本的な概要と考え方をまとめます。

目次

医科点数表の解釈の記載内容

「褥瘡対策の基準」について、医科点数表の解釈では以下のように記載されています。

褥瘡対策の基準

【4 褥瘡対策の基準】

(1)当該保険医療機関において、褥瘡対策が行われている。

(2)当該保険医療機関において、褥瘡対策に係る専任の医師及び褥瘡看護に関する臨床経験を有する専任の看護職員から構成される褥瘡対策チームが設置されている。

(3)当該保険医療機関における日常生活の自立度が低い入院患者につき、「別添6」の「別紙3」及び「別紙13」(略――「診療方針に関する法令編」参照。)を参考として褥瘡に関する危険因子の評価を行う。また、褥瘡に関する危険因子のある患者及び既に褥瘡を有する患者については、(2)に掲げる専任の医師及び専任の看護職員が適切な褥瘡対策の診療計画の作成、実施及び評価を行う。ただし、当該医師及び当該看護職員が作成した診療計画に基づくものであれば、褥瘡対策の実施は、当該医師又は当該看護職員以外であっても差し支えない。また、様式については褥瘡に関する危険因子の評価と診療計画が「別添6」の「別紙3」(略――「診療方針に関する法令編」参照。)のように1つの様式ではなく、それぞれ独立した様式となっていても構わない。

(4)褥瘡対策の診療計画における薬学的管理に関する事項及び栄養管理に関する事項については、当該患者の状態に応じて記載する。必要に応じて、薬剤師又は管理栄養士と連携して、当該事項を記載する。なお、診療所において、薬学的管理及び栄養管理を実施している場合について、当該事項を記載しておくことが望ましい。

(5)栄養管理に関する事項については、栄養管理計画書をもって記載を省略することができる。ただし、この場合は、当該栄養管理計画書において、体重減少、浮腫の有無等の「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の「別添6」の「別紙3」(略――「診療方針に関する法令編」参照。)に示す褥瘡対策に必要な事項を記載している。

(6)褥瘡対策チームの構成メンバー等による褥瘡対策に係る委員会が定期的に開催されていることが望ましい。

(7)患者の状態に応じて、褥瘡対策に必要な体圧分散式マットレス等を適切に選択し使用する体制が整えられている。

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p84

通則

(入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策、栄養管理体制、意思決定支援及び身体的拘束最小化の基準並びに栄養管理体制未整備減算の基準「通則8」、「通則9」)

◇ 基本診療料の施設基準等

第四 入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策、栄養管理体制、意思決定支援及び身体的拘束最小化の基準

------以下、抜粋------

四 褥瘡対策の基準

(1)適切な褥瘡対策の診療計画の作成、実施及び評価の体制がとられていること。

(2)褥瘡対策を行うにつき適切な設備を有していること。

(平20.3.5 厚生労働省告示第62号)

(最終改正;令8.3.5 厚生労働省告示第70号)

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p87

様式

別添6:別紙3

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p1551 p1552

褥瘡対策の基準|医科点数表の解釈・適時調査における主な指摘事項
褥瘡対策の基準|医科点数表の解釈・適時調査における主な指摘事項

別紙13

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p1584

褥瘡対策の基準|医科点数表の解釈・適時調査における主な指摘事項

「褥瘡対策の基準」の解釈

医科点数表の解釈における「褥瘡対策の基準」の記載についてまとめていきます。

褥瘡対策の実施

褥瘡対策を実施している必要があります。

褥瘡対策チームの設置

以下の職員で構成される褥瘡対策チームが設置されている必要があります。

  • 褥瘡対策に係る専任の医師
  • 褥瘡看護に関する臨床経験を有する専任の看護職員

日常生活自立度の低い入院患者への褥瘡リスク評価の実施

日常生活の自立度が低い入院患者に対して、褥瘡に関する危険因子の評価を行います。

評価内容は、「別添6:別紙3」と「別紙13」を参考にします。

「別添6:別紙3 褥瘡対策に関する診療計画書」の主な項目

「別添6:別紙3 褥瘡対策に関する診療計画書」に記載されている主な項目は以下の通りです。

別添6:別紙3 褥瘡対策に関する診療計画書
褥瘡の有無・現在の褥瘡発生部位
・過去の褥瘡発生部位
危険因子の評価・日常生活自立度
・基本的動作能力
・病的骨突出
・栄養状態低下
・皮膚湿潤
・皮膚の脆弱性
褥瘡の状態の評価・深さ
・滲出液
・大きさ(㎠)
・炎症、感染
・肉芽形成
・壊死組織
・ポケット(㎠)
看護計画・圧迫、ズレ力の排除
・スキンケア
・栄養状態改善
・リハビリテーション
薬学的管理に関する事項・褥瘡発生リスクのある薬剤の使用
・薬学的管理計画
栄養管理関する事項・栄養評価
・栄養管理計画

