「医療区分㊵:創傷、皮膚潰瘍、蜂巣炎、膿等の感染症に対する治療」をわかりやすく解説|【処置等に係る医療区分:医療区分2】

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療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入するようになっています。

そして、その評価には「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いるようになっています。

この記事では、「評価の手引き」に記載されている医療区分の項目について分かりやすく解説します。

※「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」の概要については以下の記事をご参照ください。

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目次

医療区分の概要(医科点数表の解釈)

医療区分「創傷、皮膚潰瘍又は下腿若しくは足部の蜂巣炎、膿等の感染症に対する治療」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


40. 創傷(手術創や感染創を含む。)、皮膚潰瘍又は下腿若しくは足部の蜂巣炎、膿等の感染症に対する治療

項目の定義
創傷手術創感染創を含む。)、皮膚潰瘍又は下腿若しくは足部の蜂巣炎膿等の感染症に対する治療(1日2回以上、ガーゼや創傷被覆材の交換が必要な場合に限る。)
評価の単位
1日毎
留意点

語句の説明

「創傷」とは?

創傷とは、外的要因や内的要因によって、皮膚や体表組織が損傷した状態を指します。

具体的には、切り傷、すり傷、やけど、打ち身など、日常生活で起こる様々な「きず」の医学的な総称です。

創傷は、開放性・非開放性のどちらの意味合いも含んでいて、「創」は開放性損傷で縫わないといけないような皮膚が開いた状態の傷で、「傷」は非開放性損傷で皮膚が開いていない状態の傷です。

「創」と「傷」の違い
開放性損傷:皮膚が開いた状態の傷(傷口を縫わないといけないようなもの)
非開放性損傷:皮膚が開いていない状態の傷(擦過傷:さっかしょう)
主な創傷の種類
擦過傷(さっかしょう)いわゆる「すりむいた傷」で、道路などにこすれて生じる。
やけど(熱傷)高温の物質や化学物質、低温の刺激によって皮膚が損傷した状態。
挫傷(ざしょう)皮膚の表面が破れていない、打撲などによる皮下組織の損傷。
切創(せっそう)包丁やカッターナイフなど、鋭利なもので切れた傷。
挫創(ざそう)強い力で皮膚が圧迫されて生じる傷。皮膚の損傷が広範囲に及ぶことがある。
刺創(しっそう)釘やナイフなどが刺さってできた傷。創口が小さくても奥行きが深い場合がある。
咬創(こうそう)動物や人に咬まれてできた傷。口の中の細菌による感染に注意が必要。

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「手術創」とは?

手術によってできた傷口のことです。

傷が治る過程には炎症、増殖、成熟の段階があり、適切なケアをすることで傷跡をきれいにすることができます。

一般的に、術後2週間程度で傷口は閉じますが、その後も傷跡の成熟には数ヶ月かかることがあります。

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「感染創」とは?

傷口に、細菌などの病原体が侵入して増殖し、赤み、腫れ、痛み、熱感といった炎症を起こしている状態です。

単に、病原菌が付着している状態(コロニゼーション)とは異なり、生体の免疫機能が破綻している組織内での微生物の増殖を指します。

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「皮膚潰瘍」とは?

皮膚や粘膜が様々な原因で傷害され、それが進行することによっておこる組織の欠損です。

本来、自然治癒能力により、キズは治っていくことが多いのですが、糖尿病、動脈硬化症、膠原病などの全身の病気が基盤として存在する場合には、治りにくい皮膚潰瘍になります。

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「下腿」とは?

下腿とは、膝から足首までの部分を指します。

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「蜂巣炎」とは?

「蜂巣炎(ほうそうえん)」は「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」とも呼ばれ、皮膚の細菌感染症を指します。

これは、皮膚の表面の傷から細菌が侵入し、皮下脂肪組織に炎症が広がる病気で、赤み、腫れ、痛み、熱感を伴い、発熱や悪寒などの全身症状を引き起こすこともあります。

蜂窩織炎(蜂巣炎)の主な特徴
原因主にブドウ球菌やレンサ球菌などの細菌が、小さな傷から皮膚の深部に侵入して増殖することが原因です。
症状・感染部分の皮膚が赤く腫れ上がり、熱感があります。
・患部を押すと痛みを感じます。
・蚊に刺されたような赤いぶつぶつが広がることもあります。
・発熱、悪寒、関節痛、倦怠感などの全身症状が起こる場合があります。
好発部位脚に多く見られますが、体のどの部分にも発症する可能性があります。
注意点・症状が急速に悪化したり、重症化したりすることもあり、命にかかわる危険性もあります。
・糖尿病や免疫力が低下している人は、特に注意が必要です。
・一度治っても、再発しやすい病気です。

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「膿等の感染症」とは?

「膿等の感染症」とは、主に細菌が体内に侵入・増殖することで引き起こされる疾患の総称です。

これらの感染症では、防御反応として集まった白血球の死骸や細菌、体液などが混じり合った膿(うみ)が形成されることが特徴です。

膿を伴う感染症の多くは、黄色ブドウ球菌や化膿レンサ球菌などの細菌によって引き起こされます。

傷口などから細菌が体内に入り込むと、体を守るために白血球がその部位に集まります。

白血球は細菌を排除しようと戦いますが、細菌が多いと白血球も死んでしまい、その死骸が細菌や組織の破壊された成分などと一緒に膿となります。

皮膚・軟部組織の感染症:
とびひ
(伝染性膿痂しん)
皮膚に水ぶくれや膿疱ができ、広がる感染症。
毛嚢炎
(もうのうえん)
毛根の周囲が細菌感染によって化膿したもの。
せつ・よう
(おでき)
毛嚢炎がさらに深部や広範囲に及んだもの。
ひょう疽
(ひょうそ)
指先に強い痛みと炎症を伴う細菌感染症(爪周囲炎)。
皮下膿瘍
(ひかのうよう)
皮膚の深い部分に膿がたまった状態。

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「創傷被覆材」とは?

創傷被覆材とは、傷口を保護し湿潤環境を保つことで、傷の治癒を促進する医療用の材料です。

これまでのガーゼなどとは異なり、滲出液を吸収して適切な湿り気を保ち、肉芽形成や表皮化を促します。

主な役割と目的
創傷の保護外部からの汚れや刺激から傷口を守ります。
湿潤環境の維持傷口から出る滲出液(浸出液)を吸収・保持し、乾燥を防ぎます。
治癒の促進湿潤環境によって細胞の移動が促進され、治癒を早めます。
痛みの軽減創部を覆うことで痛みや炎症を緩和する効果も期待できます。

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評価の要点

【処置等に係る医療区分㊵】創傷(手術創や感染創を含む。)、皮膚潰瘍又は下腿若しくは足部の蜂巣炎、膿等の感染症に対する治療

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分2期間に限りなし1日毎

下記の治療が行われていることを確認します。

  • 創傷(手術創や感染創を含む。)
  • 皮膚潰瘍
  • 下腿、若しくは足部の蜂巣炎
  • 膿等の感染症に対する治療

1日2回以上、ガーゼや創傷被覆材の交換が必要な場合に限ります。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

該当要件のチェックポイント
創傷(手術創や感染創を含む。)、皮膚潰瘍または下腿、もしくは足部の蜂巣炎、膿等の感染症に対する治療を実施している状態である。
診療計画を立てて治療を実施している。
治療の開始及び終了を医師が判定し、根拠となる検査データと理由を診療録に記載している。
1日2回以上処置を実施し、診療録に記載している。
算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                     
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