「医療区分⑰:気管切開又は気管内挿管(発熱を伴う)」をわかりやすく解説|【処置等に係る医療区分:医療区分3】

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療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入するようになっています。

そして、その評価には「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いるようになっています。

この記事では、「評価の手引き」に記載されている医療区分の項目について分かりやすく解説します。

※「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」の概要については以下の記事をご参照ください。

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参考図書


目次

医療区分の概要(医科点数表の解釈)

医療区分「気管切開・気管内挿管」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


17. 気管切開又は気管内挿管(発熱を伴う状態に限る。)

項目の定義
気管切開又は気管内挿管発熱を伴う状態に限る。)
評価の単位
1日毎
留意点
投薬、処置等、発熱に対する治療が行われている場合に限る。

語句の説明

「気管切開」とは?

気管切開とは、肺に空気を送ったり、痰を吸引しやすくしたりするために、気管に人工的な孔(気管孔)を開ける手術です。

呼吸が困難な場合や、分泌物をうまく排出できない場合に、気管切開チューブを挿入して呼吸を確保します。

気管切開の目的
呼吸を助ける上気道が狭くなったり閉塞したりしている場合に、気管に直接呼吸の通り道を作ります。
痰を吸引しやすくする呼吸器系の疾患などで痰や分泌物を排出しにくい場合に、気管孔から吸引しやすくします。
長期的な人工呼吸管理2週間以上人工呼吸器が必要な場合など、長期にわたる管理のために気管切開を選択することがあります。

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「気管内挿管」とは?

気管内挿管とは、口や鼻から気管にチューブ(気管チューブ)を挿入し、気道を確保する医療行為です。

主な目的は、呼吸を補助したり、人工呼吸器を接続したりすることで、重症呼吸不全、全身麻酔中、心肺停止など、気道確保が必要な患者さんの呼吸管理を行うことです。

経口、経鼻の2種類があり、緊急時には経口挿管が一般的です。

気管内挿管の目的
気道確保上気道が閉塞している場合や閉塞の可能性がある場合に、確実な呼吸路を確保します。
人工呼吸器管理人工呼吸器を接続し、呼吸の補助や管理を行います。
誤嚥防止気道への誤った物質の侵入を防ぎます。
気管支鏡検査や治療検査や処置を行う際の気道確保にも用いられます。

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「発熱」とは?

日本の感染症法において「発熱を37.5℃以上、高熱を38℃以上」と定義されています。

また、体温は早朝に低く夕方に高くなるため、1日の中で約1℃の日内変動があると言われ、学術的にハリソン内科学では「午前の体温で37.2℃以上、午後の体温で37.7℃以上を発熱と定義する」と記載されています。

加えて、平熱が低い人の場合には、感染症法やハリソン内科学で定義された体温より低くても、発熱と捉える必要があります。

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評価の要点

【処置等に係る医療区分⑰】気管切開・気管内挿管(発熱を伴う状態に限る。)

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分3期間に限りなし1日毎

気管切開または気管内挿管が行われることを確認します。

その上で、発熱を伴い、投薬・処置など発熱に対する治療が行われている場合に限ります。

発熱がない場合には、「【処置等に係る医療区分㊴】気管切開又は気管内挿管(発熱を伴う状態を除く。)」に該当することになります。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

該当要件のチェックポイント
気管切開、または気管内挿管が行われていて、発熱を伴う状態である。
発熱の確認・記録をしている。
発熱に対して投薬・処置等の治療が行われており、毎回診療録に記載しいる。               
医師は患者の状態を適切に把握し、記録している。
発熱のない場合には、医療区分㊴「気管切開又は気管内挿管(発熱を伴う状態を除く。)」に該当することになる。
算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                     

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  • 患者単位の医療区分2・3の割合(重症度割合)
  • 病棟単位の医療区分2・3の割合(重症度割合)
  • 病棟単位の医療区分の内訳(割合)
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