尿沈渣(にょうちんさ)とは、尿を遠心分離して沈殿した成分を顕微鏡で観察する検査で、腎臓や尿路の病気を診断するのに役立ちます。
赤血球、白血球、円柱、結晶、細菌などの固形成分を調べ、病気の有無や種類、部位を推測します。
尿沈渣の基準値
赤血球・白血球: 少数
その他、円柱・結晶は種類により少数出現
目次
尿沈渣の概要
尿沈渣は、尿中の有形成分を顕微鏡で観察する形態学的検査法です。
赤血球・白血球・上皮細胞は、400倍の倍率で毎視野の平均個数を記載します。
円柱は、全視野の個数を記載します。
結晶成分・細菌・真菌などは、その数に応じて(-)~(3+)で表現します。
検査の進め方
- 採尿した尿を遠心分離器にかける。
- 沈殿してきた固形成分(沈渣)を顕微鏡で観察する。
- 尿沈渣の量や種類を評価し、診断に役立てる。
検査でわかること
- 病気の診断: 赤血球や白血球が多数見られる場合は、腎臓や尿路の出血や炎症、感染を疑います。
- 病態の把握: 円柱の種類やその含まれる成分から、腎炎やネフローゼ症候群などの病態を把握できます。
- 治療効果の判定: 腎泌尿器系疾患の診断だけでなく、治療効果の判定にも利用されます。
尿沈渣でみられるおもな有形成分
尿沈渣では以下の有形成分をみることができます。
| 成分 | |
|---|---|
| 細胞 | 赤血球、白血球、尿細管上皮、尿路上皮、扁平上皮など |
| 円柱 | 尿細管の内容物が固まったもので、硝子円柱、赤血球円柱、白血球円柱など |
| 結晶 | シュウ酸カルシウム結晶など、様々な成分の結晶がみられる。 |
| 細菌 | 尿路感染症の存在を示唆することがある。 |
尿沈渣が異常の場合
尿沈渣が異常の場合には、以下のことが考えられます。
- 多数の赤血球
腎・尿路系の結石、炎症、腫瘍。糸球体腎炎などの糸球体疾患では、赤血球の変性を伴い、それ以外の病変にみられる赤血球では変形は乏しい。 - 多数の白血球
腎・尿路系の炎症など - 上皮細胞
健常人でも少数は認められるが、腎・尿路系の炎症で多数認められる。腫瘍(膀胱癌、尿管癌、腎癌)では、異型を伴う上皮細胞の出現をみる。 - 細菌
腎・尿路系の細菌感染症 - 結晶
病的結晶の出現 - 円柱
円柱の種類によっては健常人でも少数出現。






