療養病棟入院基本料「医療区分2・3の患者の合計が○割以上」の考え方を理解する

  • URLをコピーしました!

療養病棟入院基本料の施設基準には、「医療区分2・3の患者の合計が〇割以上」というものがあります。

そして、この施設基準は、療養病棟入院基本料1で「医療区分2・3の患者の合計が8割以上」、療養病棟入院基本料2で「医療区分2・3の患者の合計が5割以上」となっています。

今回は、この「医療区分2・3の患者の合計が〇割以上」の考え方や計算方法について簡単にまとめていきます。

目次

療養病棟入院基本料の施設基準「医療区分2・3の割合」

療養病棟入院基本料の算定では「医療区分2・3の割合」についての施設基準が定められています。

「医科点数表の解釈」の記載

療養病棟入院基本料の施設基準については、医科点数表の解釈に以下の記載があります。

ロ 療養病棟入院料1の施設基準

当該病棟の入院患者のうち医療区分3の患者と医療区分2の患者との合計が8割以上であること。

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p1249

ハ 療養病棟入院料2の施設基準

当該病棟の入院患者のうち医療区分3の患者と医療区分2の患者との合計が5割以上であること。

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p1249

⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩

療養病棟入院料1の施設基準
当該病棟の入院患者のうち医療区分3の患者と医療区分2の患者との合計が8割以上であること。

療養病棟入院料2の施設基準
当該病棟の入院患者のうち医療区分3の患者と医療区分2の患者との合計が5割以上であること。

上記の通り、「療養病棟入院基本料1では医療区分2・3の割合が8割以上」「療養病棟入院基本料2では医療区分2・3の割合が5割以上」であることが必要となっています。

療養病棟入院基本料1療養病棟入院基本料2
医療区分2・3の患者の合計が「8割以上」医療区分2・3の患者の合計が「5割以上」

施設基準を満たせていないと…

届出をしている療養病棟入院基本料の施設基準を満たせていない場合には、入院基本料の変更の届出をしなけらばならなくなります。

療養病棟入院基本料1の算定病棟であれば、医療区分2・3の割合を8割以上を満たせなくなった場合には「療養病棟病棟入院基本料2」に変更するための届出が必要になります。

療養病棟入院基本料2の算定病棟であれば、医療区分2・3の割合を5割以上を満たせなくなった場合には「特別入院基本料」に変更するための届出が必要になります。

療養病棟入院基本料施設基準届出
療養病棟入院基本料1⇨ 8割以上を満たせない ⇨療養病棟入院基本料2
療養病棟入院基本料2⇨ 5割以上を満たせない ⇨特別入院基本料

療養病棟入院基本料1と療養病棟入院基本料2に比較して、特別入院基本料の入院料はかなり低いため、医療機関の収入を大きく減少させる要因になります。

療養病棟入院基本料入院料
療養病棟入院基本料1830点 ~ 1,964点
療養病棟入院基本料2766点 ~ 1,899点
特別入院基本料582点

特別入院基本料では、医療区分・ADL区分の状態に関係なく一律 582点の入院料になってしまうだけでなく、算定できない加算も多くあるため、療養病棟入院基本料1や療養病棟入院基本料2に比べて、診療報酬がかなり減ってしまいます。

「医療区分2・3の割合」の計算

療養病棟入院基本料の施設基準にある「医療区分2・3の患者の合計が〇割以上」は、その月の延べ入院患者数に対しての医療区分2・3の患者の割合を求めることで算出できます。

医療区分2・3の患者の合計 / その月の延べ入院患者数

医療区分2・3の患者の割合は、「療養病棟入院基本料1で8割以上」「療養病棟入院基本料2で5割以上」が必要とされています。

「その月の延べ入院患者数」について理解する

その月の延べ入院患者数とは、その月にその病棟に入院した患者の総数のことです。

仮に、その月の日数が30日で、30床の療養病棟が常に満床であった場合、延べ入院患者数は「30日×30床(常に満床)=900人」となり、延べ入院患者数は900人と計算されます。

