療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分を毎日評価し、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入する必要があります。
一方で、医科点数表の解釈には、評価票を誰が評価・記入するのかについて明確な定めはありません。
そのため、評価票の記入体制や役割分担は、それぞれの医療機関で運用方法を決めているのが実情です。
しかし、医療区分・ADL区分の評価結果は、療養病棟入院基本料の算定や施設基準に影響するため、評価や記入に誤りがあってはいけません。
担当者だけでなく、病棟全体で正確に評価・記入できる体制づくりが重要になります。
この記事では、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」は誰が記入するのが適切なのかを整理したうえで、正確な評価につながる運用方法や役割分担の考え方について解説します。
医療区分・ADL区分等に係る評価票は誰が記入する?
「医療区分・ADL区分等に係る評価票」は、療養病棟入院基本料を算定するうえで重要な書類ですが、医科点数表の解釈には評価票を記入する担当者について具体的な職種や役職は定められていません。
そのため、実際の運用は各医療機関で決めることになります。
ここでは、通知で示されている内容と、医療機関で一般的に行われている運用について解説します。
医科点数表の解釈では誰が評価・記入するとされている?
医科点数表の解釈では、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」を毎日評価・記入することが求められていますが、「病棟師長が記入する」「担当看護師が記入する」といった担当者までは定められていません。
つまり、制度上重要なのは「誰が記入するか」ではなく、「評価の手引きに基づき正確に評価・記入されていること」です。
そのため、医療機関ごとに病棟の体制や人員配置を踏まえ、評価・記入の担当者や確認方法を決めて運用することが大切になります。
実際の運用では誰が担当することが多い?
実際には、評価票の作成を一人だけで行うケースは少なく、複数のスタッフが役割を分担しながら運用していることが多くあります。
例えば、担当看護師が患者の状態を評価・記入し、リーダー看護師や病棟師長が内容を確認する体制を採用している医療機関もあります。
また、病棟師長が評価票全体を取りまとめ、最終確認を行う運用としている施設も少なくありません。
一方で、評価項目によっては、担当看護師だけでは判断が難しい場合もあります。
そのため、医師やリハビリスタッフなど、多職種から情報を収集しながら評価を行っている医療機関もあります。
重要なのは「誰が記入したか」ではなく、評価基準が統一され、評価内容にばらつきが生じない運用体制を構築することです。そのためには、評価の手引きを十分に理解し、評価者間で共通認識を持つことに加え、最終確認を行う担当者を決めておくことが望ましいです。
なぜ正確な評価・記入が求められるのか
療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入するようになっています。
この評価票の運用にあたっては、正確に評価を行い記入をすることが大切です。
医療区分・ADL区分の評価にの運用については、医科点数表の解釈に以下の記載があります。
記載内容をしっかり確認しておきましょう。
毎日の評価・記入が必要
療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入するようになっています。
また、その際、該当する項目すべてに記入をするようになっています。
当該療養病棟に入院する患者については、別添6の別紙8の「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いて毎日評価を行い、別添6の別紙8の2の「医療区分・ADL区分等に係る評価票(療養病棟入院基本料)」の所定の欄に記載すること。その際、該当する全ての項目に記載すること。
医科点数表の解釈(令和8年6月版)p1439
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当該療養病棟に入院する患者については、別添6の別紙8の「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いて毎日評価を行い、別添6の別紙8の2の「医療区分・ADL区分等に係る評価票(療養病棟入院基本料)」の所定の欄に記載すること。その際、該当する全ての項目に記載すること。
「医療区分・ADL区分の評価」はすべての入院患者に対して毎日実施し、該当する項目すべてを評価票に記入します。そのため、評価に携わるスタッフは医療区分・ADL区分についての十分な知識が必要になります。
評価結果によって入院料が決まる
療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、医療区分・ADL区分の評価の結果によって入院患者の「入院料が決定」するようになっています。
注1 ・・・・・当該基準に係る区分及び当該患者の疾患、状態、ADL等について別に厚生労働大臣が定める区分に従い、当該患者ごとにそれぞれ所定点数を算定する。・・・・・
