AST(GOT)とALT(GPT)は、肝臓にダメージがあると血液中に放出される酵素であり、肝機能の健康状態を示す指標です。
これらの数値が基準値より高い場合、急性・慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝臓がんなどの肝臓病が疑われます。
ASTは肝臓以外にも心臓や筋肉に存在するため、ASTのみが高い場合は肝臓以外の病気の可能性も考慮されます。
AST(GOT) : 13~33(IU/L)
ALT(GPT) : 男性 6~30(IU/L) 女性 6~27(IU/L)
AST(GOT)、ALT(GPT)の概要
AST(GOT)とALT(GPT)は、アミノ酸とα-ケト酸とのアミノ基の転移反応を触媒する一連の酵素です。
ASTの体内分布は、心筋、肝臓、脳で高濃度で、次に、骨格筋、腎臓に多く含まれます。
ALTの体内分布は、2/3は肝臓で残りの1/3は腎臓に含まれます。
ASTとALTは組織障害の際に血中に逸脱する酵素(逸脱酵素)のため、臨床上問題になるのは高値になった場合です。
ASTは、肝細胞、心筋、骨格筋などにも存在するので、肝疾患、心筋疾患、骨格筋疾患でも上昇します。ALTは、肝臓と腎臓に存在するため心筋梗塞などの筋肉疾患ではあまり上昇することはありません。
略称
AST(GOT)
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
ALT(GPT)
アラニンアミノトランスフェラーゼ
AST(GOT)とALT(GPT)とは?
どちらも肝細胞に多く含まれる酵素で、アミノ酸の代謝を助ける働きがあります。
肝臓にダメージが加わると、肝細胞が壊れてこれらの酵素が血液中に漏れ出すため、血液中の濃度が上昇します。
AST・ALTの数値が高い場合、肝臓に負担がかかっている状態と考えられます。
ASTとALTの比率が重要な理由
ASTとALTの比率を比較することで、病気の種類や程度を特定する手がかりとなります。
AST>ALTの場合
アルコール性肝炎や肝硬変、肝臓がんなどで、ASTの方がALTよりも高くなる傾向があります。
- 慢性肝炎、肝硬変、肝臓癌
AST<ALTの場合
慢性肝炎や非アルコール性脂肪肝などで、ALTの方がASTよりも高くなる傾向があります。
- 急性肝炎、中毒性肝炎
AST(GOT)、ALT(GPT)の異常とその原因
| AST(GOT) | ALT(GPT) | |
|---|---|---|
| 高度 | 劇症肝炎 中毒性(薬剤性)肝炎 心筋梗塞 | 劇症肝炎 中毒性(薬剤性)肝炎 |
| 中等度 | 急性肝炎 慢性肝炎 肝臓癌 アルコール性肝炎 心筋梗塞 筋ジストロフィー症 | 急性肝炎 慢性肝炎 |
| 軽度 | 慢性肝炎 肝硬変 肝臓癌 閉塞性黄疸 アルコール性肝障害 心筋梗塞 皮膚筋炎 など | 脂肪肝 慢性肝炎 肝硬変 アルコール性肝障害 |






