療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入するようになっています。
そして、その評価には「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いるようになっています。
この記事では、「評価の手引き」に記載されている医療区分の項目について分かりやすく解説します。
※「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」の概要については以下の記事をご参照ください。

医療区分の概要(医科点数表の解釈)
医療区分「24時間持続しての点滴」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。
1. 24時間持続しての点滴
| 項目の定義 |
| 24時間持続しての点滴 |
| 評価の単位 |
| 1日毎 |
| 留意点 |
| 本項目でいう24時間持続しての点滴とは、経口摂取が困難な場合、循環動態が不安定な場合又は電解質異常が認められるなど体液の不均衡が認められる場合に限るものとする。(初日を含む。) また、連続した7日間を超えて24時間持続して点滴を行った場合は、8日目以降は該当しないものとする。ただし、一旦非該当となった後、再び病状が悪化した場合には、本項目に該当する。 |
語句の説明
評価の要点
【処置等に係る医療区分①】24時間持続しての点滴
| 分類 | 医療区分 | 算定期間 | 評価の単位 |
|---|---|---|---|
| 処置等 | 医療区分3 | 期間に限りあり | 連続7日を限度 |
24時間点滴を持続している状態を確認します。
24時間持続しての点滴の必要性があるかを確認します。
点滴の必要性は、下記の理由のものに限ります。
- 経口摂取が困難な場合
- 循環動態が不安定な場合
- 電解質異常などによる体液の不均衡が認められる場合
評価票の記入は、「初日」を含みます。
評価票の記入は、連続7日間までになり8日目以降は記入できません。
一旦非該当になった後に、再び病状が悪化して24時間持続しての点滴を開始した場合、該当要件を満たしていれば、評価票への記入が可能になります。
評価のチェックポイント
評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。
| 該当要件のチェックポイント | |
|---|---|
| ☐ | 24時間持続して点滴を実施している状態である。 |
| ☐ | 下記のいずれかを原因として、24時間点滴をしている。 ・経口摂取が困難 ・循環動態が不安定 ・電解質異常が認められるなど体液の不均衡が認められる |
| ☐ | 24時間の持続点滴が必要である根拠を診療録に記載している。 |
| ☐ | 必要な検査を定期的に実施している。 |
| ☐ | 点滴が必要でなくなった場合には、その理由を記載し終了を明記している。 |
| ☐ | 非該当になった後に、病状悪化により24時間持続点滴を再開する場合には、その根拠を診療録に記載している。 |
| 算定期間のチェックポイント | |
|---|---|
| ☐ | 1日毎に評価を行っている。 |
| ☐ | 初日(開始日)は、翌日に24時間持続の条件を満たしていれば該当になる。 |
| ☐ | 点滴の終了日は、24時間持続の条件の要件を満たさないため該当とならない。 |
| ☐ | 連続した7日間を超えて24時間持続点滴を行っていても、8日目以降は該当しない。 |
| ☐ | 一旦非該当となった後、再び病状が悪化した場合には該当になる。 |
評価票の考え方・記入例
評価票の考え方と記入例です。
① 初日(開始日)の評価
点滴の指示があり、11/1 pm3:00より点滴を開始。
11/1はpm3:00から点滴を開始したため24時間持続しての点滴ではないが、11/2も24時間持続して点滴を行っているので、11/1も「該当」となる。
| 日付 | 症状・治療 | 評価票 |
|---|---|---|
| 11/1 | 点滴指示(pm3:00より点滴開始) | 該当 |
| 11/2 | 24時間持続しての点滴 | 該当 |
| 11/3 | 24時間持続しての点滴 | 該当 |
初日(開始日)は、翌日に24時間持続の条件を満たしていれば該当になります。
② 終了日の評価
11/1に点滴の指示があり、24時間持続しての点滴を開始。
11/4に点滴終了の指示があり、pm8:00に点滴終了。
| 日付 | 症状・治療 | 評価票 |
|---|---|---|
| 11/1 | 点滴指示(pm3:00より点滴開始) | 該当 |
| 11/2 | 24時間持続しての点滴 | 該当 |
| 11/3 | 24時間持続しての点滴 | 該当 |
| 11/4 | 点滴終了の指示(pm8:00に点滴終了) | 非該当 |
点滴の終了日は、24時間持続の条件の要件を満たさないため非該当になります。
③ 24時間持続しての点滴が10日間継続中
11/1に点滴の指示があり、24時間持続しての点滴が開始。
その後、24時間持続しての点滴が10日間継続中。
| 日付 | 症状・治療 | 評価票 |
|---|---|---|
| 11/1 | 点滴指示(pm3:00より点滴開始) | 該当(1日目) |
| 11/2 | 24時間持続しての点滴 | 該当(2日目) |
| 11/3 | 24時間持続しての点滴 | 該当(3日目) |
| 11/4 | 24時間持続しての点滴 | 該当(4日目) |
| 11/5 | 24時間持続しての点滴 | 該当(5日目) |
| 11/6 | 24時間持続しての点滴 | 該当(6日目) |
| 11/7 | 24時間持続しての点滴 | 該当(7日目) |
| 11/8 | 24時間持続しての点滴 | 非該当(8日目) |
| 11/9 | 24時間持続しての点滴 | 非該当(9日目) |
| 11/10 | 24時間持続しての点滴 | 非該当(10日目) |
連続した7日間を超えて24時間持続点滴を行っていても、8日目以降は「非該当」になります。
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