医療区分・ADL区分の評価項目一覧|評価基準をわかりやすく解説

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本記事は以下の資料をもとに作成しています。
・医科点数表の解釈(令和8年6月版)社会保険研究所

療養病棟入院基本料を算定するためには、入院患者ごとに「医療区分・ADL区分の評価」を行う必要があります。

医療区分・ADL区分の評価は、医科点数表の解釈に示されている「別添8 医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」に基づいて実施します。

この評価票では、医療区分について「処置等」や「疾患・状態」を、ADL区分について「日常生活動作(ADL)」に関する項目を評価し、その結果をもとに入院基本料の算定区分が決定されます。

この記事では、「別添8 医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」に示されている評価項目や評価方法の概要について、医療区分・ADL区分それぞれに分けて解説します。

目次

医療区分の評価

医科点数表の解釈の「別添8 医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」では、医療区分の評価について以下のように記載されています。

医療区分は「処置等」と「疾患・状態」を評価する

医療区分の評価項目は「処置等に係るもの」「疾患・状態に係るもの」に分類され、それぞれについて該当するか確認するようになっています。

処置等に係る医療区分疾患・状態に係る医療区分
【算定期間に限りのある医療区分】

≪医療区分3≫
 ① 24時間持続しての点滴
 ② 中心静脈栄養(対象疾患以外、30日以内)
 ③ 処置等に係る医療区分2(別表第五の三)のうち、別表第五の三のニの(1)及び(2)のいずれにも該当

≪医療区分2≫
 ⑤ 尿路感染症
 ⑥ リハビリテーション
 ⑦ 脱水(発熱を伴う)
 ⑧ 頻回の嘔吐(発熱を伴う)
 ⑨ せん妄
 ⑩ 経鼻胃管・胃瘻等の経腸栄養(発熱または嘔吐を伴う)
 ⑪ 頻回の血糖検査

【算定期間に限りのある医療区分】

≪医療区分2≫
 ④ 消化管等の体内からの出血
【算定期間に限りのない医療区分】

≪医療区分3≫
 ⑯ 中心静脈栄養(対象疾患を有する場合)
 ⑰ 人工呼吸器
 ⑱ ドレーン法
 ⑲ 気管切開・気管内挿管(発熱を伴う)
 ⑳ 酸素療法(高密度)
 ㉑ 感染症の治療

≪医療区分2≫
 ㊲ 中心静脈栄養(対象疾患以外、30日を超える)
 ㊳ 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流・血漿交換療法
 ㊴ 肺炎
 ㊵ 褥瘡
 ㊶ 末梢循環障害による下肢末端の開放創
 ㊷ うつ症状
 ㊸ 喀痰吸引(1日8回以上)
 ㊹ 気管切開・気管内挿管(発熱なし)
 ㊺ 創傷、皮膚潰瘍、下腿・足部の蜂巣炎、膿等の感染症
 ㊻ 酸素療法(高密度除く)

【算定期間に限りのない医療区分】

≪医療区分3≫
 ⑫ スモン
 ⑬ 別紙8の2の注1を参照
 ⑭ 常時、監視・管理
 ⑮ A212の注1に規定する超重症の状態(15歳未満に限る)

≪医療区分2≫
 ㉒ 筋ジストロフィー
 ㉓ 多発性硬化症
 ㉔ 筋萎縮性側索硬化症
 ㉕ パーキンソン病関連疾患
 ㉖ その他の指定難病等
 ㉗ 脊髄損傷
 ㉘ 慢性閉塞性肺疾患
 ㉙ 別紙8の2の注2を参照
 ㉚ 基本診療料の施設基準等の別表第五の三の三の患者
 ㉛ 悪性腫瘍(疼痛コントロールが必要な場合に限る)
 ㉜ 末期呼吸器疾患
 ㉝ 末期心不全
 ㉞ 末期腎不全
 ㉟ 他者に対する暴行
 ㊱ A212の注2に規定する準超重症の状態(15歳未満に限る)


