CEA(癌胎児性抗原)は、大腸がんをはじめとする消化器がんを中心に、さまざまな臓器のがん、良性疾患、喫煙、妊娠などで上昇する腫瘍マーカーです。
発見された当初は胎児の消化管にも存在することから「胎児性」と名付けられましたが、がん特異性は低く、単独でがんの診断に用いることはできません。
しかし、がんの診断補助、治療効果の判定、再発や進行度のモニタリングに広く利用されています。
5.0(ng/mL)以下
CEA(癌胎児性抗原)の概要
癌胎児性抗原(CEA)は、胎児性蛋白で消化器癌と正常胎児消化器の細胞表面に存在する抗原です。
大腸癌組織から発見されたもので、消化器系を中心とした広範な癌に陽性になるため、最も一般的な腫瘍マーカーとして利用されます。
血中のCEA濃度の測定は、悪性腫瘍の存在の有無、治療の効果判定、経過観察などのために行います。
CEA以外の腫瘍マーカー検査を行うことによって、原発臓器を絞り込むことができ、血中CEA濃度が高値の場合には、血液検査、画像診断(CT、MRI、X線など)、内視鏡検査、細胞診、病理組織検査などとともに総合的な診断を行います。
喫煙でも上昇することがあるので注意が必要です。
CEAとは?
CEAは、1965年に発見された糖タンパク質の一種で、もともと胎児の消化管粘膜組織に多く見られるためこの名前が付けられました。
がん細胞で産生が高まるため、血中に移行してその値が上昇します。
CEAの用途
① 診断補助
他の検査と組み合わせることで、大腸がん、胃がん、肺がん、膵臓がんなどの消化器がん、また乳がんなど、比較的多くの種類のがんの存在を疑う補助として使用されます。
② 治療効果のモニタリング
手術や化学療法などの治療後、CEA値が低下するかどうかで治療効果を評価します。
③ 再発・進行度の予測
CEA値が治療後に高く維持されたり、再び上昇したりすることで、がんの再発や進行が示唆され、予後の予測に役立ちます。
CEA(癌胎児性抗原)が高値の場合
CEA(癌胎児性抗原)が高値の場合には、以下のことが考えられます。
| 悪性腫瘍での陽性 | 悪性腫瘍以外で陽性を示す疾患 |
|---|---|
| ・大腸、直腸癌 ・肺癌 ・胃癌 ・肝細胞癌 ・乳癌 | ・肝硬変 ・慢性肝炎 |
その他の腫瘍マーカー
| 各種臓器の癌 | 腫瘍マーカー | |
|---|---|---|
| 肺癌 | 腺癌 | ・SLX ・CEA(癌胎児性抗原) |
| 扁平上皮癌 | ・SCC ・CYFRA(シフラ) | |
| 小細胞癌 | ・NSE ・ProGRP | |
| 食道癌 | ・SCC ・CYFRA(シフラ) | |
| 肝臓癌 | ・AFP ・PIVKA-Ⅱ | |
| 乳癌 | ・CA15-3 ・CEA(癌胎児性抗原) | |
| 胆嚢・膵臓癌 | ・CEA(癌胎児性抗原) ・CA19-9 ・CA-50 ・DUPAN-2 ・Span-1 | |
| 胃・大腸癌 | ・CEA(癌胎児性抗原) ・STN(シアリルTn抗原) | |
| 前立腺癌 | ・PSA(前立腺特異抗原) | |
| 卵巣癌 | ・CA125 ・CA130 ・CA72-4 | |
| 絨毛癌 | ・HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン) | |






