赤血球恒数(MCV、MCH、MCHC)は、貧血の種類を判断するために用いられる血液検査の指標です。
MCVは赤血球1個あたりの平均の大きさ(平均赤血球容積)、MCHは赤血球1個に含まれるヘモグロビン量(平均赤血球血色素量)、MCHCは赤血球1個あたりのヘモグロビン濃度(平均赤血球血色素濃度)を示し、これらの数値の組み合わせから、小球性低色素性貧血や大球性正色素性貧血など、貧血の分類を特定します。
平均赤血球容積(MCV): 86~98(fL)
平均赤血球ヘモグロビン量(MVH): 27~35(pg)
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC): 31~35(%)
赤血球恒数(MCV、MCH、MCHC)の概要
赤血球恒数(MCV、MCH、MCHC)の求め方
① 平均赤血球容積(MCV)
平均赤血球容積
MCV:mean corpuscular volume
1つの赤血球の容積の平均を絶対値で表したもので、 ヘマトクリット値を赤血球数で除して求めることができます。
MCVが、基準値内で正球性、低ければ小球性、高ければ大球性と表現されます。
MCV(fL)=Ht(%)/RBC(×104/μL)×1000[fL(フェムトリットル)=10-15L]
② 平均赤血球ヘモグロビン量(MVH)
平均赤血球ヘモグロビン量
MVH:mean corpuscular hemoglobin
1つの赤血球に含まれる血色素量を絶対値で表したもので、血色素量を赤血球数で除して求めることができます。
MCH(pg)=Hb(g/dl)/RBC(×104/μl)×1000[pg(ピコグラム)=[10-12g]
③ 平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)
平均赤血球ヘモグロビン濃度
MCHC:mean corpuscular hemoglobin concentration
1つの赤血球に含まれる血色素量を百分率で表したもので、血色素量をヘマトクリット値で除して求めることができます。
MCHCが、基準値内で正色素性、低ければ低色素性、高ければ高色素性と表現されます。
MCHC(%)=Hb(g/dL)/Ht(%)×100
赤血球恒数(MCV、MCH、MCHC)の異常とその原因
| MCV ↑ ・ MCH → ↑ ・ MCHC → ↑ | MCV → ・ MCH → ・ MCHC → | MCV ↓ ・ MCH → ↓ ・ MCHC ↓ |
|---|---|---|
| 大球性正色素性貧血 ①巨赤芽球性貧血 ・ビタミンB12及び葉酸欠乏によるもの ②肝障害によるもの | 正球性正色素性貧血 ①再生不良性貧血 ・薬物、放射線照射、感染などによるもの ・原因不明のもの ②溶血性貧血 ・赤血球自体の異常によるもの :遺伝性溶血性貧血 :発作性夜間血色素尿症 :異常ヘモグロビン血症 ・赤血球以外に異常のあるもの :自己免疫性溶血性貧血 :胎児赤芽球症 :感染性溶血性貧血 ③急性出血によるもの | 小球性低色素性貧血 ①鉄欠乏性貧血 ・慢性出血(胃潰瘍、胃癌、大腸癌などからの出血、月経過多など) ・鉄吸収の低下(低酸素症や胃全摘術後) ・妊娠などにみられる鉄需要量の増加 ・食物中の鉄不足 ②鉄芽球性貧血 ③サラセミア |






