LDH（乳酸脱水素酵素）アイソザイム｜基準値

LDH（乳酸脱水素酵素）アイソザイムは、LDHという酵素の5種類の異性体であり、それぞれ異なる臓器（心筋、肝臓、骨格筋など）に特異的に多く存在します。

血液中の総LDH値が高値を示した場合、アイソザイムを分析することで、どの臓器に異常があるのかを特定できるため診断の補助に用いられます。

LDHの概要

略称

LDH（乳酸脱水素酵素、LD）
lactic acid dehydrogenase

LDHの構成

LDHアイソザイムは、H型（心筋型）とM型（骨格筋型）という2種類のサブユニットの組み合わせで構成される4量体です。

アイソザイム	サブユニット	正常値（％）	臓器
LDH1	H4 (すべてH型)	25 ～ 35	心臓、腎、赤血球
LDH2	H3M1 (H型3つ、M型1つ)	35 ～ 40	心臓、腎、赤血球
LDH3	H2M2 (H型2つ、M型2つ)	24 ～ 28	肺、肝、骨格筋
LDH4	H1M3 (H型1つ、M型3つ)	2 ～ 7	肝、副腎、甲状腺
LDH5	M4 (すべてM型)	2 ～ 5	肝、副腎、甲状腺

LDHアイソザイムは臓器特異性があり、各臓器の障害に伴い、相応するアイソザイムの上昇をみます。AST、ALTと同様に逸脱酵素のため、臨床上問題になるのは高値の場合です。

心筋疾患においては、LDHと同時にAST、CKの上昇がみられます。また、肝疾患ではAST、ALTの上昇を伴います。

LDHの異常とその原因

LDH	原因
LDH1・LDH2の増加	・心筋梗塞 ・腎梗塞 ・悪性貧血 ・溶血性貧血　　など
LDH2　または　LDH2・LDH3の増加	・肺梗塞 ・白血病 ・悪性リンパ腫　　など
LDH2・LDH4・LDH5の増加	・転移性肝臓癌など
LDH5の増加	・急性肝炎 ・脂肪肝 ・原発性肝臓癌　　など