乳酸(lactic acid)|基準値

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乳酸とは、糖類(主にグルコース)が分解されてできる物質で、運動時の筋肉がエネルギーを作り出す過程や、乳酸菌が糖を分解する際に生成されます。

かつては疲労物質とされていましたが、最近の研究では、乳酸は体内で使われるエネルギー源であり、脳の働きを助けたり、持久力向上に貢献したりする有益な機能を持つ物質だと考えられています。

乳酸(lactic acid)の基準値

成人: 4~16(mg/dL)
小児: 5~18(mg/dL)


参考図書


目次

乳酸(lactic acid)の概要

乳酸とは、グリコーゲンを嫌気的に解糖した終末代謝産物であり、おもに骨格筋、赤血球、脳、皮膚などで産生されます。

乳酸の異常高値により血液のpHが酸性にあるとき、乳酸アシドーシスといいます。

乳酸値は、重症度および予後判定に重要であるとともに、ピルビン酸と同様に糖尿病などの糖代謝障害の疾患に対して有益な情報を与えてくれます。


組織血流障害と酸素不足

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ピルビン酸・乳酸の産生増加
乳酸・ピルビン酸の処理能力低下(肝臓)


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乳酸アシドーシス

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循環不全

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組織血流障害と酸素不足

循環不全

循環不全では、筋肉への循環血流低下によって乳酸が増加します。

肝臓疾患

肝臓疾患では、糖新生の材料であるグリコーゲンが貯蔵できないために乳酸が増加します。

糖尿病

糖尿病では、尿排泄量の低下やグリコーゲン合成に必要なインスリンの不足が原因となり乳酸が増加します。

糖尿病などの糖代謝障害における診断には、運動負荷試験やグルコース負荷試験などの検査を併せて行うことも重要です。

乳酸の生成と役割

① 運動時の生成

激しい運動時など、筋肉に酸素が足りない(無酸素状態)ときに、糖を分解してエネルギー(ATP)を作る過程で乳酸が生成されます。

この乳酸は、疲労物質として筋肉に蓄積されるのではなく、エネルギー源として脳や心臓、遅筋線維などで再利用されます。

② 乳酸菌の活動による生成

乳酸菌が腸内で糖を分解する際に乳酸を作り出します。

この乳酸発酵は、ヨーグルトや漬物などの発酵食品の製造に活用されるほか、腸内で悪い菌の増殖を抑えるなど、消化吸収を助ける働きもします。

乳酸の具体的な機能

① 脳のエネルギー源

脳のエネルギー源であるブドウ糖が減少した際に、乳酸が脳神経細胞のエネルギー源として利用されます。

② 血管新生や傷の修復促進

筋肉の血管新生や傷の修復を促進する働きも確認されています。

③ ミトコンドリア新生

ミトコンドリアを新たに作り出す働きも持ち合わせています。

乳酸(lactic acid)の異常とその原因

高値の場合低値の場合
・循環障害
  :ショック
  :心筋梗塞
  :左心不全
  :貧血
  :重症肺疾患

・肝臓疾患
  :重症肝障害(特に急性肝萎縮)

・糖尿病

・先天性酵素異常
  :フルクトース・ジホスファターゼ欠損症
  :ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症

・ビタミンB1欠乏症

・薬物中毒
  :シアン、エタノール
・糖原病Ⅴ型、Ⅶ型

・先天性酵素異常
  :乳酸脱水素酵素欠損症

参考図書

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