平成18年7月から療養病棟入院基本料に「医療区分・ADL区分による評価」が導入され、導入後は入院患者の評価が毎日実施されています。
そして、この評価の結果である「医療区分・ADL区分の組み合わせ」によって、その日の入院料が決定する仕組みになっています。
令和6年度の診療報酬改定によって、療養病棟入院基本料の入院料は9段階から30分類に細分化されました。
今回は、「医療区分・ADL区分の組み合わせ」によって療養病棟入院基本料の入院料が決定する仕組みについてまとめていきます。
※療養病棟入院基本料への「医療区分・ADL区分」の導入経緯とその変化については、以下の記事をご参照ください。
医療区分とADL区分の評価について
医療区分・ADL区分の評価は「入院患者の医療必要度・介護必要度を評価したもの」です。
そして、医療区分とADL区分はそれぞれ以下のような考え方で用いられています。
医療区分の評価
医療区分は「入院患者の医療必要度」を定められた項目について評価します。
その評価によって、入院患者の医療必要度は「医療区分1、医療区分2、医療区分3」のいずれかに決定されます。
| 医療の必要度 | 低い | ⇔ | 高い |
| 医療区分 | 医療区分1 | 医療区分2 | 医療区分3 |
ADL区分の評価
ADL区分は「入院患者の介護必要度」を定められた項目について評価します。
その評価によって、入院患者の介護必要度は「ADL区分1、ADL区分2、ADL区分3」のいずれかに決定されます。
| 介護の必要度 | 低い | ⇔ | 高い |
| ADL区分 | ADL区分1 | ADL区分2 | ADL区分3 |
「医療区分・ADL区分の組み合わせ」による入院料の考え方(9段階の入院料)
療養病棟に入院する患者の医療区分・ADL区分は、毎日評価を行い決定するようになっています。
そして、その日の「医療区分とADL区分の組み合わせ」に基づいて入院料が決定する仕組みになっています。
この仕組みについては、令和6年5月まで使用されていた9段階の入院料で考えると理解しやすいです。
「医療区分・ADL区分の組み合わせ」の考え方(令和6年5月まで)
令和6年5月までは、「疾患・状態|処置等に係る医療区分1・2・3」と「ADL区分1・2・3」を組み合わせた9段階の入院料になっていました。
「疾患・状態|処置等の医療区分1・2・3」×「ADL区分1・2・3」= 9段階の入院料
⇩⇩⇩⇩⇩⇩
3 × 3 = 9
この9段階の組み合わせを表にすると下のようになります。
| 医療区分1 ⇩ | 医療区分2 ⇩ | 医療区分3 ⇩ | |
| ADL区分3 ⇨ | 医療区分1 ADL区分3 | 医療区分2 ADL区分3 | 医療区分3 ADL区分3 |
| ADL区分2 ⇨ | 医療区分1 ADL区分2 | 医療区分2 ADL区分2 | 医療区分3 ADL区分2 |
| ADL区分1 ⇨ | 医療区分1 ADL区分1 | 医療区分2 ADL区分1 | 医療区分3 ADL区分1 |
「医療区分1・医療区分2・医療区分3」と「ADL区分1・ADL区分2・ADL区分3」の組み合わせは全部で9つになるので、9段階の入院料になります。
「医療区分・ADL区分の組み合わせ」と9段階の入院料(令和6年5月まで)
先ほどの「医療区分・ADL区分の組み合わせ」に9段階の入院料を当てはめると、下の表のようになります。
| 医療区分1 ⇩ | 医療区分2 ⇩ | 医療区分3 ⇩ | |
| ADL区分3 ⇨ | 入院基本料G 医療区分1 ADL区分3 | 入院基本料D 医療区分2 ADL区分3 | 入院基本料A 医療区分3 ADL区分3 |
| ADL区分2 ⇨ | 入院基本料H 医療区分1 ADL区分2 | 入院基本料E 医療区分2 ADL区分2 | 入院基本料B 医療区分3 ADL区分2 |