医科点数表の解釈(令和8年6月版)p96
(1) ・・・・・「注1:療養病棟入院基本料1、療養病棟入院基本料2」の入院料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た療養病棟に入院している患者について、別に厚生労働大臣が定める区分(1日に2つ以上の区分に該当する場合には、該当するもののうち最も高い点数の区分)に従い、当該患者ごとに入院料1等の各区分の所定点数を算定し、・・・・・
医科点数表の解釈(令和8年6月版)p92
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注1 ・・・・・当該基準に係る区分及び当該患者の疾患、状態、ADL等について別に厚生労働大臣が定める区分に従い、当該患者ごとにそれぞれ所定点数を算定する。・・・・・
(1) ・・・・・「注1:療養病棟入院基本料1、療養病棟入院基本料2」の入院料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た療養病棟に入院している患者について、別に厚生労働大臣が定める区分(1日に2つ以上の区分に該当する場合には、該当するもののうち最も高い点数の区分)に従い、当該患者ごとに入院料1等の各区分の所定点数を算定し、・・・・・
現在は、令和6年の診療報酬改定において、医療区分・ADL区分の評価の組み合わせで30分類の入院料に振り分けられる仕組みになっています。そのため、もし医療区分・ADL区分の評価に誤りがあれば、間違った入院料が決定される可能性があります。
療養病棟入院基本料の施設基準にも影響する
療養病棟入院基本料の施設基準では、「療養病棟入院基本料1で医療区分2・3の割合が8割以上」、「療養病棟入院基本料2で医療区分2・3の割合が6割以上」を満たすことが要件になっています。
| 療養病棟入院基本料1 | 療養病棟入院基本料2 |
|---|---|
| 医療区分2・3の患者の合計が「8割以上」 | 医療区分2・3の患者の合計が「6割以上」 |
ロ 療養病棟入院料1の施設基準
当該病棟の入院患者のうち医療区分3の患者と医療区分2の患者との合計が8割以上であること。
医科点数表の解釈(令和8年6月版)p1362
ハ 療養病棟入院料2の施設基準
当該病棟の入院患者のうち医療区分3の患者と医療区分2の患者との合計が5割以上であること。
医科点数表の解釈(令和8年6月版)p1362
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ロ 療養病棟入院料1の施設基準
当該病棟の入院患者のうち医療区分3の患者と医療区分2の患者との合計が8割以上であること。
ハ 療養病棟入院料2の施設基準
当該病棟の入院患者のうち医療区分3の患者と医療区分2の患者との合計が5割以上であること。
「医療区分2・3の割合」は、その月の全ての入院患者の医療区分の評価の結果をもとに計算します。そのため、正確な評価が実施されていなければ誤った計算結果が算出されてしまいます。
正確な評価・記入が重要な理由
「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の運用にあたっては、正確な評価を行い、正確な記入をすることがとても重要になります。
その理由は、先ほど説明した通り、評価の結果が「患者の入院料」「療養病棟入院基本料の施設基準の要件」に大きく関わっているからです。
医療区分・ADL区分の評価
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患者の入院料の決定・療養病棟入院基本料の施設基準の要件
仮に、病棟で誤った評価がされ、評価票に誤った記入がされれば、入院患者に誤った入院料が請求されることになってしまいます。
また、施設基準の要件である「医療区分2、3の割合」も誤った計算結果になってしまい、最悪の場合、あとで返還(不適切な診療報酬を返すこと)の指示を受ける可能性あります。
そのような事態に陥らないようにするために、日頃から患者の医療区分・ADL区分の評価を正確に行い、記入ミスがないようにチェックする体制を整えておくことが必須になります。
医療区分・ADL区分の誤った評価と記入
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誤った入院料の請求・施設基準「医療区分2、3の割合」の誤り
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最悪の場合、返還(不適切な診療報酬を返すこと)の指示を受ける
返還金が発生すると一定期間を遡って診療報酬を返さないといけなくなります。
正確に評価するための役割分担
医療区分・ADL区分の評価は、一人のスタッフだけで完結できるものではありません。
評価項目には、医療処置や病態を把握して判断するものもあれば、日常生活動作(ADL)を継続的に観察して評価するものもあります。
そのため、担当看護師だけでなく、リーダー看護師や病棟師長、必要に応じて医師やリハビリスタッフなど、多職種が情報を共有しながら評価を行うことが重要です。
ここでは、医療区分・ADL区分それぞれの評価を誰が担うべきか、また正確な評価を行うために必要なポイントについて解説します。
医療区分は誰が評価する?
