プロトロンビン時間(PT)は、血液が固まるまでの時間を測定し、外因系および共通系の凝固因子が正常に機能しているか、またビタミンK欠乏や肝臓の病気、特定の薬(ワーファリンなど)の影響を確認するための検査です。
結果は秒単位で示されるほか、ワーファリン治療中などは国際標準化比(PT-INR)として報告され、治療効果のモニタリングに用いられます。
プロトロンビン時間(PT)の基準値
秒数 : 10~15(秒)
活性% : 80~100(%)
目次
プロトロンビン時間(PT)の概要
プロトロンビン時間(PT)は凝固外因系共通の検査です。
凝固第Ⅰ・Ⅱ・Ⅴ・Ⅶ・Ⅹ因子の総合的活性を反映します。
凝固因子を合成している肝臓の働きが悪くなったり、合成に必要なビタミンKが不足すると延長します。
プロトロンビン時間(PT)が延長する要因
- 肝臓の働きが悪化
- ビタミンKが不足
- 消費の亢進(DICなど)
略称
プロトロンビン時間
PT : prothrombin time
検査の目的
① 血液凝固機能の評価
血液が固まるまでの時間を測定することで、凝固因子の活性を総合的に評価します。
② 病気の診断
肝不全、ビタミンK欠乏症、特定の凝固因子欠乏症、播種性血管内凝固症候群(DIC)などの診断に用いられます。
③ 薬物療法のモニタリング
特にワーファリンなどの経口抗凝固剤を使用している患者さんの治療効果を調整するために使用されます。
④ 手術前のスクリーニング
外科手術の前に、血液が正常に凝固するか、手術に支障がないかを確認するためにも行われます。
検査の原理と結果の解釈
採血した血漿に「組織因子」とカルシウムイオン(Caイオン)を含む試薬を加え、血液が固まるまでの時間(フィブリン析出時間)を測定します。
PT(秒)
血液が凝固するまでの秒数で示されます。
PT-INR
ワーファリンなど抗凝固療法を受けている患者さんで、測定機器や試薬の違いによるばらつきを補正し、標準的な値として示すために用いられます。INR値は、健康な人と比べて凝固活性がどの程度かを示し、正常値は通常1.0前後です。
プロトロンビン時間(PT)の異常とその原因
| 短い場合 | 延長している場合 |
|---|---|
| ・血栓症(凝固亢進時) ・生理的変動(高齢者) | ・先天性凝固因子欠乏症・異常症(Ⅰ・Ⅱ・Ⅴ・Ⅶ・Ⅹ) ・肝機能障害 ・播種性血管内凝固症候群(DIC) ・尿毒症 ・多発性骨髄腫 ・線溶亢進 ・抗凝固薬の使用(ヘパリン、ワルファリンカリウム) |