医療区分の評価では入院患者の状態が、上記の項目に当てはまるかどうかを評価していきます。

医療区分は「項目の定義」「評価の単位」「留意点」で判断する

医療区分の評価項目は、各項目について「項目の定義」「評価の単位」「留意点」の3つの記載があります。

項目の定義医療区分における、その項目の概要
評価の単位医療区分の項目を確認する際の期間
(1日毎・月1回・定義なし)
留意点医療区分の項目への「該当・非該当」を確認するためのポイント

実際に、どのように記載されているかの例を挙げます。

処置等に係る医療区分「24時間持続しての点滴」では、以下のように記載されています。

項目の定義
24時間持続しての点滴
評価の単位
1日毎
留意点
本項目でいう24時間持続しての点滴とは、経口摂取が困難な場合、循環動態が不安定な場合又は電解質異常が認められるなど体液の不均衡が認められる場合に限るものとする。(初日を含む。)
また、連続した7日間を超えて24時間持続して点滴を行った場合は、8日目以降は該当しないものとする。ただし、一旦非該当となった後、再び病状が悪化した場合には、本項目に該当する。

入院患者の状態が「留意点」に当てはまるかを「評価の単位」ごとに確認し、当てはまる場合にはその医療区分に当てはまることになります。

医療区分はどのように評価するのか

医療区分の評価は、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」に示されている評価基準に沿って行います。

評価する際には、まず各項目の「項目の定義」に該当する状態であるかを確認し、そのうえで「評価の単位」や「留意点」に従って判定します。

該当する項目がある場合には、その根拠となる内容を診療録に記載し、評価票へ反映します。

医科点数表の解釈に示されている評価方法

医療区分の評価は、医科点数表の解釈「別添8 医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」において以下のように記載されています。

 「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の記入に当たっては、各項目の「項目の定義」に該当するか否かを判定すること。また、各項目の評価の単位については、「評価の単位」及び「留意点」に従うこと。

 なお、「該当する」と判定した場合には、診療録にその根拠を記載すること。ただし、判定以降に患者の状態等の変化がない場合には、診療録に記載しなくても良いが、状態等の変化が見られた場合には診療録に記載すること。

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p1567

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 「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の記入に当たっては、各項目の「項目の定義」に該当するか否かを判定すること。また、各項目の評価の単位については、「評価の単位」及び「留意点」に従うこと。
 なお、「該当する」と判定した場合には、診療録にその根拠を記載すること。ただし、判定以降に患者の状態等の変化がない場合には、診療録に記載しなくても良いが、状態等の変化が見られた場合には診療録に記載すること。

医療区分の評価から診療録・評価票への記録までの流れ

上記の記載のながれで医療区分の評価を進めると、下のような手順になります。

STEP
「項目の定義」に該当するかの判定(「評価の単位」「留意点」に従う)

入院患者の状態が「項目の定義」に該当するかの判定を行います。

該当するか否かは、「留意点」の記載に当てはまるかをきちんと確認することが必須です。

「評価の単位」の定義には「1日毎・月1回・定義なし」があり、その定義に従って評価を行います。

仮に、評価単位が「1日毎」であった場合には毎日評価をすることになります。

STEP
「該当する」場合には診療録に根拠を記載

医療区分の項目に「該当する」場合には、診療録にその根拠を記載します。

該当した後、患者の状態等の変化がない場合には診療録に記載は不要ですが、状態等の変化があった際には診療録への記載が必要になります。

医療区分の評価によって該当する項目があれば、その医療区分が入院患者の医療区分として決定します。入院患者に状態によっては医療区分2、医療区分3の複数の項目に当てはまることもあります。

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「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を解説 医療区分・ADL区分の評価の手引きを解説。評価方法や判断基準を整理し、全体像をわかりやすくまとめています。