医療区分は、患者に実施されている医療処置や病態などといった医療必要度を評価します。
そのため、患者の治療内容を日常的に把握している看護職員が中心となって評価することが一般的です。
ただし、医療区分の中には、診療録や医師の指示内容を確認しなければ判断できない項目もあるので、必要に応じて医師や他職種と情報共有しながら評価することが望まれます。
医療区分の評価項目
医療区分の評価項目は、「処置等に関するもの」と「疾患・状態に関するもの」の2つに分類され、該当するものを評価票へ記入するようになっています。
| 処置等に係る医療区分 | 疾患・状態に係る医療区分 |
|---|---|
| 【算定期間に限りのある医療区分】 ≪医療区分3≫ ① 24時間持続しての点滴 ② 中心静脈栄養(対象疾患以外、30日以内) ③ 処置等に係る医療区分2(別表第五の三)のうち、別表第五の三のニの(1)及び(2)のいずれにも該当 ≪医療区分2≫ ⑤ 尿路感染症 ⑥ リハビリテーション ⑦ 脱水(発熱を伴う) ⑧ 頻回の嘔吐(発熱を伴う) ⑨ せん妄 ⑩ 経鼻胃管・胃瘻等の経腸栄養(発熱または嘔吐を伴う) ⑪ 頻回の血糖検査 | 【算定期間に限りのある医療区分】 ≪医療区分2≫ ④ 消化管等の体内からの出血 |
| 【算定期間に限りのない医療区分】 ≪医療区分3≫ ⑯ 中心静脈栄養(対象疾患を有する場合) ⑰ 人工呼吸器 ⑱ ドレーン法 ⑲ 気管切開・気管内挿管(発熱を伴う) ⑳ 酸素療法(高密度) ㉑ 感染症の治療 ≪医療区分2≫ ㊲ 中心静脈栄養(対象疾患以外、30日を超える) ㊳ 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流・血漿交換療法 ㊴ 肺炎 ㊵ 褥瘡 ㊶ 末梢循環障害による下肢末端の開放創 ㊷ うつ症状 ㊸ 喀痰吸引(1日8回以上) ㊹ 気管切開・気管内挿管(発熱なし) ㊺ 創傷、皮膚潰瘍、下腿・足部の蜂巣炎、膿等の感染症 ㊻ 酸素療法(高密度除く) | 【算定期間に限りのない医療区分】 ≪医療区分3≫ ⑫ スモン ⑬ 別紙8の2の注1を参照 ⑭ 常時、監視・管理 ⑮ A212の注1に規定する超重症の状態(15歳未満に限る) ≪医療区分2≫ ㉒ 筋ジストロフィー ㉓ 多発性硬化症 ㉔ 筋萎縮性側索硬化症 ㉕ パーキンソン病関連疾患 ㉖ その他の指定難病等 ㉗ 脊髄損傷 ㉘ 慢性閉塞性肺疾患 ㉙ 別紙8の2の注2を参照 ㉚ 基本診療料の施設基準等の別表第五の三の三の患者 ㉛ 悪性腫瘍(疼痛コントロールが必要な場合に限る) ㉜ 末期呼吸器疾患 ㉝ 末期心不全 ㉞ 末期腎不全 ㉟ 他者に対する暴行 ㊱ A212の注2に規定する準超重症の状態(15歳未満に限る) |
医療区分の定義を理解する
医療区分は、各評価項目ごとに「評価の単位」と「留意点」が定められていて、その内容に当てはまる場合に記入を行うようになっています。
例として、処置等に係る医療区分3に該当する「24持続しての点滴」を挙げます。
| 項目の定義 |
| 24時間持続しての点滴 |
| 評価の単位 |
| 1日毎 |
| 留意点 |
| 本項目でいう24時間持続しての点滴とは、経口摂取が困難な場合、循環動態が不安定な場合又は電解質異常が認められるなど体液の不均衡が認められる場合に限るものとする。(初日を含む。) また、連続した7日間を超えて24時間持続して点滴を行った場合は、8日目以降は該当しないものとする。ただし、一旦非該当となった後、再び病状が悪化した場合には、本項目に該当する。 |
入院患者の状態が「留意点」に当てはまるかを「評価の単位」ごとに確認し、当てはまる場合には評価票に記入をします。
ADL区分は誰が評価する?
