【令和8年度 診療報酬改定】身体的拘束最小化の基準の見直し

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参考資料:厚生労働省HP 令和8年度診療報酬改定説明資料等について「令和8年度診療報酬改定の概要 6.入院(共通事項)」

令和8年度 診療報酬改定において、身体的拘束最小化の基準が見直されました。

どのような改定になっているのかを確認しておきましょう。

なお、新設された身体的拘束最小化推進体制加算については、以下の記事をご参照ください。

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【令和8年度 診療報酬改定】「身体的拘束最小化推進体制加算」の新設 令和8年度診療報酬改定で新設された「身体的拘束最小化推進体制加算」についてまとめました。
目次

身体的拘束最小化の基準の見直し

身体的拘束最小化の基準は、令和6年度改定で新設された部分を「体制に係る基準」と位置づけた上で、実績や取組みに係る基準を新設しました。

そして、体制のみを満たすだけで実績等は満たしていない場合は、入院基本料等を20点減算することとしました。

そのため、身体的拘束最小化の基準への対応によって、「減算なし・20点減算・40点減算」のいずれかに該当することになります。

AB
身体的拘束最小化の体制に係る基準
(令和6年度改定から)
身体的拘束最小化の実績等に係る基準
(令和8年度改定で新設)
身体的拘束を行う場合は実施状況や緊急やむを得ない理由を記録
身体的拘束最小化チーム設置
身体的拘束の実施状況把握、指針の作成、定期的な研修実施等
いずれかを満たすこと
身体的拘束の実施割合が1割5分以下
身体的拘束の最小化に向けて、委員会や職員向け研修の開催、巡回等により、介助に向けた具体的な取組を行うこと

「減算なし・20点減算・40点減算」は、上記のA・Bを満たせているかどうかで決まります。

AB
身体的拘束最小化の体制に係る基準
(令和6年度改定から)
身体的拘束最小化の実績等に係る基準
(令和8年度改定で新設)
減算なし
(満たしている)

(満たしている)
20点減算
(満たしている)
×
(満たせていない)
40点減算×
(満たせていない)
×
(満たせていない)

「減算なし」にするためには、令和6年度改定からの身体的拘束最小化の体制に係る基準に加えて、令和8年度改定で新設される身体的拘束最小化の実績等に係る基準を満たす必要があります。

  • 令和6年度診療報酬改定で新設された身体的拘束最小化の基準 ⇨ 「体制に係る基準」
  • 令和8年度診療報酬改定で新設 ⇨ 「実績等に係る基準」

A:「身体的拘束最小化の体制に係る基準(令和6年度改定から)」の詳細

現行

【入院料通則:身体的拘束最小化の基準】

[施設基準(通知)]

  • 当該保険医療機関において、患者又は他の患者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束を行ってはならないこと。
  • 身体的拘束最小化チームでは、以下の業務を実施すること。
    • ア 身体的拘束の実施状況把握と職員への周知徹底
    • イ 身体的拘束を最小化するための指針の作成(薬物の適正使用等に係る内容を盛り込むことが望ましい。)
    • ウ 身体的拘束の最小化に関する定期的な研修

⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩

改定後

【入院料通則:身体的拘束最小化の基準】

[施設基準(通知)]

  • 患者の尊厳の保持及び療養環境の質の確保の観点から、当該保険医療機関において、患者又は他の患者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束を行ってはならないこと。また、こうした組織風土の醸成に努めること。
  • 身体的拘束最小化チームでは、以下の業務を実施すること。
    • ア 身体的拘束の実施状況把握と職員への周知徹底
    • イ 身体的拘束を最小化するための指針の作成(薬物の適正使用等に係る内容を盛り込むこと。)
    • ウ 身体的拘束の最小化に関する定期的な研修(身体的拘束の代替手段に関する内容のほか、患者の尊厳の保持の重要性に関する内容を含むことが望ましい。)

入院料の通則における身体的拘束最小化の基準に、組織風土を醸成することの重要性や、医療機関が定期的に行う研修において身体的拘束の代替手段や患者の尊厳の保持に関する内容を含むことが望ましいことを追加されます。

また、身体的拘束最小化チームが作成する指針に盛り込むことが望ましいとしていた内容については、必ず含めることになります。(経過措置あり)

B:「身体的拘束最小化の実績等に係る基準(令和8年度改定で新設)」の詳細

新設

以下のいずれかを満たすこと。

  • ア 身体的拘束の実施割合が集計されており、1割5分以下であること。
  • イ 身体的拘束の原則廃止に向けて、以下の全ての取組を継続して行っていること。
    • (イ) 委員会を3か月に1回以上開催し、身体的拘束の実施状況を踏まえて最小化に向けた具体的な取組を検討する。
    • (ロ) 身体的拘束が行われている病棟では、以下のいずれかにより、解除や代替策の導入に向けた具体的な検討を行う。
      • ① 身体的拘束最小化チームによる巡回を行い、チームの職員と病棟の職員が協働して検討
      • ② 病棟内の複数人の職員が協働して検討
    • (ハ) 入院患者に関わる職員を対象として、身体的拘束最小化に関する研修(拘束の代替策等を含む)を年に2回以上実施する。

令和6年度診療報酬改定で新設された入院料の通則における身体的拘束最小化の基準を、身体的拘束最小化の基準のうち「体制に係る基準」と位置づけた上で、新たに「実績等に係る基準」が設けられます。

身体的拘束の実施割合の集計(1割5分以下)

身体的拘束最小化の基準に係る実施割合の計算方法は、以下のようになっています。

身体的拘束の実施割合 = 直近3か月間の入院料算定日数のうち、身体的拘束を実施した日数(*1) / 直近3か月間の入院料算定日数(*2)

