フィブリン分解産物(FDP)とは、血栓の形成とその後の分解(線溶)の過程で、フィブリンやフィブリノゲンがプラスミンによって分解されて生成される物質の総称です。
これは生体内で線溶現象が起きていることを直接示す指標であり、播種性血管内凝固症候群(DIC)などの血栓性疾患の診断や、治療効果のモニタリングに用いられます。
Total-FDP: 10(μg/mL)未満
Dダイマー: 1.0(μg/mL)未満
フィブリン分解産物(FDP)の概要
フィブリン分解産物(FDP)とは、フィブリノーゲンおよび凝固系の最終産物であるフィブリンが、プラスミンの働きにより分解(線溶)されて生じる物質の総称です。
Total-FDPとDダイマーを測定することによって、線溶亢進状態の鑑別の指標になります。
- Total-FDP: 一次線溶と二次線溶の両者を総合的に反映
- Dダイマー: 二次線溶のみを対象
血中のフィブリノーゲンが、プラスミンによってフィブリノーゲン分解産物(FgDP)を生じます。血管内凝固のない線溶です。
血管内凝固によって生じたフィブリンが、プラスミンによってフィブリン分解産物(FDP)を生じます。血管内凝固のある線溶です。(Dダイマーを測定)
略称
フィブリン分解産物
FDP(fibrin degradation product)
FDPが生成されるメカニズム
① 血栓形成
まず、血液中のフィブリノーゲンがフィブリンに変化し、血栓(血球などと結合した塊)を形成します。
② 線溶系の活性化
この血栓を溶かすための線溶系が活性化され、プラスミンという酵素が働きます。
③ 分解生成物
プラスミンがフィブリノゲンやフィブリンを分解することで、FDPが生成されます。
FDPが測定される目的
① 線溶亢進状態の把握
FDPの増加は、線溶現象が活発に起きている状態を示します。
② DICの診断・管理
播種性血管内凝固症候群(DIC)などの凝固亢進・線溶亢進状態にある病態の診断や経過観察に重要です。
③ 血栓性疾患の診断
各種血栓症のマーカーとしても利用されます。
④ 線溶療法のモニタリング
ウロキナーゼやt-PAを用いた線溶療法(血栓溶解療法)の効果判定や経過観察の指標にもなります。
フィブリン分解産物(FDP)の異常とその原因
| Total-FDPが高値の場合 | Dダイマーが高値の場合 |
|---|---|
| ・一次線溶異常亢進 ・二次線溶: 播種性血管内凝固因子(DIC) ・心筋梗塞 ・肺塞栓 ・各種血栓症 ・溶血性尿毒症症候群(HUS) ・劇症肝炎 | ・二次線溶 :播種性血管内凝固因子(DIC) :心筋梗塞 :肺梗塞 :各種血栓症 :溶血性尿毒症症候群(HUS) :劇症肝炎 |