医療区分の評価についての注意点

医療区分の評価については、以下のことに注意しておきましょう。

医療区分の評価は「毎日行い」「該当する全ての項目に記載」する

医療区分の評価は「毎日行い」「該当する全ての項目に記載」します。

このことについては、医科点数表の解釈において以下の通り記載があります。

 当該療養病棟に入院する患者については、別添6の別紙8の「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いて毎日評価を行い、別添6の別紙8の2の「医療区分・ADL区分等に係る評価票(療養病棟入院基本料)」の所定の欄に記載すること。その際、該当する全ての項目に記載すること。

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p1439

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 当該療養病棟に入院する患者については、別添6の別紙8の「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いて毎日評価を行い、別添6の別紙8の2の「医療区分・ADL区分等に係る評価票(療養病棟入院基本料)」の所定の欄に記載すること。その際、該当する全ての項目に記載すること。

「毎日評価を行い」「該当する全ての項目に記載すること」と記載があるので、医療区分は毎日評価を行い、該当する項目には全て記載することが必要になります。

パーキンソン病や難病など、長期に渡り医療区分の項目に当てはまる患者だからといって、他の項目の評価をしなくてよいわけではありません。

医療区分2と医療区分3が重複したときには「点数の高い区分で算定」する

医療区分の評価において医療区分2と医療区分3が重複したときには、点数の高い区分である医療区分3で扱い入院料の算定を行います。

このことについては、医科点数表の解釈において以下の通り記載があります。

(1) ・・・・・「注1:療養病棟入院基本料1、療養病棟入院基本料2」の入院料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た療養病棟に入院している患者について、別に厚生労働大臣が定める区分(1日に2つ以上の区分に該当する場合には、該当するもののうち最も高い点数の区分)に従い、当該患者ごとに入院料1等の各区分の所定点数を算定し、・・・・・

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p92

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(1) ・・・・・「注1:療養病棟入院基本料1、療養病棟入院基本料2」の入院料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た療養病棟に入院している患者について、別に厚生労働大臣が定める区分(1日に2つ以上の区分に該当する場合には、該当するもののうち最も高い点数の区分)に従い、当該患者ごとに入院料1等の各区分の所定点数を算定し、・・・・・

「区分(1日に2つ以上の区分に該当する場合には、該当するもののうち最も高い点数の区分)に従い、当該患者ごとに入院料1等の各区分の所定点数を算定」と記載があるので、医療区分2と医療区分3が重複したときには「医療区分3」で扱うことになります。

仮に、処置等に係る医療区分の「医療区分3:① 24時間持続しての点滴」と「医療区分2:⑥ 脱水」の両方に該当する患者がいた際には、医療必要度の高い医療区分3として扱います。

患者の医療区分
(処置等に係る医療区分)
算定で扱う医療区分
「医療区分2・3」のどちらにも当てはまらない「医療区分1」で算定
「医療区分2」にだけ当てはまる「医療区分2」で算定
「医療区分3」にだけ当てはまる「医療区分3」で算定
「医療区分2・3」のどちらにも当てはまる「医療区分3」で算定

ADL区分の評価

医科点数表の解釈の「別添8 医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」では、ADL区分の評価について以下のように記載されています。

ADL区分は4項目を評価する

ADL区分は「a.ベッド上の可動性、b.移乗、c.食事、d.トイレの使用」の4項目について、介護必要度を評価するように定義されています。

項目評価の内容
a. ベッド上の可動性横になった状態からの動き
・寝返り
・起き上がり
・身体の位置の調整など
b. 移乗ベッドからイスや車イスへの移乗
・座る
・立ち上がる
※浴槽や便座への移乗は除く
c. 食事食べたり、飲んだりの状態
※上手、下手に関係なく
※経管や経静脈栄養も含む
d. トイレの使用トイレの使用の状態
・排泄後の始末
・おむつの替え
・人工肛門またはカテーテルの管理
・衣服を整える
※ポータブルトイレ、便器、尿器を含む
※移乗は除く