| ADL区分1 ⇨ | 入院基本料I 医療区分1 ADL区分1 | 入院基本料F 医療区分2 ADL区分1 | 入院基本料C 医療区分3 ADL区分1 |
| 診療報酬 | 療養病棟入院基本料 | 疾患・状態|処置等に係る医療区分 × ADL区分 |
|---|---|---|
| 高 ⇧ ⇩ 低 | 入院基本料A | 医療区分3 × ADL区分3 |
| 入院基本料B | 医療区分3 × ADL区分2 | |
| 入院基本料C | 医療区分3 × ADL区分1 | |
| 入院基本料D | 医療区分2 × ADL区分3 | |
| 入院基本料E | 医療区分2 × ADL区分2 | |
| 入院基本料F | 医療区分2 × ADL区分1 | |
| 入院基本料G | 医療区分1 × ADL区分3 | |
| 入院基本料H | 医療区分1 × ADL区分2 | |
| 入院基本料I | 医療区分1 × ADL区分1 |
医療区分1・ADL区分1になるほど診療報酬は低くなり、医療区分3・ADL区分3になるほど診療報酬は高くなります。
令和6年6月以降の「医療区分とADL区分の組み合わせ」(30分類の入院料)
令和6年6月の診療報酬改定によって、入院基本料が分類が9段階(療養病棟入院基本料A~療養病棟入院基本料I)から30分類(入院料1~入院料30)へと大幅に増えました。
これは、令和6年5月までの医療区分の評価項目「疾患・状態|処置等に係るもの」が、令和6年6月から「疾患・状態に係るもの」と「処置等に係るもの」の2つに分けられたことが理由です。
| 9段階の入院料 (令和6年5月まで) | ⇨ 令和6年度 診療報酬改定 ⇨ | 30分類の入院料 (令和6年6月以降) |
| 療養病棟入院基本料A 療養病棟入院基本料B 療養病棟入院基本料C 療養病棟入院基本料D 療養病棟入院基本料E 療養病棟入院基本料F 療養病棟入院基本料G 療養病棟入院基本料H 療養病棟入院基本料I | 入院料 1 入院料 2 入院料 3 ・ ・ ・ 入院料 28 入院料 29 入院料 30 |
入院料の分類は大幅に増加していますが、入院料が細分化されただけで基本的な考え方はまったく変わっていません。
「医療区分・ADL区分の組み合わせ」の考え方と30分類の入院料(令和6年6月以降)
令和6年6月以降は、「疾患・状態に係る医療区分1・2・3」「処置等に係る医療区分1・2・3」「ADL区分1・2・3」を組み合わせた27分類に、スモンに関する3分類を加えた計30分類の入院料になっています。
( 「疾患・状態の医療区分1・2・3」×「処置等の医療区分1・2・3」×「ADL区分1・2・3」 )+ スモン3分類
⇩⇩⇩⇩⇩⇩
( 3 × 3 × 3 ) + 3 = 27 + 3 = 30
30分類の入院料と医療区分・ADL区分の組み合わせを表にまとめると下のようになります。
| 入院料 | 医療区分 | ADL区分 | |
|---|---|---|---|
| 疾患・状態 | 処置等 | ||
| 入院料 1 | 医療区分3 (スモン除く) | 医療区分3 | ADL区分3 |
| 入院料 2 | 医療区分3 (スモン除く) | 医療区分3 | ADL区分2 |
| 入院料 3 | 医療区分3 (スモン除く) | 医療区分3 | ADL区分1 |
| 入院料 4 | 医療区分3 (スモン除く) | 医療区分2 | ADL区分3 |
| 入院料 5 | 医療区分3 (スモン除く) | 医療区分2 | ADL区分2 |
| 入院料 6 | 医療区分3 (スモン除く) | 医療区分2 | ADL区分1 |
| 入院料 7 | 医療区分3 (スモン除く) | 医療区分1 | ADL区分3 |
| 入院料 8 | 医療区分3 (スモン除く) | 医療区分1 | ADL区分2 |