スクロールできます
123456789101112131415161718192021222324252627282930
入院数303030303030303030303030303030303030303030303030303030303030

1日の入院患者数:30人
2日の入院患者数:30人
3日の入院患者数:30人



28日の入院患者数:30人
29日の入院患者数:30人
30日の入院患者数:30人

30 + 30 + 30 + … + 30 + 30 + 30 = 900人

延べ入院患者数:900人

特定期間における1日ごとの入院患者数をすべて合計した人数が「延べ入院患者数」になります。「その月の延べ入院患者数」の場合は、ひと月における1日ごとの入院患者数をすべて合計した人数になります。

「医療区分2・3の患者の合計」について理解する

療養病棟入院基本料では入院患者の状態を毎日確認して、「医療区分1・医療区分2・医療区分3」のいずれかで評価します。

仮に、ひと月を30日として、ある患者Aの医療区分の評価が以下のようになっている場合の「医療区分2・3の合計」を考えてみます。

スクロールできます
123456789101112131415161718192021222324252627282930
医療区分223333333111111111133322222222

上の表において、患者Aの医療区分の評価は、それぞれの合計が「医療区分1:10日」「医療区分2:10日」「医療区分3:10日」になっているので、医療区分2・3の合計は「医療区分2:10日」と「医療区分3:10日」を足した20日になります。

患者医療区分1医療区分2医療区分3医療区分2・3
患者A10日10日10日20日

医療区分1: 10日
医療区分2: 10日
医療区分3: 10日

医療区分2・3の合計: 10 + 10 = 20 日

その月の入院患者の医療区分2・3の合計を求めて、その月の延べ入院患者数に対する割合を算出することになります。

「医療区分2・3の割合」の計算例

例を挙げて、実際に「医療区分2・3の割合」を計算してみます。

その月の日数が30日で、30床の療養病棟が常に満床であったとし、延べ入院患者数を900人(30日×30床:常に満床で入退院なし)とします。

  その月の日数: 30日
  その月の延べ入院患者数: 900人(30日×30床:常に満床で入退院なし)

その上で、その月の入院患者全員分の医療区分の合計が、「医療区分1:200日」「医療区分2:400日」「医療区分3:300日」であり、その月の入院患者の医療区分2・3の合計が700日だったとします。

患者医療区分1医療区分2医療区分3医療区分2・3
入院患者
全員分
200日400日300日700日

400日(医療区分2) + 300日(医療区分3) = 700日

このときの医療区分2・3の割合を、下の計算式に当てはめて計算すると77.7%であることが分かります。

医療区分2・3の患者の合計 / その月の延べ入院患者数

700日 / 900日 ≒ 0.7777 ⇨ 77.7%

実際には、直近3ヵ月における医療区分2・3の割合を計算し、施設基準を満たしているかを確認していきます。「直近3ヵ月における医療区分2・3の割合」については、次項で説明します。

「医療区分2・3の割合」の計算の実際

「医療区分2・3の割合」の計算については、医科点数表の解釈において直近3ヵ月における割合を算出するように記載があります。

「医科点数表の解釈」の記載

「医療区分2・3の割合」の計算については、医科点数表の解釈に以下のように記載があります。

 療養病棟入院基本料1及び2を算定する病棟の入院患者に係る「基本診療料の施設基準等」別表第五のニの一に掲げる疾患・状態にある患者及び同表の二に掲げる処置等が実施されている患者(以下別添2において「医療区分3お患者という。」)及び別表第五の三の一に掲げる疾患・状態にある患者及び同表のニに掲げる処置等が実施されている患者並びに同表の三に掲げる患者(以下別添2において「医療区分2の患者」という。)の割合の算出方法等

