療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入するようになっています。
そして、その評価には「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いるようになっています。
この記事では、「評価の手引き」に記載されている医療区分の項目について分かりやすく解説します。
※「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」の概要については以下の記事をご参照ください。
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「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解する
療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入します。その評価は「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いるようになっているため、評価を行うスタッフは、評価の手引きをしっかり理解しておく必要があります。
参考図書
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目次
医療区分の概要(医科点数表の解釈)
医療区分「ドレーン法又は胸腔若しくは腹腔の洗浄」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。
16. ドレーン法又は胸腔若しくは腹腔の洗浄
| 項目の定義 |
| ドレーン法又は胸腔若しくは腹腔の洗浄 |
| 評価の単位 |
| 1日毎 |
| 留意点 |
| 胸腔又は腹腔のドレーン又は洗浄を実施しているものに限る。 |
語句の説明
- 「ドレーン法」とは?
-
ドレーン法は、体内に貯留した血液、膿、滲出液、消化液、空気などの不要な物質をドレーンという管を使って体外に排出する医療行為です。
感染予防や治療、症状の軽減などを目的として行われ、胸腔、腹腔、心嚢など、様々な部位に行われます。
| ドレナージの種類と目的 |
|---|
| 胸腔ドレナージ | 気胸、胸水、膿胸、血胸などの場合に、胸腔に溜まった空気や液体を排出します。 |
| 腹腔ドレナージ | 腹部臓器の術後に、腹腔内に溜まった血液や滲出液、消化液などを排出します。 |
| 心嚢ドレナージ | 心臓手術後に心嚢内に溜まる体液を排出し、心タンポナーデ(心臓の圧迫)を防ぎます。 |
| 胆管ドレナージ | 胆管に貯留した胆汁を排出します。 |
| 関節腔ドレナージ | 関節内の貯留液を排出します。 |
| 脳室ドレナージ | 脳室に貯留した脳脊髄液を排出します。 |
| リンパドレナージ | リンパ浮腫などの治療として、リンパ液の流れを促します。 |
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- 「胸腔洗浄」とは?
-
胸腔洗浄とは、胸腔内に溜まった液体(胸水、膿、血液など)や空気を、ドレーンチューブなどを使って体外に排出する処置のことです。
肺が圧迫されて呼吸困難になるのを防ぎ、肺の再膨張を促す目的で行われます。
また、洗浄によって胸腔内の状態を確認したり、溜まった膿を洗い流したりするためにも行われます。
| 胸腔洗浄の主な目的 |
|---|
| 肺の再膨張を促す | 気胸などにより肺が虚脱している場合、胸腔から空気を抜くことで肺が広がるのを助けます。 |
| 貯留物を排出する | 血液、胸水、膿などが溜まった場合に、これらを体外に排出して、呼吸困難や胸部圧迫感を改善します。 |
| 洗浄する | 膿胸のように膿が溜まっている場合、生理食塩水などを使って洗い流し、感染の改善を図ります。 |
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- 「腹腔洗浄」とは?
-
腹腔洗浄とは、腹腔内の血液や膿、異物などを取り除くために、生理食塩水などの洗浄液を注入して洗浄することです。
主に、腹部外傷後の緊急処置、手術中、腹膜透析(PD)などで用いられます。
| 主な目的と方法 |
|---|
| 緊急時の診断(診断的腹腔洗浄) | 腹部外傷後の開腹手術の要否を判断するために、カテーテルを腹腔内に挿入し、洗浄液を注入・吸引して、血液の有無などを調べます。超音波検査(FAST)が普及したため、現在ではこの目的での使用は減っていますが、意識障害などで腹部の所見が取れない場合に用いられることがあります。 |
| 手術時 | 手術中に腹腔内を生理食塩水で洗浄し、汚染物質や血塊を取り除きます。洗浄液がきれいになるまで行うのが一般的です。洗浄液の温度は、組織への負担を減らすために体温程度に温めて行われます。 |
| 腹膜透析(PD) | 腹膜透析の治療中に、腹腔内の排液を入れ替えるために行われます。 |
| がんの診断 | 手術時にがん細胞が腹膜や胸膜に転移していないかを確認するため、洗浄液を採取して細胞を調べることがあります(術中洗浄細胞診) |
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評価の要点
【処置等に係る医療区分⑯】ドレーン法又は胸腔若しくは腹腔の洗浄
| 分類 | 医療区分 | 算定期間 | 評価の単位 |
|---|
| 処置等 | 医療区分3 | 期間に限りなし | 1日毎 |
胸腔・腹腔のドレーン、または洗浄を実施していることを確認します。
医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。
評価のチェックポイント
評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。
| 該当要件のチェックポイント |
|---|
| ☐ | ドレーン法、胸腔洗浄、腹腔洗浄のいずれかを実施している。 |
| ☐ | 状態についての経過記録がある。 |
| ☐ | 洗浄や処置についての看護計画が作成されている。 |
| ☐ | 洗浄・処置についてのマニュアルがある。 |
| ☐ | 診察・看護計画が作成されている。 |
| 算定期間のチェックポイント |
|---|
| ☐ | 1日毎に評価を行っている。 |
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