ADL区分は入院患者の介護必要度を評価します。
そのため、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」のADL区分の評価項目をしっかり理解している看護師と看護補助者が協力して評価にあたることが大切です。
ADL区分の評価項目
ADL区分の評価項目は、「ベッド上の可動性・移乗・食事・トイレの使用」の介護必要度を確認するものです。
| 項目 | 評価の内容 |
|---|---|
| ベッド上の可動性 | 横になった状態からの動き ・寝返り ・起き上がり ・身体の位置の調整など |
| 移乗 | ベッドからイスや車イスへの移乗 ・座る ・立ち上がる ※浴槽や便座への移乗は除く |
| 食事 | 食べたり、飲んだりの状態 ※上手、下手に関係なく ※経管や経静脈栄養も含む |
| トイレの使用 | トイレの使用の状態 ・排泄後の始末 ・おむつの替え ・人工肛門またはカテーテルの管理 ・衣服を整える ※ポータブルトイレ、便器、尿器を含む ※移乗は除く |
ADL区分の評価では、4つの項目「ベッド上の可動性・移乗・食事・トイレの使用」について、支援のレベルを確認し、0~6点の点数をつけます。
そして、4つの項目の合計点で評価を行います。
| 点数 | 状態 | 支援のレベル |
|---|---|---|
| 0 | 自立 | ・手助け、準備、観察は不要 ・手助け、準備、観察が1~2回のみ |
| 1 | 準備のみ | ・物や用具を患者の手の届く範囲に置くことが3回以上 |
| 2 | 観察 | ・見守り、励まし、誘導が3回以上 |
| 3 | 部分的な援助 | ・動作の大部分(50%以上)は自分でできる ・四肢の動きを助けるなどの体重(身体)を支えない援助を3回以上 |
| 4 | 広範な援助 | ・動作の大部分(50%以上)は自分でできる ・四肢の動きを助けるなどの体重(身体)を支える援助を3回以上 |
| 5 | 最大の援助 | ・動作の一部(50%未満)しか自分でできない ・四肢の動きを助けるなどの体重(身体)を支える援助を3回以上 |
| 6 | 全面依存 | ・まる3日間、すべての面で他者が全面援助した ・及び、本動作は一度もなかった場合 |
ADL区分の評価では、4つの項目がそれぞれ 0~6点で評価され、その合計点 0~24点を計算するようになっています。

評価に携わるスタッフは「評価の手引き」を理解する
医療区分・ADL区分を正確に評価するためには、評価を担当するスタッフ全員が「評価の手引き」を理解していることが前提です。
評価項目の定義や判定基準を十分に理解していないと、評価者によって判断が異なったり、記入漏れや誤った評価につながったりするおそれがあるからです。
評価のばらつきを防ぐために、定期的な勉強会や評価結果の確認を行い、病棟全体で評価基準を共有しておきましょう。
別紙8
医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き
「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の記入に当たっては、各項目の「項目の定義」に該当するか否かを判定すること。また、各項目の評価の単位については、「評価の単位」及び「留意点」に従うこと。
なお、「該当する」と判定した場合には、診療録にその根拠を記載すること。ただし、判定以降に患者の状態等の変化がない場合には、診療録に記載しなくても良いが、状態等の変化が見られた場合には診療録に記載すること。
Ⅰ. 算定期間に限りがある区分
(1)【処置等に係る医療区分3(別表第五のニ)】
…略…
(2)【疾患・状態に係る医療区分2(別表第五の三)】
…略…
(3)【処置等に係る医療区分2(別表第五の三)】
…略…
Ⅱ. 算定期間に限りがない区分
(1)【疾患・状態に係る医療区分3(別表第五のニ)】
…略…
(2)【処置等に係る医療区分3(別表第五のニ)】
…略…
(3)【疾患・状態に係る医療区分2(別表第五の三)】
…略…
(4)【処置等に係る医療区分2(別表第五の三)】
…略…
Ⅲ. ADL区分
当日を含む過去3日間の全勤務帯における患者に対する支援のレベルについて、4項目(a.ベッド上の可動性、b.移乗、c.食事、d.トイレの使用)に0~6の範囲で最も近いものを記入し合計する。