「別紙13 障害高齢者の日常生活自立度判定基準」の主な項目

「別紙13 障害高齢者の日常生活自立度判定基準」に記載されている主な項目は以下の通りです。

別紙13 障害高齢者の日常生活自立度判定基準
生活自立
(ランクJ)
何らかの障害等有する。
日常生活自立、独立外出可能。
準寝たきり
(ランクA)
屋内での生活は概ね自立。
外出は要介助。
寝たきり
(ランクB)
屋内での生活は何らかの介助が必要。
日中もベッド上の生活が主体だが、座位保持可能。
寝たきり
(ランクC)
1日中ベッド上で過ごす。
排泄、介助、着替において介助が必要。

「褥瘡リスクのある患者」「褥瘡を有する患者」への対応

「褥瘡リスクのある患者」「既に褥瘡を有する患者」については、褥瘡対策チームの専任医師および専任看護職員が適切な褥瘡対策の診療計画の作成を行い、褥瘡対策の実施と評価を行います。

褥瘡対策の実施は、褥瘡対策チームが作成した診療計画に基づいていれば、褥瘡対策チーム以外の医師または看護職員であっても構いません。

また、様式は「別添6:別紙3 褥瘡対策に関する診療計画書」ではなく、独立した様式でも構いません。

「褥瘡リスクのある患者」
「既に褥瘡を有する患者」

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

褥瘡対策チーム
① 褥瘡対策の診療計画を作成
② 褥瘡対策の実施     
③ 褥瘡対策の評価
     

「② 褥瘡対策の実施」は、「① 褥瘡対策の診療計画」に基づいていれば、褥瘡対策チーム以外の医師または看護職員でも構いません。

褥瘡対策の診療計画における「薬学的管理」と「栄養管理」

患者の状態に応じて、褥瘡対策の診療計画に「薬学的管理」と「栄養管理」に関する事項を記載します。

その際、必要に応じて、薬剤師、管理栄養士と連携して記載を行います。

診療所において薬学的管理と栄養管理を実施している場合は、当該事項を記載しておくことが望ましいとされています。

栄養管理に関する事項は「栄養管理計画書」で省略できる

栄養管理に関する事項は、栄養管理計画書をもって記載を省略することができます。

「別添6:別紙3 褥瘡対策に関する診療計画書」に示す褥瘡対策に必要な事項を記載する必要があります。

栄養管理に関する事項
栄養評価・GLIM基準による評価
・体重、BMI、体重減少の有無
・身体所見(浮腫の有無など)
・検査等(Alb値、Hb値、CRP)
・栄養補給補法
・栄養補助食品の使用
栄養管理計画

褥瘡対策委員会の定期開催

褥瘡対策チームの構成メンバー等による褥瘡対策に係る委員会が定期的に開催されていることが望ましいとされています。

体圧分散式マットレス等の適切な使用

患者の状態に応じて、褥瘡対策に必要な体圧分散式マットレス等を適切に選択し使用する体制が整えられている必要があります。

適時調査における主な指摘事項(褥瘡対策の基準について)

厚生局の適時調査における褥瘡対策の基準についての主な指摘事項を一部抜粋しますので、参考にされてください。

令和6年度 中国四国厚生局

  • 褥瘡対策の診療計画の作成及び評価は、褥瘡対策に係る専任の医師及び専任の看護職員で構成される褥瘡対策チームによって行うこと。
  • 褥瘡対策の診療計画の作成、実施及び評価は褥瘡対策チームが行うものであり、褥瘡対策に係る委員会が行うものではないことに留意すること。
  • 褥瘡対策の診療計画書については、別添6の別紙3を参考として、示された事項が全て網羅されている様式とすること。
  • 褥瘡対策チームの専任の医師及び専任の看護師の役割について、院内規定の記載が不十分であったので、必要な事項について規定に明記すること。
  • 褥瘡対策の診療計画における薬学的管理に関する事項及び栄養管理に関する事項について、当該患者の状態に応じて別添6の別紙3に示す褥瘡対策に関する診療計画書(2)に必要な事項を記載するとともに、必要に応じて、薬剤師又は管理栄養士と連携すること。
  • 施設基準通知に則した褥瘡対策チームに係る設置規程、構成メンバー等を明文化して整備すること。
  • 褥瘡対策委員会と褥瘡対策チームの指揮系統について明確にすること。
  • 褥瘡対策の診療計画書における褥瘡の評価について、褥瘡は無いが褥瘡に関する危険因子のある患者についても、評価を実施すること。
  • 褥瘡対策の診療計画における看護計画の内容の充実を図ること。
  • 褥瘡対策の診療計画書(2)の作成にあたり、薬学的管理に関する事項にチェックがなく、適切な判断がなされているか不明確であるため改めること。
  • 褥瘡対策の基準について、患者の状態に応じて、褥瘡対策に必要な体圧分散式マットレス等を適切に選択し使用できる体制の充実を図ること。

令和6年度 九州厚生局

  • 褥瘡対策に関する診療計画書について、次の不適切な例が認められた。
    • 通知に定められた項目を網羅しておらず、必要事項を適切に記載していない。
    • 専任の医師及び専任の看護職員以外の者が診療計画の作成及び評価を行っている。
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