「医療区分⑮:人工呼吸器の使用」をわかりやすく解説|【処置等に係る医療区分:医療区分3】

  • URLをコピーしました!

療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入するようになっています。

そして、その評価には「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いるようになっています。

この記事では、「評価の手引き」に記載されている医療区分の項目について分かりやすく解説します。

※「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」の概要については以下の記事をご参照ください。

あわせて読みたい
「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を理解する 療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入します。その評価は「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いるようになっているため、評価を行うスタッフは、評価の手引きをしっかり理解しておく必要があります。

参考図書


目次

医療区分の概要(医科点数表の解釈)

医療区分「人工呼吸器の使用」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


15. 人工呼吸器の使用

項目の定義
人工呼吸器の使用
評価の単位
1日毎
留意点
診療報酬の算定方法の別表第一第2章第9部の「J045 人工呼吸」の「3 5時間を超えた場合(1日につき)」を算定している場合に限る。

語句の説明

「人工呼吸器」とは?

人工呼吸器とは、呼吸不全の患者の呼吸を人工的に助ける、または代行する医療機器です。

ガス交換を改善し、呼吸の負担を減らすことが主な目的です。

強制的に呼吸を管理するモードや自発呼吸を補助するモードがあり、病状や状況に応じて様々な種類の装置が使われます。

人工呼吸器の主な目的
呼吸の補助・代行自分の力で呼吸が困難な患者さんの代わりに呼吸を行います。
ガス交換の改善酸素を供給し、二酸化炭素を排出するガス交換を助けます。
呼吸仕事量の軽減呼吸に使う筋肉の負担を減らします。
肺を休ませる疾患の治療に専念するため、肺を休ませる時間を作ります。
主な種類
陽圧式人工呼吸器人工呼吸器から陽圧のガスを送り込み、肺を膨らませる方法です。現在主流のタイプで、マスクを使用する非侵襲的陽圧換気(NPPV)と、気管切開チューブや挿管チューブを使用する侵襲的陽圧換気(IPPV)があります。
陰圧式人工呼吸器過去にポリオなどの治療で使われた「鉄の肺」が有名で、胸郭の外から陰圧をかけて胸郭を広げ、呼吸を補助する方法です。
主な使用モード
強制換気モード患者の自発呼吸がない場合に、呼吸回数や空気の量を人工呼吸器側で規定して全てを管理するモードです。
補助換気モード患者の自発呼吸を維持しながら、人工呼吸器が呼吸を補助するモードです。

「医療区分の概要」に戻る≫≫

「別表第一第2章第9部の「J045 人工呼吸」の「3 5時間を超えた場合(1日につき)」」とは?

J045 人工呼吸

1 30分までの場合 302点

2 30分を超えて5時間までの場合

 302点に30分又はその端数を増すごとに50点を加算して得た点数

3 5時間を超えた場合(1日につき)

 イ 14日目まで 950点

 ロ 15日目以降 815点

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p786

「医療区分の概要」に戻る≫≫

評価の要点

【処置等に係る医療区分⑮】人工呼吸器の使用

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分3期間に限りなし1日毎

人工呼吸器の使用しており、使用時間が5時間を超えていることを確認します。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

「J045 人工呼吸」(医科点数表の解釈:令和6年6月版:抜粋)

医科点数表の解釈では、「J045 人工呼吸」は以下のように記載があります。

J045 人工呼吸

1 30分までの場合  302点

2 30分を超えて5時間までの場合

 302点に30分又はその端数を増すごとに50点を加算して得た点数

3 5時間を超えた場合(1日につき)

 イ 14日まで  950点

 ロ 15日目以降 815点

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p786

「3 5時間を超えた場合(1日につき)」のときに、本項目に該当します。

評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

該当要件のチェックポイント
1日につき5時間を超えて人工呼吸器が装着されている。
人工呼吸の算定をしている。
必要に応じて動脈血酸素飽和度・動脈血ガス等を実施し、人工呼吸器の条件を調整している。
医師が適切に状態の把握を行い、診療録に記載している。
鼻マスク式人工呼吸器を用いた場合は、重症急性呼吸不全の場合に限り人工呼吸に準じて算定する。
算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                      

note掲載:販売中

医療区分の評価や分析を簡単にするために、Excelシートを販売しています。

業務でご活用ください。

  • 患者単位の医療区分2・3の割合(重症度割合)
  • 病棟単位の医療区分2・3の割合(重症度割合)
  • 病棟単位の医療区分の内訳(割合)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次