FT3(遊離トリヨードサイロニン)とFT4(遊離サイロキシン)は、甲状腺から分泌されるホルモンの「遊離型」の成分で、実際に体内でホルモン作用を発揮します。
これらは、甲状腺の機能状態を評価する「甲状腺機能検査」で測定され、甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症などの診断に用いられます。
FT3: 2.4~4.3(pg/mL)(CLIA法)
FT4: 0.9~1.8(ng/dL)(CLIA法)
FT3(遊離トリヨードサイロニン)、FT4(遊離サイロキシン)の概要
甲状腺ホルモン(T3、T4)は、体内の蛋白質や脂質などの代謝を促進するホルモンで、サイロキシン結合グロブリン(TBG)などに結合した結合型と、遊離型で存在します。
甲状腺ホルモンの生理活性は遊離型で発揮され、FT3、FT4を測定することにより、甲状腺の機能状態を知ることができます。
甲状腺機能異常を疑うときには、基本的に甲状腺刺激ホルモン(TSH)と甲状腺ホルモン(FT3、FT4)を同時に測定して総合的に判断を行います。
TSHが低値で甲状腺ホルモンが高値の場合には、バセドウ病であることがほとんどで、その場合、TSHレセプター抗体の検査が非常に重要で、その測定によって治療の効果や病態を把握することができます。
TSHが高値で甲状腺ホルモンが低値である場合には、橋本病であることがほとんどで、追加で超音波検査、サイロイドテスト、マイクロゾームテストを行います。
| TSH:低値 ・ 甲状腺ホルモン:高値 | バセドウ病を疑う |
| TSH:高値 ・ 甲状腺ホルモン:低値 | 橋本病を疑う |
略称
FT3(遊離トリヨードサイロニン)
FT4(遊離サイロキシン)
FT3とFT4について
甲状腺ホルモンは、体内の細胞に活力を与え、代謝を調整する役割を持っています。
血液中では、大部分のT3とT4はタンパク質と結合した「結合型」として存在しますが、ごく一部が「遊離型(FT3, FT4)」として存在します。
実際にホルモンとして機能するのは、この「遊離型」です。そのため、最近の甲状腺機能検査では、このFT3、FT4を測定することがよく行われます。
甲状腺機能検査での測定
FT3とFT4は、体内の甲状腺機能が正常に働いているかを評価するために、甲状腺刺激ホルモン(TSH)とともに測定されます。
これらの数値を調べることで、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)や甲状腺機能低下症(橋本病など)といった甲状腺疾患の検出に役立ちます。
FT3とFT4の異常とその原因
| FT3が高値の場合 | FT3が低値の場合 |
|---|---|
| ・甲状腺機能亢進症(バセドウ病、プランマー病) ・亜急性甲状腺炎 ・T3中毒症 ・T3投与時 | ・甲状腺機能低下症 ・橋本病 ・粘液水腫 ・二次性甲状腺機能低下症 ・妊娠後期 ・低T3症候群 |
| FT4が高値の場合 | FT4が低値の場合 |
|---|---|
| ・甲状腺機能亢進症(バセドウ病、プランマー病) ・亜急性甲状腺炎 ・T4中毒症 ・T4投与時 | ・甲状腺機能低下症 ・橋本病 ・粘液水腫 ・二次性甲状腺機能低下症 ・T3過剰投与 ・低アルブミン血症 |