(*1)以下の場合は、身体的拘束を実施した日数に含めない。

  • センサークリップ等のみを使用する場合
    (患者の動作により容易に外れ、自発的な運動を制限することはない状況に限る)
  • 処置時や移動時に、患者等の同意を得た上で、安全確保のために短時間固定ベルト等を使用する場合
    (使用中は職員が介助等のために常に当該患者の側に付き添っており、処置や移動の終了時に確実に解除している場合のみ)
  • 患者が訓練のために自由に車椅子を操作することのできる状態であって、患者等の同意を得た上で、車椅子操作による訓練の時間中のみ安全確保のために固定ベルトを使用する場合
    (車椅子の前にオーバーテーブルを設置する、車椅子をロックする等の方法により、患者本人の活動を制限している場合は該当せず、身体的拘束を実施した日としてカウントする)

(*2)以下の入院料を算定した日及び精神病床(身体的拘束を精神保健福祉法に基づいて取り扱う場合に限る)は除く。

  • A300  :救命救急入院料
  • A301  :特定集中治療室管理料
  • A301-2:ハイケアユニット入院医療管理料
  • A301-3:脳卒中ケアユニット入院医療管理料
  • A301-4:小児特定集中治療室管理料
  • A302  :新生児特定集中治療室管理料
  • A302-2:新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料
  • A303  :総合周産期特定集中治療室管理料
  • A303-2:新生児治療回復室入院医療管理料

身体的拘束実施日数の割合が15%以下の実際

身体的拘束最小化の実績等に係る基準では、「身体的拘束の実施割合が集計されており、1割5分以下であること」という一文があります。

この1割5分(15%)がどの程度になるかを考えてみます。

例として、ひと月を30日として、月の平均在院日数が30人・40人・50人であった場合の「身体的拘束実施日数の割合:15%」がどの程度なのかを確認します。

月平均在院患者数入院料算定日数15%
30人900
(30人×30日)
135
(900×0.15)
40人1200
(40人×30日)
180
(1200×0.15)
50人1500
(50人×30日)
225
(1500×0.15)

加えて、常に身体的拘束が必要な入院患者がいた際の割合を確認します。

スクロールできます
月平均在院患者数入院料算定日数4人5人6人
30人900
(30人×30日)
13.3%
(120÷900)
16.6%
(150÷900)
20%
(180÷900)
40人1200
(40人×30日)
13.3%
(160÷1200)
16.6%
(200÷1200)
20%
(240÷1200)
50人1500
(50人×30日)
13.3%
(200÷1500)
16.6%
(250÷1500)
20%
(300÷1500)

上の表を見て分かるように、常に身体的拘束をしている患者が5人いれば、「身体的拘束の実施割合が集計されており、1割5分以下であること」を達成できません。

そのため、身体的拘束をしている患者が多い場合には、その他の基準を満たす必要があります。

「身体的拘束最小化の基準」による減算の影響

身体的拘束最小化の基準への対応によって、「減算なし・20点減算・40点減算」のいずれかに該当することになります。

ひと月を30日、月の平均在院患者数を30人・40人・50人のときの診療報酬は以下のようになります。

スクロールできます
月の平均在院患者数計算-20点-40点
30人30人×30日×減算分-18万円/月(-216万円/年)-36万円/月(-432万円/年)
40人30人×40日×減算分-24万円/月(-288万円/年)-48万円/月(-576万円/年)
50人30人×50日×減算分-30万円/月(-360万円/年)-60万円/月(-720万円/年)

「身体的拘束最小化の基準」を満たすことによって、減算を防ぐことは可能なので基準の内容をしっかり確認しておくことが大切です。

「身体的拘束最小化推進体制加算」の届出に向けて

身体的拘束実施日数の割合について 3%以下の実績を達成できる場合には、「身体的拘束最小化推進体制加算」の届出を検討しましょう。

ちなみに、身体的拘束最小化推進体制加算の施設基準では、身体的拘束を実施した日数の割合が3%以下(届出から1年間は5%以下)となっています。

例として、ひと月を30日として、月の平均在院日数が30人・40人・50人であった場合の「身体的拘束実施日数の割合:3%・5%・15%」がどの程度なのかを確認します。

スクロールできます
月平均在院患者数入院料算定日数3%5%15%
30人900
(30人×30日)
27
(900×0.03)
45
(900×0.05)
135
(900×0.15)
40人1200
(40人×30日)
36
(1200×0.03)
60
(1200×0.05)
180
(1200×0.15)
50人1500
(50人×30日)
45
(1500×0.03)
75
(1500×0.05)
225
(1500×0.15)

加えて、常に身体的拘束が必要な入院患者がいた際の割合を確認します。

スクロールできます
月平均在院患者数入院料算定日数1人2人3人4人5人
30人900
(30人×30日)
3.3%
(30÷900)
6.7%
(60÷900)
10%
(90÷900)
13.6%
(120÷900)
16.7%
(150÷900)
40人1200
(40人×30日)
3.3%
(40÷1200)
6.7%
(80÷1200)
10%
(120÷1200)
13.6%
(160÷1200)
16.7%
(120÷1200)
50人1500
(50人×30日)
3.3%
(50÷1500)
6.7%
(100÷1500)
10%
(150÷1500)
13.6%
(200÷1500)
16.7%
(120÷1500)

身体的拘束最小化推進体制加算の施設基準では、身体的拘束を実施した日数の割合が3%以下(届出から1年間は5%以下)となっていますので、身体的拘束がほぼない状態を維持する必要があります。

身体的拘束最小化推進体制加算については、下の記事をご参照ください。

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