新入院(転棟)の場合は、入院(転棟)後の状態について評価する。
…略…
Ⅳ. その他
91. 身体的拘束を実施している
…略…
医科点数表の解釈(令和8年6月版)p1567
「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」には、医療区分とADL区分の評価する内容が記載されています。
評価票を正確に運用するためのポイント
「医療区分・ADL区分等に係る評価票」を正確に作成するためには、評価を担当するスタッフ個人の判断だけに任せるのではなく、病棟全体で評価基準を共有し、確認できる体制を整えることが重要です。
医療区分・ADL区分の評価は、患者の状態を継続的に把握しているスタッフが行うことが望ましい一方で、評価者によって判断に違いが生じる可能性があります。
そのため、最終確認者の設定や役割分担を明確にし、評価内容を確認できる仕組みを作ることが正確な評価につながります。
最終確認者を決めて評価のばらつきを防ぐ
医療区分・ADL区分の評価では、同じ患者であっても評価者によって判断が異なることがあります。
例えば、「この状態は医療区分の対象となるのか?」「ADLの評価はどの程度と判断するのか?」など、評価基準の理解度や経験によっては、差が生じる場合もあります。
そのため、評価のばらつきを防ぐために、評価票の内容を最終的に確認する担当者を決めておくことが重要です。
そして、この評価内容や記入漏れの有無を確認する担当者を病棟師長やリーダー看護師などが担うことで、病棟内で統一された評価を実施することにつながります。
医療区分・ADL区分の評価に携わるスタッフが増えるほど、記入漏れや記入ミスは起きやすくなります。
複数人で記入する場合の役割分担
医療区分・ADL区分の評価では、同じ患者であっても評価者によって判断が異なることがあります。
例えば、「この状態は医療区分の対象となるのか」「ADLの評価はどの程度と判断するのか」など、評価基準の理解度や経験によって差が生じる場合があります。
このような評価のばらつきを防ぐためには、評価票の内容を最終的に確認する担当者を決めておくことが重要です。
病棟師長やリーダー看護師などが確認者となり、評価内容や記入漏れの有無を確認することで、病棟内で統一された評価につながります。
複数人で記入する場合の役割分担
評価票の作成を複数のスタッフで行う場合には、それぞれの役割を明確にしておく必要があります。
例えば、
- 日々の患者状態を把握している担当看護師が評価・記入を行う
- リーダー看護師が評価内容を確認する
- 病棟師長が全体の運用状況を管理する
といったように、評価・確認・管理の役割を分けることで、責任の所在が明確になります。
一方で、複数人が関わる場合には、評価基準の認識が統一されていないと、スタッフごとに異なる評価結果になる可能性があります。
そのため、「評価の手引き」をスタッフ間で共有し、必要に応じて評価方法を確認する機会を設けることが大切です。
| 役職 | 役割 |
|---|---|
| 担当看護師 | 評価票の記入を実施 |
| リーダー看護師 | 評価内容を確認する |
| 病棟師長 | 全体の運用状況を管理・評価内容の最終確認者 |
医事課と連携できる体制をつくる
医療区分・ADL区分の評価結果は、療養病棟入院基本料の算定や施設基準の管理にも関係します。
そのため、病棟内だけで評価を完結させるのではなく、医事課と情報共有できる体制を整えることも重要です。
例えば、評価結果の確認方法や提出の流れ、施設基準に関わる数値管理について、病棟と医事課で共通認識を持っておくことで、請求時の確認不足や算定上の問題を防ぐことができます。
正確な評価票の作成には、評価を行うスタッフだけでなく、確認者や医事課を含めた組織全体での連携が欠かせません。
複数人で評価する場合に起こりやすい問題
医療区分・ADL区分の評価を複数のスタッフで分担することは、患者の状態を多面的に把握できるというメリットがあります。
一方で、評価基準の認識や役割分担が統一されていないと、記入ミスや評価のばらつきなどの問題が生じる可能性があります。
ここでは、複数人で評価・記入を行う際に起こりやすい問題と、その背景について解説します。
評価基準の理解不足による記入ミス
