アミラーゼアイソザイムは、膵臓(P型)と唾液腺(S型)から分泌されるアミラーゼ酵素の異なる分子形態で、それぞれのアイソザイム(P型とS型)の量を調べる検査です。
この検査は、血中アミラーゼの値が高い場合に、その原因が膵臓疾患によるものか、唾液腺疾患によるものかを特定するために重要です。
アミラーゼの基準値
37~125(IU/L)
目次
アミラーゼアイソザイムの概要
略称
アミラーゼ
Amy:amylase
アミラーゼアイソザイムの機序
アミラーゼは、膵から分泌される消化酵素で、多糖類(デンプン、グリコーゲンなど)をマルトースまで加水分解する酵素です。
体内分布は、膵、唾液腺に多く、肝、肺、小腸、卵巣にも認められます。
アミラーゼは逸脱酵素であり、組織の障害に伴って血液中に流出します。
その性質や構造には異なる2つのアイソザイムがあり、P型では膵臓、S型では唾液腺などの細胞が変性、壊死することによって上昇します。
- P型アミラーゼ: 膵臓(Pancreas)から分泌されるアミラーゼ
- S型アミラーゼ: 唾液腺(Saliva)から分泌されるアミラーゼ
| 血清 | 尿 | |
|---|---|---|
| 膵型(P型) | 30~60% | 60~90% |
| 唾液腺型(S型) | 70~40% | 40~10% |
| P/S比 | 0.4~1.5 | 1.0~8.0 |
膵の逸脱酵素であるリパーゼ、トリプシンは、急性膵炎などでアミラーゼと同様の変化を示します。
アミラーゼアイソザイムの異常とその原因
| 高値 | 低値 |
|---|---|
| P型が高値 ・急性膵炎 ・膵臓癌 ・胆道癌 ・糖尿病 等 S型が高値 ・流行性耳下腺炎(ムンプス) ・アミラーゼ産生腫瘍(肺癌、卵巣癌など) ・肺炎 ・肺結核 P型、S型の両方が高値 ・慢性腎不全 ・肝硬変 ・慢性肝炎の一部 | P型が低値 ・慢性膵炎(末期) ・膵臓癌 ・膵切除後 S型が低値 ・シェーグレン症候群 ・頸部や下顎部への放射線治療後など |