 医療区分3及び医療区分2の患者の割合については、次のアに掲げる数をイに掲げる数で除して算出する。

ア 直近3ヵ月における各病棟の入院患者ごとの医療区分3の患者及び医療区分2の患者に該当する日数の和

イ 直近3ヵ月における各病棟の入院患者ごとの入院日数の和 

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p1318

⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩

 療養病棟入院基本料1及び2を算定する病棟の入院患者に係る「基本診療料の施設基準等」別表第五のニの一に掲げる疾患・状態にある患者及び同表の二に掲げる処置等が実施されている患者(以下別添2において「医療区分3お患者という。」)及び別表第五の三の一に掲げる疾患・状態にある患者及び同表のニに掲げる処置等が実施されている患者並びに同表の三に掲げる患者(以下別添2において「医療区分2の患者」という。)の割合の算出方法等
 医療区分3及び医療区分2の患者の割合については、次のアに掲げる数をイに掲げる数で除して算出する。
ア 直近3ヵ月における各病棟の入院患者ごとの医療区分3の患者及び医療区分2の患者に該当する日数の和
イ 直近3ヵ月における各病棟の入院患者ごとの入院日数の和 

上記の通り、「医療区分2・3の割合」の計算は、直近3ヵ月のデータを用いて計算します。

医療区分3及び医療区分2の患者の割合については、次のアに掲げる数をイに掲げる数で除して算出する。
ア 直近3ヵ月における各病棟の入院患者ごとの医療区分3の患者及び医療区分2の患者に該当する日数の和
イ 直近3ヵ月における各病棟の入院患者ごとの入院日数の和

⇩⇩⇩⇩⇩⇩

「医療区分2・3の割合」

直近3ヵ月の医療区分2・3の日数 / 直近3ヵ月の延べ入院患者数

その月の医療区分2・3の割合が低くても、直近3ヵ月における割合を求める計算なので、前月、前々月の割合が高ければ施設基準を満たすことができます。

「直近3ヵ月における医療区分2・3の割合」の計算例

例を挙げて、実際に「直近3ヵ月における医療区分2・3の割合」を計算してみます。

療養病棟入院基本料1の届出をしている30床の療養病棟だとして、1年間の医療区分と延べ入院患者数が以下の表の通りだとします。

スクロールできます
123456789101112
医療区分2・3750700720760680780800750850820670700
延べ入院患者数900900900900900900900900900900900900

このときの直近3ヵ月における医療区分2・3の割合は、「直近3ヵ月:当月・前月・前々月」のデータを足して計算します。

仮に、5月の実績として「直近3ヵ月における医療区分2・3の割合」の計算をするときには、直近3ヵ月である「5月、4月、3月」のデータを足して計算することになります。

5月の実績 ⇨ 直近3ヵ月(当月:5月)(前月:4月)(前々月:3月)

スクロールできます
123456789101112
医療区分2・3750700720760680780800750850820670700
延べ入院患者数900900900900900900900900900900900900

⇩⇩⇩⇩⇩ 3月、4月、5月を抜き出して計算 ⇩⇩⇩⇩⇩

345直近3ヵ月の合計
医療区分2・37207606802160
延べ入院患者数9009009002700

計算式に当てはめて「医療区分2・3の割合」を求めると、80%だということが分かります。

「医療区分2・3の割合」

直近3ヵ月の医療区分2・3の日数 / 直近3ヵ月の延べ入院患者数

2160 / 2700 = 0.8 ⇨ 80%

「医療区分2・3の割合」は80%なので、療養病棟入院基本料1の施設基準を満たしていることになります。

まとめ

「医療区分2・3の割合」は療養病棟入院基本料の施設基準のひとつになっています。

療養病棟入院基本料1と療養病棟入院基本料2のどちらの届出をしているかによって、満たすべき医療区分2・3の割合は異なります。

医療区分2・3の割合の計算を行い、施設基準を満たせているかを確認しておきましょう。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次