本記事は以下の資料をもとに作成しています。
・医科点数表の解釈(令和6年6月版)社会保険研究所
療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入するようになっています。
そして、その評価には「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いるようになっています。
この記事では、「評価の手引き」に記載されている医療区分の項目について分かりやすく解説します。
※「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」の概要については以下の記事をご参照ください。
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目次
医療区分の概要(医科点数表の解釈)
医療区分「脱水に対する治療(発熱を伴う状態に限る。)」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。
6. 脱水に対する治療(発熱を伴う状態に限る。)
| 項目の定義 |
| 脱水に対する治療(発熱を伴う状態に限る。) |
| 評価の単位 |
| 1日毎 |
| 留意点 |
発熱に対する治療を行っている場合に限る。
尿量減少、体重減少、BUN/Cre比の上昇等が認められ、脱水に対する治療を実施している状態。
連続した7日間を超えて脱水に対する治療を行った場合は、8日目以降は該当しない。ただし、一旦非該当となった後、再び病状が悪化した場合には、本項目に該当する。 |
語句の説明
- 「脱水」とは?
-
脱水とは、生命維持に必要な水分や電解質(塩分など)が不足した状態です。
主な原因は、発汗、嘔吐、下痢、発熱などで、体から水分や電解質が通常より多く失われることによって起こります。
| 脱水の原因 |
|---|
| 発汗 | 暑い環境で運動したり、発熱したりすると、体は体温を調節するために汗をかきます。 |
| 病気 | 嘔吐、下痢、発熱といった感染症も原因となります。 |
| 不十分な水分摂取 | 喉の渇きを感じる前に水分補給をしないと、不足しがちになります。 |
| 脱水の兆候 |
|---|
| 初期症状 | 喉の渇き、皮膚や口の乾燥、めまい、立ちくらみ。 |
| 進行した症状 | 頭痛、倦怠感、だるさ、尿の量が減る、尿の色が濃くなる。 |
| 重度の症状 | 意識障害や錯乱が起こることがあります。 |
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- 「発熱」とは?
-
日本の感染症法において「発熱を37.5℃以上、高熱を38℃以上」と定義されています。
また、体温は早朝に低く夕方に高くなるため、1日の中で約1℃の日内変動があると言われ、学術的にハリソン内科学では「午前の体温で37.2℃以上、午後の体温で37.7℃以上を発熱と定義する」と記載されています。
加えて、平熱が低い人の場合には、感染症法やハリソン内科学で定義された体温より低くても、発熱と捉える必要があります。
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- 「BUN/Cre比」とは?
-
BUN/Cre比は、血液検査で測定される尿素窒素(BUN)とクレアチニン(Cre)の比率で、腎機能や脱水状態を評価するために確認されます。
基準値は約10で、この比率が20以上になる場合は脱水や出血、心不全など、腎臓へ向かう血流が減っている「腎前性」の腎機能低下が疑われます。
一方で、尿素窒素(BUN)とクレアチニン(Cre)がともに上昇していても比率が20未満の場合は、腎臓そのものがダメージを受けている「腎性」の腎機能低下の可能性が高くなります。
| 比率 | 状態 | 考えられる原因 |
|---|
| BUN/Cre比 < 10 | 基準値内 | 正常な腎機能 |
| BUN/Cre比 ≥ 20 | 高値 | 腎臓の血流低下(腎前性) ・脱水 ・心不全 ・出血 など |
BUN/Cre比:20未満 (両方とも高値) | 高値 | 腎臓自体の問題(腎性) ・腎臓のダメージ |
| BUN/Cre比を評価する目的 |
|---|
| 脱水 | 腎臓は、水分が不足すると尿細管で尿素をより多く再吸収します。クレアチニン(Cre)は尿細管で再吸収されにくいため、脱水時には尿素窒素(BUN)だけが上昇し、結果としてBUN/Cre比は高くなります。 |
| 腎機能低下 | 腎臓そのものに問題がある場合、尿素窒素(BUN)とクレアチニン(Cre)の両方が排泄されにくくなり、値が上昇します。 |
| 尿細管機能低下 | 腎臓の尿細管機能が低下すると、尿素の再吸収が減るためBUN/Cre比は低くなります。 |
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評価の要点
【処置等に係る医療区分⑥】脱水に対する治療(発熱を伴う状態に限る。)
| 分類 | 医療区分 | 算定期間 | 評価の単位 |
|---|
| 処置等 | 医療区分2 | 期間に限りあり | 連続7日を限度 |
「発熱を伴う脱水」に対して、治療をしていることを確認します。
脱水とは、下記のような状態になります。
評価票の記入は、連続7日間までになり8日目以降は記入できません。
一旦非該当になった後に、再び病状が悪化して治療を開始した場合、該当要件を満たしていれば、評価票への記入が可能になります。
医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。
評価のチェックポイント
評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。
| 該当要件のチェックポイント |
|---|
| ☐ | 尿量の減少、体重の減少、BUN/CRE比の上昇等により判断している。 |
| ☐ | 脱水の症状に加えて、発熱を伴う状態である。 |
| ☐ | 脱水、発熱に対する治療を実施している。 [クーリング、解熱剤、輸液、水分補給など] |
| ☐ | 治癒については、医師が診断し、その根拠を診療録に記載している。 |
| ☐ | 一旦治癒しなければ、新たには本項目に該当しないことを確認している。 |
| 算定期間のチェックポイント |
|---|
| ☐ | 1日毎に評価を行っている。 |
| ☐ | 連続した7日間を超えて脱水に対する治療を行った場合は、8日目以降は該当しない。 |
| ☐ | 一旦非該当となった後、再び病状が悪化した場合には該当になる。 |
出典:
・医科点数表の解釈(令和6年6月版)社会保険研究所