活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は、血液の固まりやすさ、すなわち凝固の活性を調べる検査で、内因性凝固に関わる第XII、XI、IX、VIII因子などの活性を総合的に測定します。
APTTの延長は血友病などの凝固因子異常、肝障害、ビタミンK欠乏、播種性血管内凝固症候群(DIC)、ヘパリン投与などが原因で起こり、プロトロンビン時間(PT)と合わせて出血性素因のスクリーニングや、ヘパリン治療効果のモニタリングに用いられます。
秒数: 30~50(秒)
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の概要
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は、凝固外因系共通の検査で、凝固第Ⅰ・Ⅱ・Ⅴ・Ⅶ・Ⅹ・ⅩⅠ・ⅩⅡ因子の総合的活性を反映します。
プロトロンビン時間と同じく、肝機能障害、ビタミンK不足で延長します。
- 肝機能障害
- ビタミンKの不足
凝固因子欠乏症では、正常血漿の添加でAPTTが改善されますが、抗リン脂質抗体陽性患者や、LA陽性患者では改善が見られません。
略称
活性化部分トロンボプラスチン時間
APTT:activated partial thromboplastin time
APTTとは?
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は、血液の固まりやすさ(内因性凝固活性)を評価する検査です。
血液にリン脂質を含む試薬(部分トロンボプラスチン)と活性化剤を加えて、フィブリンが形成されるまでの時間を測定します。
凝固第XII、XI、IX、VIII因子、プレカリクレイン、高分子キニノゲンなどの内因性凝固因子および共通因子系の活性を総合的に調べます。
APTTの意義
① 内因系凝固の指標
血友病など内因系凝固因子の欠乏や機能低下を検出する、最も総合的な指標となります。
② スクリーニング検査
出血性素因のスクリーニングや、外科手術前のリスク評価に利用されます。
③ 疾患の特定
PT値と組み合わせて、どの凝固因子に異常があるかを推定するのに役立ちます。
④ 治療モニタリング
ヘパリンなどの抗凝固療法の効果を評価するために、APTTの延長をモニタリングします。
APTTが延長する主な病態
① 先天性凝固因子欠乏症
血友病A(第VIII因子欠乏)や血友病B(第IX因子欠乏)など。
② 後天性疾患
重症肝障害、ビタミンK欠乏、播種性血管内凝固症候群(DIC)。
③ 抗体
第VIII因子インヒビターやループスアンチコアグラントなどの存在。
④ 治療介入
ヘパリン投与による抗凝固作用。
APTTの異常とその原因
| APTTが短い場合 | APTTが延長した場合 |
|---|---|
| ・血栓症(凝固亢進時) ・生理的変動(高齢者) | ・先天性凝固因子欠乏症・異常症(Ⅰ・Ⅱ・Ⅴ・Ⅶ・Ⅹ・ⅩⅠ・ⅩⅡ) ・肝機能障害 ・播種性血管内凝固症候群(DIC) ・尿毒症 ・多発性骨髄腫 ・線溶亢進 ・抗凝固薬の使用(ヘパリン、ワルファリンカリウム) |