医療区分・ADL区分は、「評価の手引き」に基づいて評価する必要があります。そのため、評価に携わるスタッフ全員が、評価項目の定義や判定基準を正しく理解していることが前提となります。
しかし、新任スタッフや評価経験の少ないスタッフが担当する場合には、評価項目の解釈を誤ったり、記入漏れや記入ミスが発生したりすることがあります。
また、評価者が日ごとに変わる運用では、前日の評価内容を十分に確認できず、同じ誤りが継続してしまうことも少なくありません。
どれだけ経験豊富なスタッフでも、多忙な業務の中では記入ミスが起こる可能性があります。そのため、評価者任せにするのではなく、確認者を設けるなどのチェック体制が重要です。
評価者による判断のばらつき
医療区分・ADL区分の評価は「評価の手引き」に従って行いますが、評価項目によっては判断に迷うケースもあります。
そのような場面では、評価者による基準の解釈や経験の違いから、同じ患者であっても評価結果が異なる場合があります。
評価結果にばらつきが生じると、病棟内で評価の一貫性が保てなくなるだけでなく、入院料や施設基準にも影響を及ぼす可能性があります。
このようなばらつきを防ぐためには、定期的な勉強会や事例検討を行い、評価基準を病棟内で共有することが大切です。
責任が曖昧になり評価精度が低下する
複数人で評価を担当する場合、役割分担が明確でないと、「誰かが確認しているだろう」という意識が生じることがあります。
このように責任が分散すると、確認不足や記入漏れにつながり、評価の精度が低下するおそれがあります。
心理学では、このような現象を「リンゲルマン効果」と呼び、集団で作業を行うことで個人の責任感が薄れ、作業の質が低下しやすくなることを意味しています。
そのため、評価者だけでなく、最終確認者を決めて責任の所在を明確にしておくことが重要です。
レセプト業務への影響
医療区分・ADL区分の評価結果は、医事課でレセプトへ反映され、療養病棟入院基本料の算定に使用されます。
そのため、評価票に記入漏れや誤った評価があると、入院料の算定誤りや施設基準の管理に影響する可能性があります。
また、記入内容に疑義が生じた場合、医事課は病棟へ確認を行います。
しかし、複数人で評価票を記入していると、担当者が不在であったり、誰が評価したのか分からなかったりして、確認に時間を要することがあります。
病棟と医事課が円滑に連携するためにも、評価票の最終確認者を決め、問い合わせ窓口を明確にしておくことが望ましいです。
- 評価したスタッフが休みで内容を確認できない
- 「評価の手引き」の理解不足による記入漏れや記入ミス
- 前日の評価をそのまま転記し、算定期間を超えてしまっている
- 「医事課が確認してくれる」という意識から、確認が不十分なまま提出されている
このような問題を防ぐためには、病棟内で最終確認を行う体制を整えることが重要です。例えば、病棟師長やリーダー看護師が評価票を確認する運用であれば、記入漏れや記入ミスを早期に発見できるだけでなく、医事課からの問い合わせにも迅速に対応しやすくなります。
まとめ
療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分を毎日評価し、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入する必要があります。
評価票の内容は、患者の入院料だけでなく、療養病棟入院基本料の施設基準にも影響するため、評価・記入ともに正確性が求められます。
一方で、医科点数表の解釈には、評価票を誰が記入するかについて具体的な定めはなく、各医療機関が実情に応じて運用体制を整えることになります。
正確な評価を行うためには、評価に携わるスタッフ全員が「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を十分に理解し、統一した基準で評価できるようにすることが重要です。
また、複数のスタッフで評価・記入を行う場合は、役割分担を明確にするとともに、最終確認者を決めて評価内容を確認できる体制を整えることが望まれます。
病棟内での情報共有に加え、医事課とも円滑に連携できる仕組みを構築することで、記入漏れや評価のばらつきを防ぎ、適切な診療報酬請求につなげることができます。