ADL区分はどのような流れで評価するのか

ADL区分の評価は、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」に基づき、患者の日常生活動作(ADL)の状態を評価して行います。

評価項目は「寝返り」「起き上がり」「座位保持」「移乗」の4項目で構成されており、それぞれの状態を評価して点数化します。

各項目の評価点数を合計し、その合計点に応じてADL区分が決定されます。

医科点数表の解釈に示されている評価方法

ADL区分の評価は、医科点数表の解釈「別添8 医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」において以下のように記載されています。

 当日を含む過去3日間の全勤務帯における患者に対する支援のレベルについて、4項目(a.ベッド上の可動性、b.移乗、c.食事、d.トイレの使用)に0~6の範囲で最も近いものを記入し合計する。

 新入院(転棟)の場合は、入院(転棟)後の状態について評価する。

医科点数表の解釈(令和8年6月版)p1574

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 当日を含む過去3日間の全勤務帯における患者に対する支援のレベルについて、4項目(a.ベッド上の可動性、b.移乗、c.食事、d.トイレの使用)に0~6の範囲で最も近いものを記入し合計する。
 新入院(転棟)の場合は、入院(転棟)後の状態について評価する。

ADL区分の評価では、「当日を含む過去3日間の~」と記載があるので、入院(転棟)直後でない場合には、瞬間的な評価を行うのではなく3日間における平均的な評価が必要になります。

4項目を評価し合計点からADL区分を決定する

ADL区分の評価は、「ベッド上の可動性、移乗、食事、トイレの使用」の4項目について、それぞれ評価を行い0~6の範囲で点数をつけ、4項目の合計点を計算します。

STEP
4項目をそれぞれ評価(0~6点)

「ベッド上の可動性、移乗、食事、トイレの使用」の4項目について、それぞれ評価を行い0~6の範囲で点数をつけます。

点数状態支援のレベル
自立・手助け、準備、観察は不要
・手助け、準備、観察が1~2回のみ
準備のみ・物や用具を患者の手の届く範囲に置くことが3回以上
観察・見守り、励まし、誘導が3回以上
部分的な援助・動作の大部分(50%以上)は自分でできる
・四肢の動きを助けるなどの体重(身体)を支えない援助を3回以上
広範な援助・動作の大部分(50%以上)は自分でできる
・四肢の動きを助けるなどの体重(身体)を支える援助を3回以上
最大の援助・動作の一部(50%未満)しか自分でできない
・四肢の動きを助けるなどの体重(身体)を支える援助を3回以上
全面依存・まる3日間、すべての面で他者が全面援助した
・及び、本動作は一度もなかった場合
STEP
4項目の合計点を計算

4項目がそれぞれ0~6点で評価されるので、4項目の合計点(0~24点)を出します。

項目支援のレベル
ベッド上の可動性0 ~ 6点
移乗0 ~ 6点
食事0 ~ 6点
トイレの使用0 ~ 6点
4項目の合計点数0 ~ 24点

支援のレベルの点数は、介護必要度が高いほど高い点数になります。

STEP
4項目の合計点数をもとにADL区分が決定

4項目がそれぞれ0~6点で評価されるので、4項目を合計点(0~24点)を出します。

ADL区分1ADL区分2ADL区分3
介護の必要度(点)0 ~ 1011 ~ 2223 ~ 24
状 態自 立寝たきり
介護必要度低い       ⇔       高い

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まとめ

療養病棟入院基本料における医療区分・ADL区分の評価は、医科点数表の解釈に示されている「別添8 医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」に基づいて実施します。

医療区分では「処置等」や「疾患・状態」、ADL区分では日常生活動作(ADL)に関する項目を評価し、その結果をもとに入院基本料の算定区分が決定されます。

正確な評価を行うためには、各評価項目の定義や評価方法、留意点を理解することが重要です。評価の手引きを確認し、適切な評価・記録が行えるようにしておきましょう。

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