カルシトニンは、甲状腺のC細胞から分泌されるホルモンです。
主に血中カルシウム濃度の上昇時に分泌され、破骨細胞の働きを抑制して骨からカルシウムが溶け出すのを防ぎ、血中カルシウム濃度を下げる役割を持ちます。
また、腎臓からのカルシウム排泄を促し、骨粗鬆症治療薬としても使用されますが、診断や治療における生理的な重要性は限定的とされています。
甲状腺髄様癌の腫瘍マーカーとしても利用されます。
カルシトニンの基準値
100(pg/mL)以下
※年齢、性別により多少異なる。
目次
カルシトニンの概要
甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)から分泌されるホルモンです。
副甲状腺ホルモンやビタミンDと共にカルシウム代謝に関与しています。
甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)は、甲状腺濾胞(ろほう)の間の傍(かたわら)に存在する細胞で、カルシトニンというホルモンを分泌し、体内のカルシウム濃度を調節する働きをします。
濾胞細胞が甲状腺ホルモンを生成するのに対し、傍濾胞細胞(C細胞)はカルシトニンを分泌する点が特徴です。
カルシトニンの主な役割と作用
① カルシウム代謝の調節
- 血中カルシウム濃度が高くなると分泌が促進され、骨吸収を抑制して血中カルシウム濃度を低下させる。
- 骨にカルシウムとリン酸が定着するのを促し、骨を丈夫に保つ。
- 腎臓からのカルシウムとリン酸の排泄を促す。
② 副甲状腺ホルモンとの関係
血中カルシウム濃度を下げる「副甲状腺ホルモン(PTH)」とは逆の作用を持ちます。
③ 骨粗鬆症治療薬
骨粗鬆症の治療薬(サケカルシトニン製剤)としても使われます。
④ 腫瘍マーカー
- C細胞由来の「甲状腺髄様癌」では高値となり、病気の診断や治療効果の判定に用いられます。
- 肺小細胞癌、乳癌、カルチノイド症候群、膵癌など、他の悪性腫瘍でも高値を示すことがあります。
カルシトニンが高値の場合
カルシトニンが高値の場合には、以下のことが考えられます。
- 甲状腺髄様癌
- 異所性カルシトニン産生腫瘍
- 慢性腎不全
- 原発性副甲状腺機能亢進症