| 入院料 9 | 医療区分3 (スモン除く) | 医療区分1 | ADL区分1 |
| 入院料 10 | 医療区分2 | 医療区分3 | ADL区分3 |
| 入院料 11 | 医療区分2 | 医療区分3 | ADL区分2 |
| 入院料 12 | 医療区分2 | 医療区分3 | ADL区分1 |
| 入院料 13 | 医療区分2 | 医療区分2 | ADL区分3 |
| 入院料 14 | 医療区分2 | 医療区分2 | ADL区分2 |
| 入院料 15 | 医療区分2 | 医療区分2 | ADL区分1 |
| 入院料 16 | 医療区分2 | 医療区分1 | ADL区分3 |
| 入院料 17 | 医療区分2 | 医療区分1 | ADL区分2 |
| 入院料 18 | 医療区分2 | 医療区分1 | ADL区分1 |
| 入院料 19 | 医療区分1 | 医療区分3 | ADL区分3 |
| 入院料 20 | 医療区分1 | 医療区分3 | ADL区分2 |
| 入院料 21 | 医療区分1 | 医療区分3 | ADL区分1 |
| 入院料 22 | 医療区分1 | 医療区分2 | ADL区分3 |
| 入院料 23 | 医療区分1 | 医療区分2 | ADL区分2 |
| 入院料 24 | 医療区分1 | 医療区分2 | ADL区分1 |
| 入院料 25 | 医療区分1 | 医療区分1 | ADL区分3 |
| 入院料 26 | 医療区分1 | 医療区分1 | ADL区分2 |
| 入院料 27 | 医療区分1 | 医療区分1 | ADL区分1 |
| 入院料 28 | 医療区分3 (スモンに限る) | ー | ADL区分3 |
| 入院料 29 | 医療区分3 (スモンに限る) | ー | ADL区分2 |
| 入院料 30 | 医療区分3 (スモンに限る) | ー | ADL区分1 |
| 処置等 医療区分3 ⇩ | 処置等 医療区分2 ⇩ | 処置等 医療区分1 ⇩ | |||||||
| 疾患・状態 医療区分3 ⇨ | ADL区分3 入院料1 | ADL区分2 入院料2 | ADL区分1 入院料3 | ADL区分3 入院料4 | ADL区分2 入院料5 | ADL区分1 入院料6 | ADL区分3 入院料7 | ADL区分2 入院料8 | ADL区分1 入院料9 |
| 疾患・状態 医療区分2 ⇨ | ADL区分3 入院料10 | ADL区分2 入院料11 | ADL区分1 入院料12 | ADL区分3 入院料13 | ADL区分2 入院料14 | ADL区分1 入院料15 | ADL区分3 入院料16 | ADL区分2 入院料17 | ADL区分1 入院料18 |
| 疾患・状態 医療区分1 ⇨ | ADL区分3 入院料19 | ADL区分2 入院料20 | ADL区分1 入院料21 | ADL区分3 入院料22 | ADL区分2 入院料23 | ADL区分1 入院料24 | ADL区分3 入院料25 | ADL区分2 入院料26 | ADL区分1 入院料27 |
| 疾患・状態(スモン) 医療区分3 ⇨ | ADL区分3 入院料28 | ADL区分2 入院料29 | ADL区分1 入院料30 |
医療区分とADL区分の組み合わせで入院料が決まる仕組みを理解できれば、30分類の入院料もどのような組み合わせになっているかが理解できると思います。
まとめ
令和6年度の診療報酬改定によって、医療区分・ADL区分による評価による療養病棟入院基本料の分類は9段階から30分類に細分化されました。
この入院料の増加は、医療区分の評価項目「疾患・状態|処置等に係るもの」が、「疾患・状態に係るもの」と「処置等に係るもの」の2つに分けられたことが理由です。
入院料が増えたから難しくなったと考えずに、基本的な仕組みと合わせて理解しましょう。
