胸水・腹水検査は、胸腔や腹腔に貯留した液体を採取し、その性状や含まれる細胞、タンパク質、糖などを調べることで、貯留の原因を特定する検査です。
炎症、悪性腫瘍、栄養障害、循環障害などが原因で胸水・腹水が貯留し、これらの検査は原因鑑別に役立ちます。
特に、悪性腫瘍の細胞の有無や、液体が炎症性の「滲出液(浸出液)」か非炎症性の「漏出液」かを判断するのに重要です。
胸水検査・腹水検査の基準値
胸腔には10ml程度
※健常者でも胸腔・腹腔には少量の液体が存在する
目次
胸水検査・腹水検査の概要
健常者でも、胸腔・腹腔に少量の液体が存在し、臓器の摩擦を防ぐための潤滑駅の役目を果たしています。
胸腔には10mL程度の液体が通常認められ、肺が円滑に動くために必要になります。
様々な原因により、胸腔内および腹腔内に多量の液体が貯留する状態を胸水、腹水と呼びます。
検査の目的
① 原因の特定
貯留している液体の性状や成分を分析し、炎症、悪性腫瘍、心不全などの原因を特定します。
② 滲出液か漏出液かの鑑別
胸水・腹水の診断では、滲出液と漏出液の鑑別が重要です。これは、液体が炎症性の原因(滲出液)か、非炎症性の原因(漏出液)かで原因が大きく異なるためです。
主な検査項目
① 沈渣検査
採取した液体を顕微鏡で観察し、炎症の有無(白血球の有無など)や悪性腫瘍の細胞の有無(細胞診)などを調べます。
② 蛋白定量
液体のタンパク質量を測定し、滲出液か漏出液かの判断に利用します。
③ 糖定量
液体の糖濃度を測定します。細菌や炎症細胞が多い滲出液では糖が低値を示すことがあり、原因疾患の鑑別に役立ちます。
④ その他
比重、pH、リバルタ反応、血液、細菌、などの測定も行われることがあります。
胸水検査・腹水検査の異常とその原因
| 胸水貯留の場合 | 腹水貯留の場合 |
|---|---|
| 漏出液 ・うっ血性心不全 ・肝硬変 ・ネフローゼ症候群 滲出液 ・胸膜炎 ・悪性腫瘍 ・自己免疫疾患 | 漏出液 ・うっ血性心不全 ・肝硬変 ・ネフローゼ症候群 ・門脈閉塞 滲出液 ・腹膜炎 ・悪性腫瘍 ・膵炎 ・胆嚢炎 |






