「医療区分⑲:感染症の治療の必要性から隔離室での管理」をわかりやすく解説|【処置等に係る医療区分:医療区分3】

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療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入するようになっています。

そして、その評価には「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いるようになっています。

この記事では、「評価の手引き」に記載されている医療区分の項目について分かりやすく解説します。

※「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」の概要については以下の記事をご参照ください。

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参考図書


目次

医療区分の概要(医科点数表の解釈)

医療区分「感染症の治療の必要性から隔離室での管理」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


19. 感染症の治療の必要性から隔離室での管理

項目の定義
感染症の治療の必要性から隔離室での管理
評価の単位
1日毎
留意点
感染症に対する治療又は管理が行われている期間に限る。

語句の説明

「感染症」とは?

療養病棟において隔離が必要となる主な感染症は、空気感染や飛沫感染、接触感染などにより他の患者や医療従事者に感染が広がるリスクが高い疾患です。

感染経路と主な隔離対象の感染症
空気感染する疾患・麻疹(はしか)
・水痘(水ぼうそう)
飛沫感染・接触感染する疾患・インフルエンザ
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
・感染性胃腸炎(ノロウイルス、O157など)
・多剤耐性菌感染症(MRSA、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症など)
主な隔離対象の感染症の概要(高齢者)
麻疹(はしか)一度、麻疹に感染したことがある場合は、通常は再度かかることはありません。ただし、高齢者は免疫の低下によって、麻疹にかかるリスクがあります。
水痘(水ぼうそう)過去に水痘にかかったことのある高齢者は、免疫力の低下により帯状疱疹を発症することがあります。加齢とともに発症リスクは高まり、50歳以降から発症率が上昇し、70歳代がピークとなります。高齢者では、「帯状疱疹後神経痛」に移行し、皮膚の症状が治まった後も痛みが続くリスクもあります。
インフルエンザインフルエンザは、飛沫感染を防ぐため原則として個室隔離が行われます。個室が難しい場合は、同じ型のインフルエンザ患者同士を同室にするなどが検討されます。
感染性胃腸炎感染性胃腸炎に対しては、個室隔離と接触予防策が基本となります。個室が望ましく、利用後は清拭消毒を行うほか、患者自身や家族への手指衛生指導も重要です。
多剤耐性菌感染症多剤耐性菌感染症とは、複数の抗菌薬に耐性を持つ細菌による感染症で、治療が困難になることが大きな問題です。免疫力が低下している高齢者では、これらの菌が原因で肺炎や敗血症などの重篤な感染症を引き起こすことがあります。

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「隔離室」とは?

感染症における隔離室は、感染症患者が持つ病原体が他の患者、医療従事者、病院環境へ拡大するのを防ぐために、患者を空間的・物理的に分離して収容する病室を指します。

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評価の要点

【処置等に係る医療区分⑲】感染症の治療の必要性から隔離室での管理

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分3期間に限りなし1日毎

感染症と医師から診断を受けており、それに対しての管理を実施していることを確認します。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

該当要件のチェックポイント
医師が他に感染する恐れがある感染症と診断しており、その根拠が診療録に適切に記載されている。
起炎菌についての検査結果を診療録に記載しており、客観的データとして確認できる。
感染症患者を隔離する際及び解除する際には、その根拠と理由を明記している。
感染症に対する治療または管理が適切に行われている(使用器具の区別、ガウンテクニック等)。
感染症に感染しているだけではなく、治療または管理を行っている状態であることを確認する。
算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                     
感染症に対する治療または管理が行われている期間に限る。

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  • 患者単位の医療区分2・3の割合(重症度割合)
  • 病棟単位の医療区分2・3の割合(重症度割合)
  • 病棟単位の医療区分の内訳(割合)
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