血清カリウム(K)は、体内の電解質バランスを評価する血液検査項目であり、細胞の機能や神経・筋肉の興奮性に関わる重要なミネラルです。
通常、生体内のカリウムはほとんどが細胞内に存在し、血液中(血清)にはごく少量ですが、その濃度は神経伝達や筋肉の収縮、心筋の機能維持に不可欠です。
血清カリウム値の基準値は、一般的に3.6~4.9mEq/L程度ですが、基準値を超えると高カリウム血症、基準値を下回ると低カリウム血症と診断され、それぞれ心臓や神経系に影響を及ぼす可能性があります。
血清カリウム(K)の基準値
3.6~4.9(mEq/L)
目次
血清カリウム(K)の概要
カリウム(K)は、細胞内液の陽イオンの主成分として存在します。
働きとしては血清ナトリウムと同様に、酸塩基平衡、浸透圧の維持をつかさどることです。
カリウムは、筋収縮・神経伝達において重要な役割を果たし、特に心筋の活動に大切な働きをしています。
血清カリウム(K)の役割
① 細胞機能の維持
細胞内外の浸透圧を調整し、細胞が正常に機能するのを助けます。
② 神経伝達と筋肉の収縮
神経信号の伝達や筋肉(特に心筋)の収縮・弛緩を調節する上で、重要な役割を果たします。
③ 体液・酸塩基平衡の調節
体内の水分量や体液のpHバランスを維持するのに貢献します。
検査結果に影響を与える要因
① 溶血
採取した血液中で赤血球が壊れると、細胞内のカリウムが血液中に流出し、見かけ上のカリウム値が上昇します。
② 採血方法
長時間駆血帯で圧迫したり、手を開いて握り直す動作(クレンチング)を行うと、筋肉や細胞からカリウムが流出することがあります。
③ 検体の取り扱い
採血後の全血を冷所(冷蔵保存)で長時間放置すると、細胞からカリウムが漏れ出て高値になることがあります。
血清カリウム(K)の異常とその原因
| 高値の場合 | 低値の場合 |
|---|---|
| カリウムの排出障害 ・腎不全 ・アジソン病 細胞内カリウムの移行 ・火傷 ・代謝性アシドーシス ・溶血性疾患 | カリウムの摂取不足 ・低栄養 カリウムの喪失 ・嘔吐、下痢 ・原発性アルドステロン症 ・クッシング症候群 カリウム細胞質内移動 ・筋無力症 ・周期性四肢麻痺 |
高カリウム血症
- カリウムの排出障害
→脱水腎により、カリウムの排出が低下 - 細胞質内カリウムの移行
→脱水細胞質のカリウムが外部へ露出し、血中カリウム濃度が高値になる
低カリウム血症
- カリウムの摂取不足
→脱水体内のカリウム量が不足 - カリウムの喪失
→脱水消化管からのカリウムの喪失、腎からのカリウム排出が亢進 - カリウム細胞内移動
→脱水アルカローシスなどの場合、細胞内のH+と細胞外のK+の交換が起こる






